「内向的」でも「人間関係がうまくいく」人が大切にしている3つのこと。

内向的でも人間関係がうまくいく人が大切にしている3つのこと01

職場の人と関わったり、雑談したりすると、それだけで本当に疲れる……。
会議やプレゼンなど、人前で話さないといけない仕事が大の苦手……。

自分が “内向的” な性格だと自覚している人は、仕事のなかで劣等感や生きづらさを感じることがあるでしょう。

しかし、内向的な性格は、必ずしも短所ではありません。内向的ならではの強みを活かしていけば、外向的な人に劣らぬパフォーマンスを発揮することも可能なのです。

今回は、内向的なあなたが、無理なく周囲といい関係を築き、仕事で活躍できるようになるための3つのヒントをご紹介しましょう。

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「内向的」は短所じゃない!

内向的な性格を直したい。もっと外向的になりたい――そう思っている人もいるかもしれません。

たしかに内向的であることは、“短所” としてとらえられることがあります。臨床心理士の関本文博氏によれば、「内向的とは、興味や関心が自分の内部にばかり向かうさま」。具体的には、

  • 「新しい環境になじむまで時間がかかる」
  • 「少数、または一人で遊ぶのが好き」
  • 「自分の思っていることをみんなに伝えるのは苦手」

などの特徴があるそうです。(カギカッコ内引用元:東京カウンセリングオフィス|内向的な人

上記の特徴からは、引っ込み思案で、社交性やコミュニケーション能力があまりない人物像が思い浮かんでしまいますよね。社交的で話すのもうまい外向的な人のほうが、仕事をうまくやれる気がしてくるものです。

内向的でも人間関係がうまくいく人が大切にしている3つのこと02

しかし、内向的であることは必ずしもネガティブな要素ではないようです。

『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』著者で、内向型の人のキャリア支援を専門とするジル・チャン氏は、次のように述べています。

人間社会が興味深いのは、サバイバルの方法や成功する道筋はいくつもあるということだ。
それはどんな職場にも当てはまる。
自分の強みや才能、長所、かけがえのない価値をアピールして輝くことができれば、子羊のように静かな人でも、誇り高いライオンの群れを率いることができる。

(引用元:新R25|「ビル・ゲイツもウォーレン・バフェットも内向型だ」“静かな人”がリーダーに向いている理由

つまり、内向型ならではの良さを伸ばしていけば、仕事上の人間関係においてもうまく立ち振る舞い、優れたリーダーとして人を率いていくことも可能なのです。

チャン氏は、実際に活躍している内向型リーダーの例として、ビル・ゲイツ氏やイーロン・マスク氏、マーク・ザッカーバーグ氏などの名前を挙げています(参考元:同上)。優秀なビジネスパーソンといえば、コミュニケーション能力の高そうな外向的な人をイメージするものですが、そうではない内向型の人たちも、社会ではたくさん活躍しているのです。

「私は内向的だから、出世なんてできそうにない」「リーダーやマネージャーになんてなれっこない」……などと落ち込む必要はまったくない、ということがおわかりいただけたでしょうか。

内向的でも人間関係がうまくいく人が大切にしている3つのこと03

では、内向的ならではの良さを伸ばしながら、職場で人とうまく関わり合っていい仕事をしていくには、どうしたらよいのでしょう。以下に紹介する3つのヒントをぜひ参考にしてみてください。

ヒント1. 無理に「外向型のふりはしない」ようにしよう

まず大前提として、内向的な性格を無理に改めようとしたり、外向的な人を演じようとしたりする必要はありません。たとえば職場の人と接するとき、無理に “明るいキャラ” を演じたり、積極的に人に話しかけたり……。そんな “背伸び” はしなくてもいいのです。

内向型コンサルタント・心理カウンセラーで、自身も内向型であるという堤ゆかり氏は、こう述べています。

今まで私は外向型になろうとさんざんもがいてきたけれど、なれなかった。むしろ、無理して自分を変えようとしていることが辛かった。であれば、「内向型であることを受け入れ、活かす方向にシフトチェンジしたら、道が開けるのでは?」と考えるようになっていったのです。

(引用元:堤ゆかり(2020),『もう内向型は組織で働かなくてもいい 「考えすぎるあなた」を直さず活かす5ステップ』, 世界文化社.)

そのうえで堤氏は、自らの体験を振り返り、内向的な性格には次のようなプラス面があることを発見したのだそう。

  • 「ガツガツしていない感じが安心できて、接しやすい」
  • 「口数が少ないからこそ、言葉に重みがあって信頼できる」
  • 「心配性で慎重なタイプだからこそ(中略)周りからの信頼」を得やすい

(カギカッコ内引用元:同上)

内向的な性格も、考え方ひとつでさまざまな長所になりうるのです。

また、内向的な人が外向的なふりをするのは、単純に “疲れる” という理由からもおすすめできません。ベルギーの心理学者ジェニファー・ピケット氏らが、67人の従業員を対象に行なった調査では、内向的な人が外向的行動をした場合、短期的には活力が高まるが、たったの1時間ほどで活力が枯渇してしまうとの結果が出たそうです。(参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|内向的な人に外向的になれと言うのはやめよう

以上の理由から、内向的な人は、無理に外向的に振る舞おうとするより、内向的ならではの良さを活かしていくほうが有意義と考えられます。たとえば、

  • 焦ってしゃべろうとせず、自分のペースで、丁寧に言葉を選んで発言する
  • 明るいキャラを無理に演じず、落ち着いて相手に接する
  • 同じく内向的な気質をもった同僚や部下に寄り添い、サポートしてあげる

