“本気の勉強” を再開したい大人のための4つのモチベーション維持術。勉強場所はときどき変えなさい。

大人のための勉強モチベーションアップ術01

文部科学省の勉強に対する意識の調査によると、高校3年生の時点で「勉強が好きだ」という問いに「そう思う」と答えたのは、わずか4.6%だったとのこと。「確かに自分も学生のころはあまり勉強が好きではなかった……」という大人の方も多いのではないでしょうか。

しかし社会人になり、仕事などを通して「もっと視野を広げたい、教養を深めたい」と痛感したことで、改めて勉強に対する興味が湧く人は少なくありません。「大人になって勉強したくなった」という気持ちは、自分を大きく成長させるチャンス。その気持ちをずっと保ち続けたいものです

そこで、社会人が無理なく勉強するためのモチベーション維持術を4つご説明しましょう。

1. 資格取得など具体的な目標を立て、危機感を持って勉強する

資格スクエア代表で弁護士の鬼頭政人氏は、勉強に対するモチベーションは知識を身に付けたいという「渇望」だけでは足りないと述べます。具体性に欠ける目標なので、モチベーションが落ちるのも時間の問題なのです。

そこで鬼頭氏は、「危機感」を持たせることも大事だとしています。代表的なのが、タイムリミットがある資格試験を目標にすることです。

「これはこういう意味だったんだ!」と渇望を満たしつつ、「TOEIC750点を取らないと課長に昇進できない」などと危機感も持たせる、このバランスが重要です。

そして、渇望と危機感を両立させるためには、周囲に勉強宣言してしまうのが良いとのこと。適度な監視が良いプレッシャーになります。

さらに、ごほうびの “ニンジン” を用意しておくと良いのだそう。鬼頭氏は、仲間と模擬試験の点数を争うことをモチベーション維持に活用していました。

私は高校生の時、昼ご飯を賭けて予備校模試の順位を競って勉強していました。大した金額ではないですが、本能的な「負けたくない」という気持ちに加え、「あいつにドヤ顔された状態で昼飯を奢りたくない」という気持ちがありますので、原始的ながらこの方法はすごく頑張れます。

(引用元:東洋経済オンライン|勉強が進まない理由を「忙しい」で片付けるな

いつの間にか勉強をやめてしまわないよう、資格取得という具体的な目標を立ててみてはいかがでしょうか?

大人のための勉強モチベーションアップ術02

2. まずは薄いテキストから使い始める

勉強しようと思い立ち、形から入る人は多いですが、最初から分厚いテキストや問題集を何冊も買うのはおすすめしません

買ったばかりのころはモチベーションが上がるかもしれませんが、やってもやっても終わらないノルマにやがて辟易することになります。また、こうしたストレスは、脳の前頭葉に悪影響を与え、思考力・記憶力・判断力を低下させてしまう可能性さえあるのです。

そこで、東北大学加齢医学研究所教授・瀧靖之氏は、まずは薄いテキストから手を付けることを勧めています。

脳の力を引き出す肝は、脳にストレスをかけないこと。いつ学び終わるか予測できない分厚い参考書でいきなり勉強するのは、森をさまようようなもの。まずは地図代わりに薄い参考書を使い、学習内容の全体像を大づかみしよう。「『どこまで学んだか』を常に把握できると、脳はストレスを感じにくい」。

(引用元:NIKKEI STYLE|脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強法

脳のパフォーマンスを最大限に引き出すために、まずは学びたい分野を浅く広く学べるテキストを選びましょう。

大人のための勉強モチベーションアップ術03

3. 「暗記は繰り返すもの」と心得て、一度に知識を詰め込まない

学生のころの詰め込み教育の影響もあってか、「勉強=暗記」というイメージを持つ人は少なくありません。これがかえって、勉強をつまらないと感じさせている可能性があります。

