多くのビジネスパーソンは、朝に目を覚ますと、その日の予定やタスクについて考え始めるのではないでしょうか。そんなとき、もしも「今日は失敗しそう」などとネガティブな想像をしてしまうと、本当にその日のパフォーマンスが下がってしまうそうです。
そうならないよう、数十秒間で実行可能なふたつの決断を行ない、1日のパフォーマンスを高めてみませんか? 詳しく説明しましょう。
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|朝2分の習慣が、毎日をもっと幸せに変える
Active Brain CLUB|朝に絶対避けるべき、脳のパフォーマンスを下げるある行動とは!?
東洋経済オンライン|「仕事が終わらない人」がつい口にするヤバい一言
朝に “これ” はしないほうがいい
「今日のプレゼンで頭が真っ白になったらどうしよう!?」
「また上司にダメ出しされるんじゃないか」
朝、こういったネガティブな想像をしたりストレスを予感したりすることは、ビジネスパーソンにとって望ましくないようです。
米ペンシルベニア州立大学の研究によると、朝のストレス予測は、その日の認知機能を低下させるそうです。それはつまり、その日の仕事のパフォーマンスを低下させてしまうことを意味します。
(参考:Active Brain CLUB|朝に絶対避けるべき、脳のパフォーマンスを下げるある行動とは!?)
そう聞くと、「じゃあ朝は絶対にネガティブな想像はしない!」などと言いたくなりますが、自然と頭に浮かび上がってしまうことを、コントロールするのは難しいですよね……。
朝にしたほうがいいこと1. 予定を数字で示す
それなら、ストレス予測の余地を与えず、なおかつその日のパフォーマンスを上げてくれそうな習慣を、朝に取り入れたらいいのかもしれません。
そこで参考になるのが、たとえばこんなやり方。『数字で示せ』(すばる舎)の著者である定居美徳氏(Sophia Bliss株式会社 最高執行責任者COO・北海道東川町CFO)は、
「今日は18時半に仕事を終わらせて、19時からの歓迎会に行こう。急ぎの仕事10件のうち、80%を今日中に終わらせれば大丈夫だ」
といった具合に、今日の仕事を数字で示せば早く仕事が終わると言います。なぜならば、数字で示すと今日のゴールが明確になり、ゴールまでの仕事量や優先順位が見えてきて、集中力が高まるからです。
(参考および引用元:東洋経済オンライン|「仕事が終わらない人」がつい口にするヤバい一言)
定居氏は数字で示す際に、より詳細な3ステップで行なうよう説明していますが、今回の1番の目的は朝のストレス予測回避なので、まずは数字で示した仕事終わりの予定を、メモ帳かノートに書くことから始めてみてもいいかもしれません。
たとえば以下のように、楽しい予定、意欲が湧く予定なども組み込むと、いっそう効果的なのではないでしょうか。
- 「今日は18時に仕事を終わらせて、ピザを持ち帰り家族と映画を観る」
- 「今日は18時に仕事を終わらせて、18時半にはジムに行き体を鍛えよう」
これならネガティブな想像をおしのけ、その日の仕事を頑張れそうな予感をもたらしてくれるはずです。
朝にしたほうがいいこと2. 2分間で3つのことを書く
また、ベストセラー作家のニール・パスリチャ氏(※)は、いくつかの研究に基づいて、毎日をより幸せに過ごすため朝の2分間で以下の内容を書いているそうです。
- 「今日は〇〇に集中する」
- 「〇〇に感謝する」
- 「〇〇を引きずらない」
同氏によれば、朝目覚めてこの作業に取り掛かる “前” から、“今日はいい日にできそうだ” なんて気になるそうですよ。 ネガティブな想像は入る余地がなさそうです。それぞれ例を挙げましょう。
(※著作6冊が『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリストにランクインした人気作家。年間50回以上TED、SXSW、グーグルなどで基調講演を行なっている。失敗・レジリエンス・幸福・信頼・感謝などについて執筆)
1.「今日は〇〇に集中する」
パスリチャ氏は、意志力の科学に関する書籍をふまえ、毎朝「今日は〇〇に集中する」と書き出すことで、たくさんの “やること” から「絶対にやること」を選べるようになったそうです。同氏いわく、大きなプロジェクトを、単純なタスクに落としこむことが可能となり、日常が安定したとのこと。たとえばこんな感じです。
- 主要取引先向けプレゼン資料の作成(大きなプロジェクト)
⇒ 今日はデータのビジュアル化だけに集中する(単純なタスク) - 展示会のプランニング(大きなプロジェクト)
⇒ 今日は商品を並べる什器の手配だけに集中する(単純なタスク)
(※同氏の例を参考に筆者が考えた。以下同じ)
2.「〇〇に感謝する」
また、パスリチャ氏は、研究などで “感謝の気持ちを書く習慣を続ければ、心身ともに健康になる” と知り、毎朝かなり具体的な感謝の気持ちを書き始めたのだそう。私たちが書くとすれば、たとえば、
- Aさんがくれた九州土産のお団子が、モッチリ甘くおいしかったことに感謝。
- Bさんが梱包作業を手伝ってくれたおかげで、18時に終われたことに感謝。
といった感じです。
3.「〇〇を引きずらない」
そして、サイエンス誌に掲載されていた論文で「後悔を減らすことが充足感を増やすことにつながる」と知ったパスリチャ氏は、減らすべき後悔についても書くようになったのだとか。イメージとしてはこんな感じでしょうか。
- メールの漢字を間違えてしまったことを引きずらない。
- プレゼンが少々失敗だったことを引きずらない。
(参考およびカギカッコ内引用元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|朝2分の習慣が、毎日をもっと幸せに変える)
どれもシンプルな内容なので、“たった2分でできる” というのも納得です。
朝の数十秒間で「たったふたつ」決めてみた
とはいえ、誰しも朝の出勤前は忙しいもの。書き出す項目は1つでも少ないほうが、負担なく続けていけそうですよね。
朝にストレスを予測してしまうことを回避するためであれば、先の定居氏の「数字で示す」習慣プラス、パスリチャ氏の「今日は何に集中するのかを決める」習慣だけでもいいのではないかと考えました。
もっと言えば、夜にそれらを書いて、朝に見直してもいいかもしれません。仕事以外にも親のケアで忙しい筆者は、後者を採用することにしました。そうして実際にやってみたところ――
――こんな簡単なことを寝る前にサッと書いて、朝見直しただけで、その日のやるべきことが決まって迷いがなくなりました。「よし、できる!」と自己効力感が高まってきた感覚もありますし、(ビールと餃子パワーも加わって)「よし、やろう!」といった意欲も湧いてまいりました。
そして、ほぼ確実に、朝のストレス予測は入り込めなくなっていた印象です。ちなみに、このメモを書くために要した時間は、たったの数十秒間でした。
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朝に嫌な予感をしがちな人でも、想像以上に楽しい気持ちになれるかも。ぜひお試しあれ。