東大生推奨「本当に暗記に効くノート術」。勉強したことをずっと覚えておくには○○が重要だった

暗記に効くノートの実践写真

多くの社会人が勉強において悩まされるのが、“記憶力” の問題。「学生時代より記憶力が劣るから……」と勉強がはかどらないと感じる人もいるでしょう。しかし、効果的に覚えるための “記憶に残る” ノートの取り方さえ押さえていれば、学習効率は上がるのです。

長期的に覚えるための “暗記に効くノート術” を、覚えたい内容別に3つご紹介。筆者が実践した効果も共有しましょう。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

1. 用語をまとめて覚えたいなら……「メモリーツリー」

単語や用語をまとめて覚えられないと悩むのなら、「メモリーツリー」で言葉と言葉を関連づけてみてはいかがでしょう。

メモリーツリーとは、ひとつの言葉から派生するものを枝状に描くというもの。図で表すと、考えやアイデアを洗い出すマインドマップと似た構図です。

メモリーツリーの図(画像は筆者が作成)

実際に活用していたと話すのは、『東大生のノートから学ぶ 天才の思考回路をコピーする方法』の著者で東大医学部生の片山湧斗氏。同氏は、学習内容をひたすら暗記するのではなく、メモリーツリーなどを使って「『知識の関連付け』をすることが非常に大事」だと強調します。(カギカッコ内引用:ログミーBiz|東大生は「記憶力がいい」のではなく「暗記の工夫」をしている

片山氏は、メモリーツリーのイメージを以下のように説明しています。

例えば、体の部位を覚える時に、神経だったら神経のカテゴリ、筋肉だったら筋肉のカテゴリ、骨だったら骨のカテゴリと覚えていくことによって、ただ漠然と「ここに何があったっけ?」って覚えるのではなくて、自分で連想して「あっ、あそこにあの筋肉があったから、この筋肉も近くにあるな」というように、記憶の関連付けを作っていく。

(引用元:同上)

どの場所にあるのか、どの部位とつながりがあるのか――メモリーツリーでは、“言葉と言葉の関連性” が視覚的にとらえやすくなるのです。たしかに、用語をバラバラのまま覚えるよりも、カテゴリ分けされた図として見たほうが覚えやすいですよね。

さらに、関連づけは長期記憶に留めるための必要な過程のひとつ。

記憶力日本選手権大会の最多優勝者である池田義博氏は、「効率的な記憶のための手法」として、以下の「精緻化」を紹介しています。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|仕事の数字「パッと出る人」「全然出ない人」根本差

うんとわかりやすく言うと「与えられた情報を、そのままの形で覚えるのではなく、個人的な新しい意味付けをしてから頭に入れる方法」です。

その情報に対して何か気付いたり、何かイメージが浮かんだり、ということも精緻化になり得ます。

(引用元:同上)

メモリーツリーにおいて、ある用語と別の用語の関連性に気づくこと、そのつながりをイメージすることは、精緻化に該当すると言えるのではないでしょうか。

実際に、筆者も韓国語の単語を覚えるためにメモリーツリーを活用してみましたよ。

メモリーツリーの実践写真

最初は難しいと感じた筆者でしたが、関連づけるものを決めたところ、単語サイトを見ながらどんどん洗い出しできました。ハングルは漢字と対応していることが多いため、「感 “情”」からスタートし、“情” 報、“情” 景、“情” 緒……というように、漢字から連想する言葉を関連づけることにしたのです。単語をひとつずつ覚えるよりも、そこから連鎖するように関連語を書いていくほうが、漢字とハングルの関係性が一気につかみやすいと感じました。

筆者は外国語の学習で実践してみましたが、専門用語を覚えるならカテゴリ別に分けてもいいかもしれません。先に関連づけるものを決めて、ご自身で試してみてくださいね。

2. 苦手分野について重点的に覚えたいなら……「間違いノート」

問題集を使ってきちんと弱点を分析しながら、苦手ポイントに特化して覚えるには、「自分の苦手な問題を記録しておく『間違いノート』」がおすすめ。そう語るのは、東大医学部生の上田彩瑛氏です。東大に現役合格したときの勉強法を振り返り、「間違えた問題」を「必ずノートに書きとめてお」いたと述べています。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|現役で理三合格「ミス東大」が手ほどきする直前期に驚くほど点が上がる付箋&ノート術

こうして自分は何が苦手なのかを自覚すれば、似たような問題が出題されたとき、「これは自分の弱点だ!」と気づき、ミスを防げるようになるはずですね。

また、同じく東大医学部生で『やる気ゼロでも灘→東大理III 他力本願勉強法』の著者であるベテランち氏は受験生時代、「初見の問題をひたすら解く」ことを意識し、同じ問題集を何度も解くのは避けていたそう。その理由は「何周もしている問題集は、ページ数や、過去の自分の書き込みから、解き方や答えを思い出してしまう場合があるため」。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「同じ問題集をやり続ける」は非効率…現役で東大理IIIに合格した僕が「初見の問題を解く」にこだわった理由

みなさんも問題集を繰り返し解いた際、たとえ解き方を理解していなくとも、「このページの前半はAが多かったな」などと過去の記憶から直観で当てることができた経験があるのではないでしょうか?

