人間関係で悩みに悩みまくっていた私が問題を整理してみた結果|4象限マトリクス活用ガイド

人間関係のイメージ図

「あの人、私のことを避けてる気がする……。話しかけても目を合わせてくれないし、あいさつも適当に感じる」
「プロジェクトチームに苦手な人がいる。これから何か月も一緒に仕事するなんて考えただけで憂うつ……」

職場の人間関係の悩み、誰にも相談できずにひとりで抱え込んでいませんか?

じつは私もいま、チーム内の人間関係でつらい思いをしています。毎日顔を合わせなければならない相手とうまくいかない——頭のなかはいつもモヤモヤした気持ちでいっぱいです。

でも最近、この状況を変えるためのヒントに出会いました。人間関係のストレスを軽減し、自分でコントロールできる部分を見つけ出す「4象限マトリクス」という問題解決フレームワークです。

この記事では、職場での人間関係改善に悩む方に向けて、私自身の経験を交えながら具体的な解決方法をご紹介します。チーム内のコミュニケーション改善に効果的な4象限マトリクスの活用法と、実践のポイントをお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。

なぜ職場の人間関係に悩むのか?

「今日は笑顔で話しかけてくれたのに、明日はそっけない返事だけ……」
「プロジェクトで一緒になったけど、この態度の変化についていけない……」

職場のコミュニケーションで、こんな経験をしたことはありませんか? 多くのビジネスパーソンが人間関係のストレスを抱えているのには、いくつかの理由があります。

まず、他人の気持ちや考えを完全に理解することは不可能です。表情や態度、言葉から推測することはできても、本当の気持ちは本人にしかわかりません。それなのに、私たちはつい「あの人はきっとこう考えているはず」と思い込んでしまいがちです。

次に、相手の言動をコントロールすることはできません。「もっと丁寧に話してほしい」「急に態度を変えないでほしい」と願っても、それを実現できるのは相手自身だけです。

そして最も重要なのは、ビジネスにおいて人間関係は避けて通れないということ。プライベートなら「合わない人とは距離を置く」という選択もできますが、仕事ではそうはいきません。日々顔を合わせ、コミュニケーションをとらなければならない相手との関係に悩むからこそ、解決の糸口が必要になるのです。

職場の人間関係のイメージ

問題解決に向けたアクションを取りやすくなる「4象限マトリクス」とは

4象限マトリクスは、複雑な問題を整理し、効果的な解決策を見いだすためのフレームワークです。縦軸と横軸で区切られた4つのエリアに情報を分類することで、状況を視覚的に把握し、優先順位をつけやすくなります。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社ディレクターの木部智之氏いわく4象限は「分かりづらいものを見える化」できるもの。「何かを評価したり、分析したりするときに有効」なのだそう。*1

たとえば、ビジネスでよく使われる例として「重要度」と「緊急度」による分類があります。

マトリクスで仕事を分類した様子

このように情報を整理することで、「今すぐ取り組むべきこと」「計画的に進めるべきこと」などが明確になります。

4象限マトリクスを使えば視覚的に整理することができ、複数の要素を同時に考えられるためバランスのとれた問題解決ができます。問題解決において効率的であり、効果的なフレームワークと言えるでしょう。この4象限マトリクスが、人間関係の改善に役立つのです。

4象限マトリクスは「人間関係の悩み」にも役立つ

元日本マイクロソフト業務執行役員で、現在は株式会社圓窓代表取締役の澤円氏はSTUDY HACKERのインタビューで、人間関係の問題は「相手は自分の思い通りには動かない」ことを前提に、「『4象限マトリクス』で自分がコントロールできる部分を探し、その行動に集中する」ことをすすめています。

「コントロール可能/コントロール不可能」「重要・緊急・優先度高/重要・緊急・優先度低」の4象限で整理すると、自分ができるアクションを明確にすることができます。*2

