仕事がデキない人の無意味な口癖。「この言葉」を連発する時代遅れ上司に感化されてはいけない

横山信弘さん「モチベーションの乱用に要注意」01

仕事で成果を挙げるためには、仕事に臨む「モチベーション」も重要な要素のひとつだと考えられています。しかし、その考えを真っ向から否定するのは、数多くの企業を支援している経営コンサルタントの横山信弘(よこやま・のぶひろ)さん仕事をするためにモチベーションなど必要ないと横山さんは言いきります。その言葉が意味するものとは、どんなことでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

「モチベーション」を連発する人は、仕事ができない

みなさんのまわりに、やたらとビジネスシーンにおける「流行り言葉」を使っている人はいませんか? いまなら、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「エンゲージメント(深い関係性・愛社精神)」「心理的安全性」などがそれにあたるでしょうか。

以前と比べて特に若い人のあいだでは使われることが減ってきたように私は感じていますが、「モチベーション」なんて言葉はその最たるものです。

しかも、このモチベーションを頻繁に使う人の多くは、モチベーションという言葉をきちんと理解して正しく使うことができていません。そして、なにより「仕事ができない人」がモチベーションという言葉を乱用しているように思います。

その間違った使い方とは、ビジネスパーソンとして「やって当たり前のこと」をやるにあたっても使うということ。就業規則で出勤時間が朝9時に定められているとしましょう。それを承知で入社したのですから、従業員として朝9時の出勤はやって当たり前のことです。

にもかかわらず、なかには「最近モチベーションが上がらなくて、出勤がつらい……」なんて言う人もいます。大多数の人が当たり前にやっていることをするにもハードルを感じるのですから、そういう人が「仕事ができる人」になれるわけもありませんよね。

横山信弘さん「モチベーションの乱用に要注意」02

ほとんどの仕事は、「やって当たり前のこと」

そもそもの話をすると、「仕事に対するモチベーションが上がらない」といった言葉も、私からすれば意味不明のものです。

当然、仕事に合う合わないということもあるでしょう。でも、合わないのなら、転職すればいいだけのこと。そうでないなら、やはりその仕事は「やって当たり前のこと」なのですから、そのことをやるにあたってモチベーションがどうこう言っている時点で、自分の仕事に対する意識の低さを自ら吐露しているようなものです。

もちろん、本当にモチベーションを働かせる必要がある場面もあります。それは、「やって当たり前のこと」とは対照的に、勤務先から求められてもおらず、やるべきことでもないことをやる場面です。

たとえば、自分の将来のために自発的に勉強をするといったこともそのひとつ。「勉強をしようと思っているけれど、モチベーションがなかなか続かない……」。これはモチベーションという言葉の正しい使い方です。

あるいは、所属部署が変わるなどしてこれまでに経験がない仕事をするにも、ある程度のモチベーションは必要となるでしょう。どんな些細な内容であっても、未経験の人間にとってはそれをやることにプレッシャーやストレスを感じるからです。

でも、よほど大きなプレッシャーやストレスを生じさせるような身の丈に合っていない仕事でなければ、そのうち必ず慣れます。顔を洗うとか歯を磨くといった習慣と同じレベルで、「やって当たり前のこと」と感じるようになるでしょう。

横山信弘さん「モチベーションの乱用に要注意」03

当たり前のことをやるために、モチベーションなど不要

そう考えると、仕事においてモチベーションそのものやモチベーションという言葉が必要とされる場面などほとんどないと言えるのではないでしょうか。

それなのにやたらとモチベーションという言葉を使ってしまうと、やって当たり前のことをやるにも自らにハードルを感じさせ、当たり前のことを当たり前にこなすという感覚を自分から削ぎ落としてしまうことになります。もちろん、そうなれば「仕事ができない人」になるでしょう。

特に若い世代の人たちには注意してほしいと思います。なぜなら、自分ではモチベーションという言葉を使わなくとも、先輩や上司にあたる中高年層には、モチベーションという言葉を好んで乱用する人がいまだに多いからです。

もしみなさんの上司がそういう人であれば、「ああ、上司はモチベーションのとらえ方を勘違いしているんだな」とスルーし、変に感化されないようにしてください。やって当たり前のことをやるために、モチベーションなど必要ないのですから。

横山信弘さん「モチベーションの乱用に要注意」04

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【プロフィール】
横山信弘(よこやま・のぶひろ)
1969年6月28日生まれ、愛知県出身。株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1,000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業に至るまで、支援実績は200社以上。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『優れたリーダーは部下を見ていない』(かんき出版)、『セールストーク力の基本』(日本実業出版社)、『自分を熱くする』(フォレスト出版)、『営業の基本』(日本実業出版社)、『自分を強くする』(フォレスト出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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