“リモート時代” のデキるリーダー像。あなたは若い部下に「これ」をもたせているか?

飯山晄朗さんインタビュー「デキるリーダーになるためにすべきこと」01

世代が違えば、仕事に対する考え方が違うことも多いものです。リーダーの立場にある人のなかには、若い部下をどう成長させるべきかと悩んでいる人もいるでしょう。特に、リモートワークによって部下と接する時間が減っているという人なら、その悩みも以前より大きくなっているはずです。

でも、トップアスリートやビジネスパーソンのサポートを行なう「メンタルスキルコーチ」である飯山晄朗(いいやま・じろう)さんは、「リアルでもオンラインでも、部下の育て方の基本は変わらない」と言います。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

指示されたこと以上のことをしないのは、「願望」がないから

いつの時代も、年上の世代は若い世代に対して「最近の若者は……」と眉をひそめて苦言を呈したくなるものです。会社組織のなかで若い部下を抱えるリーダーにも、そういう人は多いでしょう。かく言う私ももう50歳ですからそのひとりです。

もちろん個人差はありますし全員が全員というわけではありませんが、いまの若い人を見ていて私が感じるのは、「言われたこと以上のことをやろうとしない」人が多いということ。

言われたことをきちんとやる姿勢はあります。そして、さまざまな知識をもっていて能力が高い人も多い。そのため、言われたことだけを手早くちゃちゃっと終わらせて、定時になれば即退勤してしまう。でも、「指示された以上のことをやってやろう!」とか「もっとうまく仕事を進められる方法はないか?」というふうに考えるところまでには至りません。

こういうことが起きるのは、仕事に対する「願望」をもてていない人が多いからなのではないでしょうか。いまの若い人たちは、生まれたときから日本経済が停滞しているなかで育ってきました。そのため、仕事に対する「願望」をもちにくいのかもしれませんね。つまり、先に述べたような特徴が見られることの責任は、若い人たち自身にあるわけではありません。社会がそうさせてしまっている面もあるのではないでしょうか。

飯山晄朗さんインタビュー「デキるリーダーになるためにすべきこと」02

リーダー自身の姿で、部下に「願望」をもたせる

では、そんな若い部下たちがもっと積極的に仕事に臨んでくれるようにするために、リーダーはどうすべきでしょうか? 答えはもう出ています。彼ら彼女らがもっていない、仕事に対する「願望」をもたせてあげればいいのです。

「願望」がないから「指示された以上のことをやってやろう!」とか「もっとうまく仕事を進められる方法はないか?」というふうに考えないのですから、裏を返せば、「願望」さえもたせることができれば、仕事に対する積極的な姿勢を身につけてくれるはずです。

すると、今度は「だとしたら、どうすればその『願望』を部下にもたせられるのか」と思った人もいるでしょう。それはもう、リーダーであるみなさん自身が行動で示すしかありません。みなさんにも、若かったときに「こんなふうに仕事ができる人になりたい!」と思わせられた先輩や上司がひとりやふたりはいたのではないですか?

では、はたしていまのみなさんは、部下たちから「こんなふうに仕事ができる人になりたい!」と思われる人になっているでしょうか。勤め先の会社で、若い人たちの投票によって「理想の上司ランキング」をつくったとしたら、あなたは上位にランクインできますか?

リーダーになると、ついリーダーの立場から「部下をなんとかしなければ……」などと考えてしまうものです。でも、部下をなんとかする前に、自分をなんとかしなければならない人もいるかもしれません。みなさんが、部下に「こんなふうに仕事ができる人になりたい!」と「願望」をもたせられる人になることができれば、自然に部下の仕事への向き合い方は変わっていくはずです。

飯山晄朗さんインタビュー「デキるリーダーになるためにすべきこと」03

だらけた姿勢は、オンラインでも必ず伝わる

しかしそうはいっても、このコロナ禍のなかでは難しいと考える人もいるでしょう。それこそリモートワークをしている人なら、これまでオフィスで一緒に部下と過ごしていたからこそできていたことが、思うようにできなくなったということもあるはずです。

「Zoom」などオンライン会議ツールを使って部下と面談をするなら、ある程度時間は限られています。ですから、その面談でなにを確認するのか、部下を成長させるためになにを伝えるのかといったことを、事前にしっかり準備しておくのももちろん大切でしょう。

でも、やはり基本は、先に述べた「こんなふうに仕事ができる人になりたい!」という「願望」をもたせることに尽きるのだと思います。

いま、リモートワークだからと、「オンライン会議ツールは画質も荒いし、ちょっとくらいひげが伸びていてもいいや」とか「ワイシャツを着てネクタイさえ締めておけば、下は部屋着でいいだろう」なんて考えている人はいませんか? それこそ、オンラインでの会議や面談以外の時間には、まともに仕事をすることなくだらだらと過ごしてしまっている人もいると推測します。

でも、そんな姿勢は、表情や言動を介して必ず部下たちに伝わります。人間はそんなに鈍感な生き物ではありません。自宅でリモートワークをしながらも、部下たちの視線を意識して、「こんなふうに仕事ができる人になりたい!」という「願望」を部下たちにもたせられるリーダーになることが最も大切なのだと思います。

飯山晄朗さんインタビュー「デキるリーダーになるためにすべきこと」04

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【プロフィール】
飯山晄朗(いいやま・じろう)
1969年、富山県生まれ。人財教育家、メンタルスキルコーチ、中小企業診断士。一般社団法人グローアップフォーラム代表理事、銀座コーチングスクール金沢校・福井校代表、金沢大学法学部非常勤講師等の肩書も持つ。家電業界でトップセールスマンとなり後進の指導にあたったのち、商工団体の経営指導員に転職し、11年間で5000件を超える相談に対応。起業後の現在は、企業経営者や経営幹部、スポーツチームの指導者等を対象に、冷めて停滞している組織を熱く燃えるチームに生まれ変わらせるリーダーシップ教育を提供。研修講師として「コーチング手法で教える」研修スタイルが「ビジネススクールのようだ」と口コミで広まり、教育研修、講演の依頼が後を絶たない。メンタルトレーニングを指導したスポーツチームのなかには、歴史的大逆転劇を演じて甲子園出場を決めた星稜高校野球部など、全国レベルの好成績を残しているチームも多い。また、スピードスケートの高木菜那選手のメンタルスキルコーチも務め、2018年の平昌五輪では金メダル獲得に導いた。『勝者のゴールデンメンタル あらゆる仕事に効く「心を強くする」技法』(大和書房)、『自分の中の「どうせ」「でも」「だって」に負けない33の方法』(実務教育出版)、『「いまどき部下」がやる気に燃える リーダーの言葉がけ』(青春出版社)、『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』(秀和システム)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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