「あの人がこうしてくれればいいのに」や「あんなことを言う人だとは思わなかった」など、他人の態度に落胆した経験は誰しもあるはず。しかし、人間関係の問題を解決するには、相手の言動を変えようとするのではなく、自分自身の対応や考え方に焦点を当てることが重要です。なぜなら、私たちが直接コントロールできるのは、自分自身の行動と態度だけだからです。

交流分析(Transactional Analysis)を提唱したことで有名な精神科医のエリック・バーン氏も「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉を残しています。この言葉も、過去の出来事や他者の行動に執着するのではなく、自分自身の未来の行動に焦点を当てることの重要性を示唆しています。現状を変えるためには、自分の行動や態度の変容が鍵となるのですね。

次項では、私が4象限マトリクスでコントロール可能な部分を明確にし、どうアプローチすれば問題が解決するのか実践したいと思います。

オフィスで話し合っている人々

【実践】人間関係の悩みを整理してみた

私の場合、6名で構成されるプロジェクトチームのなかで、あるメンバー(Aさん)との関係に悩んでいました。

Aさんは時によって態度が大きく変わり、ある時は目を合わさずに投げやりに事務連絡をし、またある時は親しげに話しかけてくるという具合でした。仕事仲間なので関わらないという選択肢はありません。これ以上振り回されたくないので、4象限マトリクスを使って問題を解決したいと思います。

Step1:現状の整理

まずは、現在抱えている問題を具体的に書き出していきます。このとき重要なのは、感情的な表現を避け、できるだけ客観的な事実として記述することです。

私の場合、以下のように整理してみました。

【現状の問題点】

  • Aさんが目を合わさずに投げやりに事務連絡をすることがある。
  • Aさんはときどき親しげに自分の困りごとを相談してくる一方で、冷淡な態度をとることもある。
  • Aさんとの適切な距離感がわからず、対応に困惑している。
  • Aさんの態度に振り回され、精神的に疲弊している。
  • Aさんとの関わりを避けることができず、業務上のコミュニケーションが必要。

Step2:4象限への分類

次に、書き出した問題を以下の基準で4つに分類します。

  • 縦軸:自分でコントロール可能か否か
  • 横軸:重要度の高低

人間関係の悩みを4象限で分類した様子

Step3:アクションプラン作成

状況を4象限マトリクスで整理したことで、まず、私自身が「Aさんの態度を変えたい」という思いに固執していたことに気が付きました。これは第3象限(コントロール不可能・重要度高)に分類される要素でした。いくら望んでも、他人の態度を直接変えることはできません。

そこで、まずは第1象限(コントロール可能・重要度高)に分類された「自分の期待値の調整」と「相手の立場への理解」にフォーカスを当てることにしました。

具体的に実践したのは以下の取り組みです。

  • 「相手は自分とは違う価値観を持つ個人である」という認識をもつ
  • 態度の変化に一喜一憂せず、常に一定の礼儀正しさを保つ
  • 業務上必要なコミュニケーションを明確にし、それ以外の期待を持ちすぎない

実践したことによる最も大きな変化は、自分の心の持ち方です。Aさんの態度の変化に一喜一憂することが減り、「これは相手の特性のひとつ」と受け止められるようになってきました。

さらに、第3象限(コントロール不可能・重要度高)の内容を細分化して、自分でコントロール可能な要素を見出してみました。

  • 相手の性格や価値観 → 自分の理解と受容の姿勢を高める
  • 相手の仕事スタイル → 自分の仕事の進め方を柔軟に調整
  • コミュニケーションのいき違い → 自分から確認や質問をする習慣をつける

感情的にならず「変えられる部分」だけに着目して冷静に対応することで、結果的にAさんとのコミュニケーションもスムーズになってきましたよ。

4象限マトリクスを活用することで、漠然とした不安や悩みが具体的な課題として整理され、自分で取り組める部分が明確になりました。

***
人間関係の改善に、即効性のある魔法のような解決策はありません。しかし、4象限マトリクスを活用することで、問題を整理し、着実に改善していくことが可能です。まずは自分でコントロールできる部分から、一歩ずつ進んでいきましょう。

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

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