仕事がはかどらないのは脳が疲れてるせいかも。「頭がさえない」の解消法、4個集めました

脳を疲れさせない仕事術01

「最近なぜか仕事に集中できない」
「頭がさえない状態が続いている」

このような悩みを抱えている方は、もしかしたら「ブレインフォグ」に陥っているのかもしれません。

ブレインフォグとは、頭にモヤがかかったようにぼんやりしてしまう状態。上記のほかにも「注意力を維持できない」「覚えるのが困難」「物事を開始するのに時間がかかる」などの症状がみられるようです。医学用語ではありませんが、近年、このような悩みを抱えた人が増えているそう。

うつ病治療を手がける東京TMSクリニックは、ブレインフォグの原因として、情報過多による脳疲労や、仕事のストレス、心身への負担の蓄積などを挙げています。脳に疲れをためないために、日々小まめなケアを意識したいものです。

今回は、仕事のなかでできる脳を疲れさせないためのテクニックを4つ厳選してご紹介します。ブレインフォグに心当たりのある人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 労働時間短縮のために「タスクの所要時間」を設定する

「やることが多いから長時間働かざるを得ない」という人もいるかもしれません。ですが、少しでも効率をアップさせて早く仕事を終えられたら、脳の疲れもストレスも軽減すると思いませんか?

OECD(経済協力開発機構)が2017年に行なった調査によると、G7加盟国のなかで、日本が最も労働生産性が低いことが判明。一方、労働生産性第2位のフランスは、国民の労働時間が他国に比べて短いことで注目されました。短い時間で効率よく働くことが、結果的には高い生産性を実現するのかもしれませんね。

仕事の効率をアップさせるおすすめの方法はタスクごとにかける時間を決めることです。朝一番でその日のToDoリストをつくる人は多いかと思いますが、そこにもう少し工夫を加えましょう。たとえば、今日のToDoのひとつが「資料づくりを終わらせる」だった場合は、そのなかでやるべきタスクを細かく分け、各タスクにかける時間を決めるのです。

  • リサーチは10:00~11:00で終わらせる
  • 資料の大枠の内容は11:45までに決める
  • 休憩を挟んで14:00までには前半部分を完成させる

このように、細かいタスクと具体的な締め切り時間を決めると、ダラダラ作業してしまうことを防げます。

著書『脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』で知られる脳神経外科専門医の築山節氏によると、仕事をする際に時間制限を設けることで、集中力や思考力が高まるそう。仕事がはかどらなくて悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。

脳を疲れさせない仕事術02

2. 脳機能の低下を防ぐために「太陽光」を浴びる

頭がさえないことに加えて「気分が沈みがち」という悩みを抱えている人は、日光が足りていないのかもしれません。日中はオフィスで過ごし、暗くなってから帰宅する毎日だと、あまり日光を浴びることができないですよね。

この日光と深い関係があるのが、セロトニンです。セロトニンは、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わる脳内の神経伝達物質のひとつ。これが不足すると、覚醒や意欲に関わる脳の機能が低下したり、精神状態が不安定になったりします。セロトニンは、日光を浴びると目から脳に信号が出され、脳内での合成が活発になるもの。そのため、日光不足はセロトニン不足につながるのです。

セロトニン研究が専門の有田秀穂氏(脳生理学者、医師、東邦大学医学部名誉教授)によると、セロトニンは起床とともに分泌が始まり、就寝すると分泌が止まるという特徴があるそう。それゆえセロトニンの合成には、朝起きたらまずは外に出て、朝陽を浴びることがベストだとのこと。

たとえば、通勤途中に1駅歩くか、在宅ワークの人は軽い散歩に出かけるのがおすすめです。 屋内でも、日当たりのいい窓の近くなら効果があるそうなので、外を歩く時間がどうしてもとれない場合は、窓際で仕事をするのがいいでしょう。意識的に日光を浴びることで、脳機能アップにつながりますよ。