そこでベテランち氏が作成していたというのが、「フィードバックノート」。「解説と照らし合わせて、どのように解いたのか、解けなかったのか」を記録し、「その総評も自分でつけ」ていたそうです。「マネージャーのように客観的に自分を分析」するつもりで書いていたとのこと。たとえば数学の過去問であれば、単なる計算ミスでも、どこで・どのように・なぜ間違えたのか分析していたといいます。(参考、およびカギカッコ内引用元:同上)

ふたりの東大生の説明からわかるのは、まず自分の弱点を把握することこそが効率よく勉強するためには重要だということです。

上記を参考に、筆者も英文法問題でミスをした箇所を洗い出して「間違いノート」をつくってみました。

間違いノートの実践写真

実践してみると、いままで曖昧なまま放置していた ”わからない” 部分を言語化する重要性を感じました。筆者の場合、英文法問題は解説を読み “わかったつもり” になって終わってしまいがちでした。しかし、間違えたところを自分で言葉にすると、文法構成のロジックが明確になって理解しやすく感じたのです。

また、これまでは英文法を理解するために問題集を解くことに重きを置いていましたが、「間違いノート」をつくり “わからない” 部分を重点的に覚えるほうが効率的だと実感。あとでシートで隠して復習しやすいよう、色分けするなどの工夫もすれば、より復習に役立つと思います。

3. 本の内容を覚えたいなら……「コーネル式ノート」

仕事に関わる知識や知見を広げるため本を読む習慣があるけど、読んだ本の内容を覚えられない……。そう悩んでいるなら、多くの情報をまとめて覚えるのに適した「コーネル式ノート」がおすすめです。

コーネル式ノートとは、全米屈指の名門であるコーネル大学の教育学者、ウォルター・パーク氏によって考案されたノート術。パーク氏の著書『How to Study in College』(1962年)で発表されてから、一躍注目を浴びるようになりました。(参考:Cornell University|Take Note: Popular Study Method has ‘Cornell’ Written All Over It

いまや海外では、大学生のみならず高校生も活用しているコーネル式ノート。多くの学習者がこのノート術を使う理由は、シンプルで機能的な “レイアウト” にあります。

次のコーネル式ノート図をご覧ください。

コーネル式ノートの図

(参考:Cornell University|The Cornell Note Taking System, 図はCornell Universityのウェブサイトを参考に筆者が作成した)

それぞれの項目の書き方を一緒に見ていきましょう。

「Note」欄⇒ 学習内容を書く

Note欄に書くときは、情報量を少なくするのがポイント。たとえば、脳について勉強していて「ワーキングメモリが貯蔵できる事象は、せいぜい7つ前後」という1文をノートに書くとしたら、“WM→約7つの事象を貯蔵” というように短くします。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「ワーキングメモリ」の記憶容量はトレーニングで増やせるか?

前出の池田氏によれば、「覚えづらい情報を自分で加工」することにより、その情報を「エピソード記憶」として長く覚えていられるのだそう。エピソード記憶とはいわば「思い出」のことです。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「記憶力日本一の男」流、忘れない力の鍛錬法

自分で工夫してわかりやすい言葉にすると、記憶に残りやすくなりますよ。

「Cue」欄⇒キーワードや質問を書く

Cue欄には、学習内容を思い出すきっかけとなるキーワードや質問を書いてみましょう。これはあとで復習する際、理解度の確認に役立ちます。たとえば、「ワーキングメモリに貯蔵できる数は?」など。

池田氏によれば、学習内容を「想起」する(=思い出す)ことで「『記憶』と呼べるもの」になるのだとか。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|試験で失敗する人は「記憶のしかた」を知らない

質問を書いたら、学習内容を覚えているかどうかの確認に活用してみてくださいね。

「Summary」欄⇒要約する

ノート下部のSummary欄には、学習内容を要約してみましょう。

『東大読書』など多くの著書がある東大生・西岡壱誠氏によれば、「要約」は「非常に学習効果が高い勉強法」。「『一言で言うと要するに何なのか』を頭の中で組み立てられた瞬間、一気に頭への残り方が変わる」と言います。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|マンガ!東大生の「最強の勉強法」は要約である

まず、“重要なポイント”を押さえる――これが理解力を高めるコツなのです。

上記をふまえて、筆者も経済学の学び直しに「コーネル式ノート」を使用してみました。次の画像をご覧ください。

コーネル式ノートの実践画像

コーネル式ノートの利点は、”要約” に尽きると思います。要約すれば、理解するために必要なものを絞り込むことができ、効率的に覚えられるのです。また、「Note欄に短く書き留める」→「Cueでさらに絞る」→「最後にSummary欄で全体を要約する」と段階を踏むため、最初から要約するよりも要点を抜き出しやすいと感じました。

さらに、Cue欄に書いたことを参考に、本当に覚えているかをチェックできるのもコーネル式ノートの大きなメリットのひとつ。忘れかけた頃に簡単なテストを行なうとよいかもしれませんね。

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効率よく長期的に記憶するためには、何度も繰り返し書くだけの勉強法はやめて、“記憶に残るノートの取り方” を実践してみればいいのです。あなたの勉強に合ったノートを試してみてくださいね。

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