超有名なのにほぼ誰もできていないビジネス手法。じつは抜け落ちやすい最重要ポイントはコレだ

横山信弘さん「きちんとPDCAを回す方法」01

「PDCAサイクル」という言葉を知っていますか? おそらく、ほとんどのみなさんが、「いまさら解説の必要なんてないよ」と思ったことでしょう。ところが、数多くの企業を支援している経営コンサルタントの横山信弘(よこやま・のぶひろ)さんは、「ほとんどの企業がきちんとPDCAを回せていない」と語ります。いったいどういうことなのか、きちんとPDCAを回す方法とあわせて解説してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

ものづくりの現場では当たり前に行なわれている精緻なプランニング

「PDCAサイクル」という言葉は、ビジネスパーソンであればほぼすべての人が知っているでしょう。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のサイクルを回すことで、継続的な業務の改善を促す方法です。

ただ、これだけ広く知られているにもかかわらず、私からすればPDCAサイクルをきちんと回すことができている企業は、そう多くないと感じています。

きちんと回すことができているのは、たとえばものづくりに関わる企業です。建設業者であれば、完成を目指す建物の設計図や工程表がないことには仕事になりませんから、当然ながら徹底的に精緻なプランを練ることになります。

もちろん、どんなにしっかりとプランニングしたところで、完全にそのとおりに工事が進むことはないでしょう。悪天候によって工事が予定より遅れるだとか必要な資材が届かないといったトラブルは大なり小なり起きますから、その都度、工程表を見直すといったPDCAのCとAも行なうことになります。

ただ、やはり最も重要なのは、PDCAのPにあたる計画です。もし、建設業者が施主の希望とは異なる建物を建ててしまったとなったら大問題。ですから、ものづくりの現場では、徹底的に精緻なプランを練ることが当たり前に行なわれているのです。

横山信弘さん「きちんとPDCAを回す方法」02

ホワイトカラーの多くの仕事に、本当の「P」が欠けている

ところが、建物のようなわかりやすい「もの」がない場合だとどうでしょうか? 一般的なホワイトカラーのビジネスパーソンが関わる仕事のなかには、そういった「もの」がないことも多くあります。

たとえば、「新規顧客を開拓する」「コストを削減する」「売上をアップさせる」「組織風土を改善する」といったこともそれに該当する仕事です。では、「よし、新規顧客を開拓するぞ!」と意気込む企業がきちんとプランニングできているかというと、ほとんどのケースでできていません

営業をかける相手のリストはどうなっているのか、誰がどの相手にいつどんな手段で営業をするのか、新規顧客獲得のためにイベントをするのならどんな内容でどんな規模で開いてどれくらいの集客を見込んでいるのか——。そういったことをすべてきっちり決めてこそ、ようやくそれはプランと言えます。

本当の意味でのプランもないまま、ただやみくもに「よし、新規顧客を開拓するぞ!」と言うのでは、それはただスローガンを叫んでいるだけ。「みんなで頑張ろう!」なんていう曖昧なかけ声と同じで、それでは目的の達成が難しくなるのも当然です。

横山信弘さん「きちんとPDCAを回す方法」03

具体的で計測可能な数字で目標と期限を設定する

では、どうすればきちんとプランを練ることができるのでしょう? やるべきことは本当に簡単です。それは、具体的で計測可能な数字で目標を設定し、その達成を目指す期限を設ける——ただそれだけです。

また、その目標や期限を組織に属するメンバーできちんと共有することも重要なポイントです。極端な例ですが、建設現場で働く人たちがそれぞれ違った設計図のもとで建物をつくろうとしてもうまくいくはずがありません。同じ目的の達成を目指すメンバーは、同じ方向を向いて同じ目標を共有している必要があります。

ここで注意してほしいのが、「目的」と「目標」を取り違えないようにすること。目的は曖昧な言葉でもかまいません。先の例の「新規顧客を開拓する」といった、数字では表せないような内容です。一方の目標は、「いつまでに○社と契約する」と具体的な数字で表せるものでなければなりません。そうでなければ、具体的な目標が見えないために、目的達成の可能性が大きく低下するからです。

こう言うと、「プランニングに時間をかけると動きが遅くなるのでは?」と思った人もいるかもしれません。でも、もしプランニングに時間がかかるとしたら、それはただ慣れていなかったということでしょう。それこそ、これまでまともにPDCAサイクルを回せていなかったことの表れではないでしょうか。

また、きちんとプランニングすることなく動き出した結果として多くの軌道修正をすることと比べれば、多少の時間はかかってもきっちりとプランを練って軌道修正を抑えるほうが、トータルで見ればよほどスピーディーに仕事を進められるはずです。

しかも、「新規顧客を開拓する」「コストを削減する」「売上をアップさせる」「組織風土を改善する」といった目的達成のためのプランニングは、巨大な建物の精緻な設計図をつくることに比べれば必要な数字もたかが知れていますし、決して難しいことではないはずです。

横山信弘さん「きちんとPDCAを回す方法」04

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【プロフィール】
横山信弘(よこやま・のぶひろ)
1969年6月28日生まれ、愛知県出身。株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1,000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業に至るまで、支援実績は200社以上。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『優れたリーダーは部下を見ていない』(かんき出版)、『セールストーク力の基本』(日本実業出版社)、『自分を熱くする』(フォレスト出版)、『営業の基本』(日本実業出版社)、『自分を強くする』(フォレスト出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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