こんな具合に、内向的な気質に合ったコミュニケーションスタイルを身につけ、あなたなりのペースで人に接するようにしてみましょう。

内向的でも人間関係がうまくいく人が大切にしている3つのこと04

ヒント2.「聞き上手」になろう

人との会話においては、自分から無理にしゃべろうせず、“聞き上手” として立ち振る舞うのもひとつの戦略です。

たとえば、会議や打ち合わせで話が行き詰まり、沈黙が生まれてしまったとき。職場の人とエレベーターでバッタリ一緒になったとき。内向的な人が無理に自分からしゃべろうとしても、ただ空回りしてしまうことは多いもの……。

だからこそ、内向的な人は、“話を聞く側” に回り、相手から話を引き出すことに徹してみましょう。心理学博士の榎本博明氏は、次のように解説しています。

もし口下手であるなら、無理してしゃべらずに、相手に対話の空白を埋めてもらえるようにしむける。相手に気持よく話してもらえるような聞き上手をめざすことだ。

内向的人間が対話上手になるためには、話術を磨くよりも聞き上手をめざしたほうが、はるかに近道だろう。

(引用元:PHPオンライン衆知|「人づきあいが苦手」と悩む人ほど持っている“聞き上手な素質” ※太字は筆者が施した)

また榎本氏いわく、相手に「気持よく話してもらうためには、相槌を打つのがよい」とのこと(引用元:同上)。

「へぇ」「そうなんですね」といったワンパターンな相づちにならないためには、以下に紹介する3種類の相づちを押さえ、使い分けるとよいでしょう。コンサルティング事業を手がけ、40冊超ものビジネス書の著作をもつ、白潟敏朗氏が解説するものです。

  • 「話を促す相づち」
    例「そうだったんだ」「それで?」「それから?」など
  • 「プラスの共感を示す相づち」
    例「すごいね」「さすがだね」「面白い」「そのとおりだね」など
  • 「マイナスの共感を示す相づち」
    例「大変だね」「残念だね」「辛かったね」「きつかったね」など

(カギカッコ内引用元:マネー現代|上司に好かれ、後輩が育つ…仕事ができる人は「聴く力」がスゴかった

たとえば、同僚から仕事の愚痴を打ち明けられたシーンでは、次のように相づちを打つと、相手は気持ちよく話せるはずです。

同僚「さっき、お客さんからクレームが入っちゃってさ」
あなた「えぇっ、それはつらいね」※マイナスの共感を示す相づち
同僚「初期不良で、機材が動かなかったらしいんだけど」
あなた「それでどうなったの?」※話を促す相づち
同僚「丁寧に謝罪して、すぐに交換するって伝えたら、なんとか事なきを得たんだけど」
あなた「すごい。さすがの対応力だね」※プラスの共感を示す相づち

共感しながら、相手に気持ちよく話してもらう技は、内向型のあなただからこそできるもの。まずは相づちを徹底するとことから始めて、いい聞き手になることを目指してみてはいかがでしょうか。

内向的でも人間関係がうまくいく人が大切にしている3つのこと05

ヒント3.「笑顔」を増やそう

前出の関本氏によれば、内向的な人は「黙っていたりリアクションが控えめだったりすることから、暗い人と誤解されがち」なのだそう(カギカッコ内引用元:東京カウンセリングオフィス|内向的な人 以下カギカッコ内も同じ)。

たとえば、上司からの指示に対する返事が暗く、無愛想だな……などと思われてしまうといったこと。マイナスの印象を与えることになり、それだけで損をしてしまうのです。

関本氏は、こんな悪印象を与えないために、「なるべく笑顔で機嫌よく振舞」うことをすすめます。内向的で自己表現が苦手な人でも、ちょっと笑顔を意識してみるだけなら、比較的簡単に実践できるのではないでしょうか?

また、笑顔は「”壁”として作用」してくれる、と関本氏。

たとえば、デリカシーのない同僚が、プライベートなことを意地悪くからかってきたとします。内向的な人だと、うまく対処できず、密かに心を痛めて終わりがち。ですが、関本氏がすすめる「笑顔だけで一言も発さない」という策をとれば、それが「柔らかな拒絶」の表現になり、相手はそれ以上あなたに踏み込まなくなるのです。

「笑顔」は内向的な人にとって頼もしい武器。職場で挨拶をするとき、上司に話しかけるとき、会議で人の話を聞くときなど、誰かと話すときにはなるべく笑顔でいるよう心がけてみましょう。

***
内向的な自分にお悩みのあなたは、

  1. 無理に外向型のふりをしない
  2. 聞き上手になる
  3. 笑顔を増やす

という3つのヒントを参考に、人との関わり方をぜひ見直してみましょう。周囲といい関係を築き、より活躍しやすくなるとよいですね。

(参考)
東京カウンセリングオフィス|内向的な人
新R25|「ビル・ゲイツもウォーレン・バフェットも内向型だ」“静かな人”がリーダーに向いている理由
堤ゆかり(2020),『もう内向型は組織で働かなくてもいい 「考えすぎるあなた」を直さず活かす5ステップ』, 世界文化社.
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|内向的な人に外向的になれと言うのはやめよう
ScienceDirect|Concurrent and lagged effects of counterdispositional extraversion on vitality
PHPオンライン衆知|「人づきあいが苦手」と悩む人ほど持っている“聞き上手な素質”
マネー現代|上司に好かれ、後輩が育つ…仕事ができる人は「聴く力」がスゴかった

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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