“優しいのに理不尽” な厄介者「マニピュレーター」にご注意を。知らないうちに操られてる可能性あり

サイコパスなマニピュレーターへの対処法01

最初は「いい人だな」と思っていたはずなのに、関わりが多くなるにつれてなんだか自分の心が疲れていく……みなさんの周りにそんな人はいませんか。それ、ちょっと厄介な「マニピュレーター」と呼ばれるタイプかもしれません。

私たちの心理状態や幸福度の多くは、人間関係に左右されるもの。よりよい社会生活をおくるために、そんな厄介者との関わり方を学んでおきましょう。

要注意! 「マニピュレーター」は相手を操るのがうまい

「そのプロジェクトが成功するといいね!」と言いながら、いざ集中したいときに邪魔をするように別の仕事を押しつけてくる同僚……。「君の仕事に期待しているよ!」と好意的に応援してくれていたのに、些細なミスを人前で激しく叱責して追い込んでいく上司……。こんな人、いないでしょうか。

 “親切” と “理不尽な態度” というふたつの矛盾した行為が繰り返され、しだいに自分の心が相手に支配されているような感覚にとらわれる――こうした心理に陥れる人物を、心理学では「マニピュレーター(Manipulator)」と呼びます。 

マニピュレーターとは「(他者を)操作する者」という意味。つまり、相手の心を意のままにコントロールして、自分の利益を得るパーソナリティを指します。2010年に、アメリカの心理学者ジョージ・サイモン氏が豊富な臨床経験から分析し、「人を追い詰め、その心を繰り返し支配する者」を「マニピュレーター(=潜在的攻撃性パーソナリティ障害)」と定義づけました。

彼らの特徴として厄介なのは、最初のうちは協力的・友好的な態度を示すので、一見して攻撃的な人物には見えないというところ。相手を特別扱いすることもあります。しかし、ある程度親しい関係になり、相手の弱点を知ったら、攻撃的な本性を見せて支配しようとするのです。

ここで注意すべきは、マニピュレーターが相手を特別扱いしたあとに与えるのは、あくまで「理不尽な厳しさ」だということ。たとえば、かなり大変そうに思える仕事を任せてきたとしても、それが相手のキャリアアップを思ってのことだったとしたら、理不尽とは言えませんよね。そうではなく、人前で「君のミスがなければ、あのプロジェクトは成功したかもしれないんだよ」となじって必要以上に追い込む――そういった人がマニピュレーターに該当します。

サイコパスなマニピュレーターへの対処法02

マニピュレーターの心理

本性は攻撃的なのに、なぜ最初に優しさを見せてくるのか。その心理について、メンタリストのDaiGo氏はこう説明します。

まず、相手にどれぐらいの利用価値があるのかということを探るためには仲良くならないといけないということです。ですから、そうやって皆さんの懐に入ってきて、皆さんの利用価値を値踏みします。
それから、利用するためには弱みを握らないといけないので、皆さんの利用価値を理解した上で弱みを握ってきます。

(引用元:Mentalist DaiGo Official Blog|関わるとやばい人の共通点  ※太字は筆者が施した)

このように、マニピュレーターはとても戦略的に私たちと関わってくるのです。

また、心理学者のジョージ・サイモン氏は、著書『他人を支配したがる人たち』の中で、マニピュレーターの狙いはただひとつ、「他者に勝利し、相手を支配すること」だと述べています。サイモン氏によれば、彼らは人間関係を「<搾取>する-される関係」だと考えているとのこと。自分の出世や名誉のためなら、彼らは他人を犠牲にすることだって厭わないのです。

サイコパスなマニピュレーターへの対処法03

マニピュレーターが厄介なのは「嫌なのに気になってしまう」から

最初の段階では見破れないとはいえ、徐々に彼らの特性がわかれば関係を離すこともできるはず。ところが、いったん彼らに関わると「依存的な感覚が生まれてしまう」と、DaiGo氏は述べます。 その理由は、好意を持たれているのか悪意を持たれているのかわからない「不確実性」が、私たちの注意を引きつけ続けてしまうから。

米国バージニア大学の研究では、自分に好意を持ってくれている人物よりも、好意を持ってくれているのかわからない不確実な人物のほうに人は興味を抱きやすいということが明らかになっています。つまり、「相手は自分のことをどう思っているんだろう?」「何が真実なんだろう?」と、かえって気になってしまうということ。たとえば、いままで親しくしていた同僚の態度が急に冷たくなったとしたら、たしかに「どうしたんだろう……」「私が何かしてしまったのかな……?」と心配になり、それまで以上に同僚の様子を注視してしまいますよね。

そして、会えば会うほど相手に好感を抱いてしまう「単純接触効果」も加わり、「嫌なのに気になってしまう」「嫌な人なのになぜか嫌いになれない」という状態に陥るのです。なんという皮肉……。そうなってしまったら最後、相手にますます支配されるのも必至です。

サイコパスなマニピュレーターへの対処法04

厄介なマニピュレーターに対処する方法

一度関わると私たちにさまざまなデメリットをもたらすマニピュレーター。でも接し方に注意すれば、彼らに巻き込まれることはありません。心理学者のプレストン・ニ氏は、マニピュレーターへの対処法について以下のアドバイスをしています。 

1. 観察して距離を置く

マニピュレーターは、接する人によって態度を変える特徴があります。ある人にはとても親切なのに、別の人にはとても横柄な態度をとるならば、その人物はマニピュレーターである可能性も。そんな様子が見られたら、適度な距離を置くように心がけましょう。 

2. マニピュレーターに問いかける

理不尽さをマニピュレーター自身に自覚させるのもひとつの手です。たとえば、「明日までにやっておいて」と、とてもひとりでは処理できない大量の業務を強いられたら、「これは明日までにひとりでこなせる妥当な量でしょうか?」などと問い返してみましょう。無理な要求をしている性格の悪い自分を省みることになると同時に、ターゲットとした相手がいつも素直に従う存在ではないことも認識するでしょう。

3. 断る

要求を呑むのはとても無理だと判断した場合は、断るのもひとつの方法です。「申し訳ありません。いまAの案件が忙しくて……」と、手一杯である現状を客観的に伝えて素直に断りましょう。なんでもかんでも言いなりになっていては、彼らの思うつぼ。マニピュレーターは “相手を支配したがる性格” であるということを念頭に、相手に主導権を握らせないように注意しましょう。

***
苦手な人とも関わらないといけないのが仕事というものですが、相手の理不尽な振る舞いに屈し続ける必要はありません。時には勇気を持って自分自身を守りましょう。

(参考)
ジョージ サイモン 著, 秋山勝 翻訳(2014),『他人を支配したがる人たち』, 草思社.
Mentalist DaiGo Official Blog|関わるとやばい人の共通点
SAGE journals|“He Loves Me, He Loves Me Not . . . ”: Uncertainty Can Increase Romantic Attraction
Psychology Today|How to Spot and Stop Manipulators

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。在学中にたくさんの本に触れ、文筆業に憧れを抱くようになる。卒業後は情報・通信業の事務としてアルバイトをしながら書評ブログを書く。現在はライターの道に進むことに決め、日々勉強中。趣味は読書(文学・心理学)、カフェ巡り。

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