“速攻で取りかかる人” の致命的問題。作業効率を飛躍させる、コンサル流「考え方を考える」方法

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仕事で企画書やプレゼンテーション資料を作るとき、悩んで作業が前に進まなかったり、作業のやり直しが生じたりして、どうも効率よく進められない。そのせいで残業してしまうこともしばしば……そんな方はいませんか? その問題は、今回説明する方法で解決できるかもしれません。

コンサルタント流に「考え方を考える」ことができるようになれば、あなたの仕事はスムーズに進むようになるでしょう。

仕事が非効率的になってしまう理由

なぜ、あなたの仕事は非効率的になってしまうのでしょう? その原因は、準備なく作業に取りかかっているからです。

ではなぜ、あなたは準備なく作業に取りかかるのでしょうか。上に挙げた資料作成の例で考えてみます。もしかしたら、資料を最速で完成させられそうな気がして、準備もそこそこに作成作業に取りかかっているのではありませんか?

たしかに、資料を作ると決まった時点で手を動かし始めれば、常に作業が進行している感覚を味わえることでしょう。ですが、途中で悩んでしまったり、調べ直しや書き直しが生じたりすれば、仕上げるまでにかかる時間がどんどん長くなるばかりか、完成時のクオリティも下がりかねません。

総合人材サービス会社のヒューマントラストは、無計画なまま仕事に着手することには、以下のようなリスクがあるとまとめています。

  • 作業のスピードや効率が低下する
  • 抜け漏れが増えて、慌てる場面が多くなる
  • トラブルが起きてから解決方法を探すので、問題解決に時間がかかる
  • 作業の優先順位がつけられなくなる

こうした問題を解決するのに必要なのは、作業前にしっかりと準備を行なうこと。これを、元アクセンチュアのコンサルタント大石哲之氏は、考え方を考えると表現しています。

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「考え方を考える」とは?

「考え方を考える」際に考慮する3つのこと

大石氏によると、「考え方を考える」とは、どのように考えたら答えが出るのか(問題を解決できるのか)、その道筋を先に考えることです。具体的には、次の3つについて考えます。

  1. 目標を最も達成しやすい「戦略(アプローチ方法)」とは?
  2. 1で決めた「戦略」の進め方とは?
  3. 2で確認した「戦略」の進め方に従うと、どのような作業予定を組むべきか?

大石氏の言う「戦略」を考える際には、アメリカの認知心理学者ウェイン・A. ウィケルグレン氏の著書『問題をどう解くか:問題解決の理論』(筑摩書房)が非常に有用です。ここからは、「7日後に行なわれる『炭酸飲料の新商品案を提案する社内プレゼン』の資料を、5日後までに完成させるとしたら、何をするべきか」という例を使いながら、上の3ステップについて具体的に説明しましょう。

この例では、資料作成の期日が決められています。こういう場合、ウィケルグレン氏が紹介する戦略のなかで一番役に立つのは「サブゴール戦略」。サブゴール戦略とは、最終ゴールを達成するために複数の小ゴールを作る戦略のことです。この戦略をとると、最終ゴールまでにやるべきことが次々見えてくるほか、順序よく作業を進めることができます。

「考え方を考える」3ステップを今回の例で実践すると、このようになります。

  1. 目標を最も達成しやすい「戦略(アプローチ方法)」とは?
    →答:「サブゴール戦略だ」
  2. 1で決めた「戦略」の進め方とは?
    →答:「最終ゴールに向けて、いくつかサブゴールを作ろう」
  3. 2で確認した「戦略」の進め方に従うと、どのような作業予定を組むべきか?
    →答:
    最終ゴール:7日後のプレゼン実施日
    サブゴール:1日後までにリサーチ完了
    サブゴール:2日後までに下書き完了
    ……
    ……
    サブゴール:5日後までに資料完成

大石氏いわく、このようにして「考え方を考える」ことが実務の中で特に力を発揮するのは、提案書や企画書を作る場面だそう。資料作成での手戻りが多いことで悩んでいるなら、ぜひ今日から「考え方を考える」ことを実践してみてください。きっと仕事の効率が上がることでしょう。

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「考え方を考える」際にアクセスすべき4つの情報源

ボストン・コンサルティング・グループ等の元コンサルタントで作家の山口周氏は、「考え方を考える」際には情報をインプットすることが重要だと説いています。目的は、仕事のクオリティを上げること。そのために、山口氏は次の4つの情報ソースにアクセスするべきだと言います。

