「一流」と呼ばれる人には、そう呼ばれる理由が必ずあります。そして、それらのなかには、多くの一流の人間に共通するものも存在します。「その共通点は全部で11個」と言うのは、ANA時代に15年間にわたってVIP特別機を担当し、各国国家元首など一流と呼ばれる人に数多く接してきた、元トップCAである里岡美津奈(さとおか・みつな)さんです。その共通点のなかから、若いビジネスパーソンが特に身につけるべきものを教えてもらいました。
構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人
世界の一流の人間がもつ共通点
ANA時代、私はVIP特別機担当のCAとして、英国首相だったマーガレット・サッチャーさんなど「一流」と呼ばれる人たちにたくさん接する幸運に恵まれました。そして、彼ら、彼女らと接するなかで、一流の人がもつ共通点に気づいたのです。具体的には、下記のようなものになります。
視点を変えれば、この逆の特徴をもっている人は、二流、あるいは三流ということになるでしょう。最初の「謙虚で腰が低い」なら、その反対に「尊大で高飛車」な人は、やはり一流とは言えませんよね。
おじさんたちのダジャレから「ユーモア」を学ぶ
これらの共通点のなかでも、若いビジネスパーソンの人たちがこれから一流に近づいていくためにぜひ身につけてほしいものを挙げるなら、2つになるでしょうか。1つが3番目に挙げた「ユーモア」、もう1つが6番目に挙げた「美しい立ち居振る舞い」です。
仕事をうまく進めていき、大きな成果につなげるには、その仕事に関わる人とのよりよいコミュニケーションが欠かせません。そのときに大きな武器となるのが、ユーモアです。とはいっても、人を大笑いさせる必要はありません。大切なのは、まわりをくすっと笑わせて和ませるようなインテリジェンスやセンスなのだと思います。
いま、テレビのバラエティー番組などでお笑い芸人が起こしている笑いは、多くの人を大笑いさせるものかもしれません。でも、そのなかには誰かをおとしめて笑いにしているものもあります。誰かを大笑いさせている一方で、誰かを傷つけている。そんなものはユーモアでもなんでもありませんし、多くの人のなかでバランスをとって振る舞わなければならないビジネスの場では武器になるはずもないのです。
では、ユーモアを身につけるには、どうすればいいのでしょうか? 私は、上司など年上の、特に男性と積極的に接することをおすすめします。中高年のおじさんたちは、よくダジャレを言いますよね。若い人は敬遠するかもしれません。でも、よくよく聞いてみるとじつは奥が深いものもあるのです。
おじさんたちのダジャレは、ただ思いついたものではなく、その場での会話の流れを汲み、そのなかで出てきたワードを拾って考えたものがほとんどです。きちんと聞いてみると、「本当に頭がいい」と感心させられることも珍しくありません。
もちろん、ダジャレを連発しすぎて周囲をあきれさせることもありますが、その頭の回転の速さや言葉選びのセンスはたしかなものです。そして、なにより、おじさんたちのダジャレは誰も傷つけません。そこから学べることもたくさんあるのではないでしょうか。
バランスのとれた「美しい立ち居振る舞い」を身につける
そして、ユーモアのほかに、若いビジネスパーソンの人たちがこれから一流に近づいていくために身につけてほしいものが「美しい立ち居振る舞い」です。これには、服装など見た目も含まれます。なぜこれが重要なのかというと、人は見た目からでしか判断できない部分も多いからです。
特に、初対面の場合はそう。みなさんも、初対面の人に会った瞬間、「この人はどういう人かな」と自分なりに推測するはずです。でも、初対面ですから、その人の中身はまったくわかりません。判断材料は、その人がアウトプットしているものに限られます。
判断材料としては、まずは服装など見た目が挙げられるでしょう。それから、あいさつをして距離が近づけば言葉選びを含めたしゃべり方、においだって判断材料になります。そういった自分自身がアウトプットしているものにもっと注目してほしいのです。
そのときにより強く意識すべきなのは、「バランス感覚」です。若い人なら、まだ体型は崩れていませんし、おじさんたちよりもおしゃれに気を使っていることも多いもの。ですから、一見するとモデルのようにビシッと決まっている若い人も多い。でも、長くCAを務めていた私からすると、とにかく姿勢が悪い、それこそ立ち居振る舞いが美しくない人が多いように感じます。
服装に自分が発する言葉、においに姿勢など、自分がアウトプットしているあらゆるものが高いレベルでバランスがとれてこそ、初めて「立ち居振る舞いが美しい」と言えるのではないでしょうか。
【里岡美津奈さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「一流」になるための3つの条件――“エビデンスを重視する人”が二流どまりなワケ
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【プロフィール】
里岡美津奈(さとおか・みつな)
1965年2月12日生まれ、愛知県出身。24年間にわたり国内線、国際線のチーフパーサーとしてANAに勤務。そのうち15年間は、現在の天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、当時の英国首相マーガレット・サッチャーをはじめとする各国国家元首のVIP特別機の担当として活躍。2010年にANAを退職後、それまでの経験を生かし、企業や医療法人における人材育成コンサルタントとして「コミュニケーションの素晴らしい世界」を提案。また、個人のクライアント向けに、「パーソナルクオリティーコンサルタント」として、個人の持つ能力、魅力をさまざまな分野において遺憾なく発揮するための指導も行っている。『幸せをつかむ女と逃す女の習慣』(明日香出版社)、『いつもご機嫌な女でいるためのちょっとしたコツ』(主婦と生活社)、『3%の女性しか知らない 幸せな女の働き方』(大和書房)、『伝説のCAの心に響いた 超一流のさりげないひと言』(青春出版社)、『ファーストクラスのすごい成功習慣』(PHP研究所)、『ビジネスで使える 超一流 おもてなしの心・技・体』(朝日新聞出版)、『いつもうまくいく人の感情の整理術』(三笠書房)、『伝説のトップCAが明かす 一流になれる人、なれない人の見分け方』(PHP研究所)など著書多数。
【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。