とはいえ、勉強に暗記は不可欠。アレルギーを持たない程度に上手に付き合うことが、モチベーションを維持するコツです。

『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』の著者である石川和男氏によると、暗記と上手に付き合うコツは2つあります。

1. 目で見るだけの暗記はせず、声に出す・紙に書くといった工夫をする
2. 飽きが来そうになったら、別の勉強に変える

どんなに興味がある分野の勉強でも、ずっと続けていたら飽きが来ます。飽きたところから再びモチベーションを上げるのは苦労するので、飽きが来る前に手を打ちましょう。たとえば、いったん暗記をストップして小問題にチャレンジしたり、英語の勉強であれば英単語の暗記からリスニングや文法に切り替えるといった方法が有効です。

あわせて、1回で覚えられなくても落ち込まないことも大切です。「全然覚えられない」は最も言ってはいけない言葉だと、石川氏は述べます。

「エビングハウスの忘却曲線」によれば、人間の脳は1時間で56%のことを忘れ、1日たったら74%のことを忘れると定義づけられています。覚える作業を繰り返すことが、良い結果を呼び込む最大の近道なのです

忘れて当たり前。あなただけではないのです。みんな一緒です。10回やって駄目なら20回。それでも駄目なら100回やれば良いだけなのです。何度でも納得いくまで復習してください。

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|この「勉強法」は、やってはいけない~暗記編~

大人のための勉強モチベーションアップ術04

4. ときどき勉強場所を変えてみる

勉強を自室ですることには、いつでも始められるといったメリットがあります。しかし、より効果的な記憶の定着を狙うなら、ときどき勉強場所を変えるのがおすすめです

ミシガン大学で行なわれた実験によると、同じ部屋で勉強したグループに対し、勉強する部屋を変えたグループは、記憶した単語の数が40%以上多かったという結果が出たのだそう。

勉強場所を変えただけで記憶の定着が良くなった理由として、米国ベストセラー『脳が認める勉強法』の著者・ベネディクト・キャリーは、「エピソード記憶」が関連しているのではないかと考えています。

エピソード記憶とは、記憶したいものと当時の環境や体験(部屋から見える景色や流れている音楽など)が結びついて記憶になるというもの。この脳の働きを活かせば、より勉強がはかどる可能性があります。勉強が楽しければ、モチベーション維持も難しくありません。

2種類の部屋で覚えることで、勉強した単語、勉強中に目や耳に入った事実、勉強中に思ったことを思いだす手がかりの数が2倍になるのかもしれない。

たとえば、最初の部屋で「fork」を覚えたときは、ベージュの壁、蛍光灯、乱雑に積み重ねられた本がその記憶を彩り、次の部屋で「fork」を覚えたときは、窓から降り注ぐ太陽光、庭に立つ立派なオークの木、空調の音が結びついているかもしれない。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?

また、定期的に勉強する場所を変えることは、マンネリ対策にもなります。決まった曜日にカフェや図書館で勉強をしたり、モチベーションが落ちそうだと思ったら自習室で同じように勉強している人を見て刺激を受けたりすると良いでしょう。自宅を出て勉強する時間を作るのが難しい場合は、部屋を変えてみるといった対策がおすすめです。

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子どものころはあれほど嫌がっていた勉強も、大人になって楽しさを知ったら夢中になる可能性があります。「勉強をしたい」と思ったことが自己成長の大きなきっかけとなるように、モチベーション維持術を活用してみてくださいね。

なお、「社会人の勉強におすすめなのはコレだ! 勉強方法&勉強場所まとめ」では、社会人がどう勉強すればよいのか具体的な情報をまとめています。こちらもご参照ください。

(参考)
文部科学省|質問紙調査
東洋経済オンライン|勉強が進まない理由を「忙しい」で片付けるな
NIKKEI STYLE|脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強法
リクナビNEXTジャーナル|この「勉強法」は、やってはいけない~暗記編~
ダイヤモンド・オンライン|勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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