  1. 社内情報(例:社内だけで知ることができるデータ情報)
  2. 公開資料(例:IR情報、商品資料)
  3. 社内関係者のインタビュー(例:まだデータとして現れていない、現場の社員が持つ情報)
  4. 社外関係者のインタビュー(例:競合企業が出した広報誌やインタビュー記事)

社内情報と公開情報からは、主にデータを収集します。そして社内外のインタビューからはデータとして現れていない情報を得てください。「考え方を考える」ことにより無理のない計画を立てるためには、これらの情報を十分に集めることが必要です。逆に言うと、あらかじめしっかり情報を集めておかなければ、「考え方を考える」ことに失敗してしまう恐れがあります。心して取り組みましょう。

ここまでできれば、「考え方を考える」ステップは終わります。実際の資料作成作業に取りかかってください。

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「考え方を考える」を成功させるための注意点

大石氏と山口氏の解説に沿って「考え方を考える」場合は、以下の4点に注意するとよいでしょう。

1. いきなり細かく分解しすぎない

大石氏いわく、具体的すぎる項目の列挙は、その後の作業の滞りにつながるとのこと。たとえば、新しい炭酸飲料の案を考えるなら、まずは「見た目」「味」などの大きな分類で考え始めましょう。最初の段階から「見た目」をさらに分解して、「パッケージデザイン」「広告デザイン」などと細部から考え始めると、見るべきポイントに目を向けそびれる可能性があります。

2. 「全体」に注意する

逆に、捉えるべき問題の範囲を広く見渡すことも重要です。大石氏いわく、これができないと問題の見落としが起きてくるとのこと。たとえば、新たな炭酸飲料を発売することによって「顧客に対するブランドイメージを向上させたい」といったように顧客にしか目を向けないでいると、店舗にとっては取り扱いにくい商品になる恐れが出てくるかもしれません。

3. 言葉を明確にする

「考え方を考える」際には、言葉の定義を明確にしておくことが必要です。大石氏いわく、これが必要な理由は、関係者同士で問題をはっきりと認識するため。炭酸飲料の「パッケージデザイン」であれば、ひとことで「パッケージ」と言っても「ラベル」「キャップ」「ボトルの形状」など複数の項目があるはずです。これを明らかにしなければ、プレゼンを聞いてくれる相手との意思疎通がうまくいかないかもしれません。

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4. 計画の正しさを確認するため、仮説検証を行ない続ける

ここまで、「考え方を考える」ことにより、作業に取りかかる前に準備を万全にする方法をお伝えしてきました。しかしながら、一度考え方を考えさえすればそれでよいわけではありません。山口氏は、自分のアイデアに対して疑問を抱くことで、より計画が完成されたものになると説いています。いったん練り上げた計画に固執せず、自分自身でそれが本当に正しいのかを疑うこと、つまり仮説検証を行なう必要があるのです。

プレゼンであれば、山口氏は本番前に試してみることが必要だと考えているそうです。先輩に見てもらい、意見をもらうのもありでしょう。

ほかには、先ほどの4つの情報ソースから得た客観的なデータは頭に入れておきつつも、「自分のプレゼンを聞いたら(あるいは、自分が提案した炭酸飲料を買うとしたら)、相手はどういう気持ちになるか、どういう行動をとるか」というストーリーやシーンをイメージすることも、山口氏の考える仮説検証です。イメージを膨らませ、相手が納得してくれるようなプレゼンを作り上げることが大事なのです。

***
「考え方を考える」ことは、問題の全体を捉えたうえで細かく分解し、問題解決に向けた論理を組み立てることに他なりません。少しずつ練習を重ねて、ぜひ習得してくださいね。

(参考)
ヒューマントラスト|仕事でミスをしないための事前準備
大石哲之著(2014),『コンサル一年目が学ぶこと』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
ウェイン・A. ウィケルグレン著, 矢野健太郎訳(2014),『問題をどう解くか: 問題解決の理論』, 筑摩書房.
山口周著(2015),『外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」』, 光文社.
株式会社デコム|【第1回目】『大松孝弘×山口周氏 対談ログ』~ほんとうの欲求は、ほとんど無自覚~

【ライタープロフィール】
渡部泰弘
大阪桐蔭高校出身。テンプル大学で経済学を専攻。外出時は常にPodcastとradikoを愛用するヘビーリスナー。

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