走り続けて疲れている人に教えたい「Niksen(何もしない)」という考え方。たまには空を眺めるのも悪くない。

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「何もできなかった」と後悔する休日を嫌い、平日は能率を上げよう、生産性を高めようと自分を追い詰めてばかりいると、むしろ創造性を失い、アイデア創出や問題解決が難しくなってしまうかもしれません。

たまには一時停止してみてはいかがでしょう。多くのメリットがあるはずです。

猛烈に仕事を頑張っているが、今ひとつうまくいかない。最近は仕事が楽しくないし何だかしんどい。やる気が低下してきた気がする――といった感覚が少しでもあるならば、何もしないこと=「Niksen」をおすすめします。

専門家が、何もしないためのアイデアをくれました。紹介しましょう。

「Niksen」とは?

「Niksen(ニクセン)」は、“何もしない”を意味するオランダの言葉です。仕事にかかわる健康問題(ストレス・燃え尽き症候群など)に対処する方法として知られています。

仕事上のストレスに関する幅広い視野を持つネットワーク団体「CRS Centrum」で、マネージングディレクターを務めるCarolien Hamming氏によれば、「Niksen」とは、

  • 窓の外を見る
  • ぶらぶらする
  • 音楽を聴く

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など、目的もなく過ごしていることを意味するそう。

なぜ「Niksen」が必要なのか?

Carolien Hamming氏は、ストレスを通じてひどく疲れているクライアントに対し、定期的に「Niksen」を提案するそうです。走り続けてばかりでは、心のすり減りが加速するどころか、修復不可能になる危険性があるからでしょう。

目的を持つことも大切ですが、目的を持たない時間(何もしない時間)を設けることも重要なのですね。

また、セントラル・ランカシャー大学のSandi Mann博士の研究(2014)では、退屈な活動が創造性の向上につなると示唆されたそうです。そして、退屈と創造性の仲介役を担っているのが「白昼夢」であり、「白昼夢」は何もせずのらくらと過ごす「Niksen」で生まれるとのこと。

したがって、「Niksen」で白昼夢が生まれるほど、わたしたちはより創造的になれるわけです。創造性が高まれば、いいアイデアが浮かび、問題をうまく解決することだってできるはずです。

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それに、オランダの経営学者で精神分析学者のManfred Kets de Vries教授は、目の前の問題を頭から引き離すことで、やがて物事がはっきり見えてくると語っています。つまり、

  • 創造力の向上
  • アイデア創出
  • 問題解決

には「Niksen」が必要なのです。

しかし、「何もしない」とは、どんな行為を意味するのでしょうか? わたしたちの脳は、眠っているときでさえ活動しているといいます。

すると、精神医学科の政策および教育部長を10年以上務めたのち、引き続きエズラ・スタイルズ大学で準フェローとして勤務しているMPH(公衆衛生学修士)のRita Watson氏が、『Psychology Today』に「Niksen(何もしない)」アイデアを示してくれました。

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Niksen(何もしない)」アイデア

Watson氏いわく、「Niksen」の概念は、単なる「何もしないでおこう」といった考えではなく、何もしない決断とのことです。何もしない状態になるには、次のアクションが役立つそう。

  • 片づけて気を散らすものをなくす。
  • 何もしない時間を「To-Do」リストに書き込む
  • 一日のうちに小さな休暇をとる(ボンヤリ、白昼夢など)

そして、同氏が教えてくれた「Niksen」アイデアはこうです。

  1. 流れていく雲を眺める。
  2. 雲の中に見覚えのある形を見つけ、物語をつくる。
  3. 自分の呼吸に耳を傾ける。
  4. 心を空っぽにする。
  5. 幸せな瞬間を追体験する。
  6. いつも頑張っている自分に感謝する。
  7. 好きなことわざを考える。
  8. 風や雨、花の静けさに耳を傾ける。
  9. 周りの鳥や蝶に目を向ける。
  10. 誰かのことを考え、静かに彼らがうまくいくよう願う。
  11. ポジティブに焦点を合わせ、怒りを抑える。
  12. 愛する人のポジティブな幻想をつくり出す。
  13. 今ここに集中し、マインドフルネスを実践する。

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「Niksen」派? それとも「hygge」派?

じつは、「Niksen」より前に、話題になった言葉があります。それは、デンマーク語で “人と人との触れ合いから生まれる、居心地がいい時間や空間” を意味する「hygge(ヒュッゲ)」です。欧米では2017年の時点で新たなブームとなっていたそう。

具体的に説明すると、「hygge」は、たとえばキャンドルを灯したり、パチパチと音を立てる暖炉を囲んだりしながら、心地のいい部屋着やひざ掛けに身を包んだ友だちや家族同士が、コーヒーや甘いものなどを食べてリラックスする時間を指します。

コリンズ英語辞典は「hygge」を、2016年に最も話題になった単語トップ10に加えたのだとか。

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シチュエーションを整えたほうが、頭を空っぽにできる人もいるでしょう。キャンドルに火を灯すことや、部屋着に身を包むなどシチュエーションを整えるのはいいけれど、ほかの人がいるとリラックスできない、という人もいるかもしれません。

シチュエーションはどうあれ、ひとりで過ごすよりも、人と触れ合っているほうがリラックスできる人もいるはず。もちろん、ただひとりでゆっくりしたほうが、心を取り戻しやすい、といった人もいます。

「Niksen」だろうと「hygge」だろうと、また違ったかたちだろうと関係なく、自分の性質、あるいはそのときの気分に合った居心地のいい時間をつくり、ストレスを軽減することが大切です。

「Niksen」や「hygge」は、ひとつのヒントとしてとらえてみてください。

***
Rita Watson氏は、「何かをしなければならない」と自分を追い詰めてしまう人のために、“静寂の空間をつくる” ようアドバイスしています。それだけでも、心に一定の安らぎをもたらすそうですよ……。

(参考)
Psychology Today|The Serendipity of Doing Nothing 
Woolly Magazine|The New Dutch Trend That's Better Than "Hygge"  
The New York Times|The Case for Doing Nothing  
University of Central Lancashire|- CLOK - Central Lancashire Online Knowledge|Does Being Bored Make Us More Creative?  
東洋経済オンライン|経済ニュースの新基準|日本にもくる?欧米でブーム「ヒュッゲ」とは 
ANDERSEN GROUP - アンデルセングループ|ヒュッゲ 
Wikipedia|Niksen

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