脳を疲れさせない仕事術03

3.  頭も体も重いときは「アクティブレスト」をとる

「しっかり休んだはずが、体は重いし、頭はすっきりしない」という状態の人は、脳と自律神経が疲れているのかもしれません。そんなときにおすすめなのが、アクティブレストをとることです。

アクティブレストとは「積極的な休養」という意味。あえて体を動かすことで回復を促すことを指します。国際武道大学で体育学科教授を務める山本利春教授によると、有酸素運動をすると血液の循環がよくなり、疲労の原因とされる血中の乳酸が効率的に処理されるようになるのだとか。そのため、じっとしているよりも疲れが解消されやすいのです。

また、体を動かすと脳の血流がよくなり、幸せホルモンと呼ばれるエンドルフィンの生成にもつながるそう。モヤモヤしながらなんとなく仕事を続けても、作業効率が下がるだけ。仕事のパフォーマンスを上げるために、体を動かして疲労回復を促しましょう。

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの西村典子氏は、アクティブレストとして軽いウォーキングやストレッチ、スイミングなどをすすめています。同氏いわく、重要なのは「息が切れるほどの運動ではなく、隣の人と楽しく会話できる程度の適度な運動」であること。

激しい筋トレや、ランニングなどをする必要はありません。仕事のあとや休日に、楽しみながら、簡単にできそうなことから始めましょう。

脳を疲れさせない仕事術04

4. やる気が出ないときは「作業場所」を変えてみる

同じ画面をずっと眺めているけれど内容がほとんど入ってこない……。まぶたがどんどん重くなっていく……。このような状況で、頭がぼんやりしてしまってどうもやる気が起きないというときは、景色を変えてみるのがおすすめです。

予防医学研究者で医学博士の石川善樹氏によると、場所を変えることには「頭のスイッチを切り替える」効果があるそう。同氏は著書『仕事はうかつに始めるな  働く人のための集中力マネジメント講座』のなかで、集中力を保つためのテクニックとして、やる気が出ないときに移動できる場所を決めておくことをすすめています。

石川氏によると、感情と場所はセットで記憶されるのだとか。やる気が出ない・集中できない原因のひとつは、前にその場所でだらけてしまったり疲れてしまったりしたことを脳が覚えているからなのだそう。

会社で席が固定されている人は、上司に許可をとって別の席や会議室を利用してみるのがいいかもしれません。在宅で働いている人は、普段の机から離れて、リビングやソファで作業をしてみたり、近所のカフェを利用したりするのがいいでしょう。場所を変えて仕事にあらためて取り組むことによって、気分を変え、やる気のスイッチを入れ直すのです。ぜひ試してみてくださいね。

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仕事で「生産性を上げたい」「集中力を保ちたい」と思っているのにうまくいかないときは、脳が疲れているのかもしれません。

そんなときは、今回ご紹介した方法を取り入れてみてくださいね。

(参考)
東京TMSクリニック|ブレインフォグ~集中力の低下・頭のモヤ~
HEFLO|5 ‘brain fog’ causes that affect work productivity
OECD|Continued slowdown in productivity growth weighs down on living standards
有田秀穂(2007),『簡単にできる! セロトニン「脳」活性法』, 大和書房.
有田秀穂(2011),『脳ストレスが消える生き方』, サンマーク出版.
My Wellness|“幸せホルモン”セロトニンで心も身体もスッキリ目覚める!
築山節(2006),『脳が冴える15の習慣  記憶・集中・思考力を高める』, NHK出版.
Lightworks BLOG|疲労回復のカギ握るアクティブレストとは デキる人は休むのもうまい
POWER PRODUCTION MAGAZINE|アクティブレストは疲れているときこそ有効!
石川善樹(2017),『仕事はうかつに始めるな 働く人のための集中力マネジメント講座』, プレジデント社.
NIKKEI STYLE|「疲れたら休養」はNG 軽い運動で血行促進
All About|アクティブレストとは…疲労回復に効果的な積極的休養

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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