「自己肯定感が低い人」6つの行動の癖。自分の長所に注目するには “強い意識づけ” が必要だ

工藤紀子さんインタビュー「自己肯定感ブームへの危機感」01

教育界はもちろん、ビジネスシーンでも「自己肯定感」という言葉を見聞きする機会が増えてきました。日本人の自己肯定感の低さを懸念するニュースが流れる一方、「自己肯定感さえ高めれば人生はバラ色」といったニュアンスの記事も見られます。

そのことに警鐘を鳴らすのが、「自己肯定力スペシャリスト」の工藤紀子(くどう・のりこ)さん自己肯定感が人間関係にもたらす影響に関するお話と併せて、自己肯定感ブームに抱く危機感について語ってもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

自分を認められない人間は、他者も認められない

「自己肯定感」という言葉がよく知られるようになったいま、改めて説明する必要はないかもしれませんが、自己肯定感とは、簡単に言えばありのままの自分を受け入れて認める感覚のことです。

その字面から個人の中で完結しそうなものですが、そうではありません。この自己肯定感の高低が、その人の人間関係にも大きな影響を与えるのです。というのも、人には自分を理解しようとしている人を信頼するという特徴があるからです。

自己肯定感が高い人は、自分を認めて自分を理解できています。だからこそ、他者を認め、理解しようとする。そのため、他者からの信頼を得られ、良好な人間関係を築けるわけです。

一方、自己肯定感が低い人の場合はどうでしょうか? 自分のことを認められず理解できないのですから、他者に対しても認めたり理解したりしようとしません。そして、他者を否定的に見るがために、他者も自分を否定的に見ているのではないかと思い、自分を守ろうと自己保身の行動に走りがちになります。その自己保身の行動が、人間関係の問題を起こしてしまうのです。

工藤紀子さんインタビュー「自己肯定感ブームへの危機感」02

また、感情的になりやすいということも、自己肯定感の低さが人間関係をこじらせてしまうもうひとつの要因です。人が感情的になるのは、自分を否定されて自己価値が脅かされたとき。自己肯定感が低いということは、それだけ自己価値がおびやかされていると感じる機会が多いということです。そのため、自己肯定感の低さによって感情的になることも多く、人間関係がこじれてしまいます。

かといって、自信家であればいいわけでもありません。なぜなら、自信家であることイコール自己肯定感が高いというわけではないからです。周囲から見て自信過剰に映る人は、他者を否定したり攻撃したり、あるいは自分の考えに従うように強いたりします。それらは、裏を返せば自分に自信がないがために自己価値を守ろうとして取る行動です。そんな行動をしていては、周囲といい人間関係を築けるわけもありませんよね。

自己肯定感が低い人が取りがちな自己保身行動

みなさんには、下記のような行動の癖がないでしょうか。これは、先に触れた、自己肯定感が低い人が取りがちな自己保身の行動です。

工藤紀子さんインタビュー「自己肯定感ブームへの危機感」03

でも、これらは決してNG行動というわけではありません。なぜなら、自己保身は、自己価値が脅かされたと感じたときの人の本能的な行動でもあるからです。

「自己肯定感を高めるためには、これらの行動をしてはいけない」と考えてしまうと、これらの行動をした場合、「またやってしまった、自分は駄目な人間だ……」と自己否定してしまい、それがまた自己肯定感を下げるという悪循環に陥ってしまいます。ですから、これらは自己肯定感が低いかどうかを見極める、あくまでリトマス試験紙のようなものだととらえてほしいのです。

当てはまるものがひとつやふたつであれば、自己肯定感が低いわけではなく、ただの癖と考えることもできます。一方、4つや5つが当てはまるのならば、その背景にはやはり自己肯定感の低さがあると考えたほうがいいでしょう。その場合は、私が提唱する自己肯定感を高める方法を試してほしいと思います(『この5つのステップで、大人でも「絶対的自己肯定感」を高められるワケ。』参照)。

工藤紀子さんインタビュー「自己肯定感ブームへの危機感」04

自己肯定感を高めるためには強い意識づけが必要

先に述べた、自己否定を繰り返す悪循環に陥ることにも通じますが、私はいまの自己肯定感ブームについて危惧している部分があります。

私が自己肯定感に注目してもう25年になりますから、自己肯定感が広く知られるようになったことについては嬉しく感じています。でも、「自己肯定感が低いと成功できない」というふうに決めつけるような考え方や、逆に「自己肯定感が高まれば、勉強や仕事もできるようになる」という短絡的な考え方が広まっていることについては、とても心配しています

たしかに、幸せな人生を歩むには、自己肯定感を高めることも大切です。でも、自己肯定感が低いからと、それを、自分を否定したり責めたりする材料にはしてほしくない。

そもそも、「自己肯定感を高めることが大事だ!」なんて考えても、そう簡単に自己肯定感を高めることはできません。人は、自分の悪い部分に目が向きがちだからです。たとえば、一部が欠けている円が描かれている絵を見たら、最初にどこに目が向くでしょうか? おそらく、ほとんどの人が欠けている部分を見るはずです。それだけ、自分に足りない部分や持っていないものにも目が向きやすいのです。

それは、言い換えれば、すでに持っているものには目が向きづらいということ。自分のいい部分に目を向けるには、意識づけが必要なのです。まずは、自己肯定感を高めるための大前提として、その点を理解してほしいと思います。

工藤紀子さんインタビュー「自己肯定感ブームへの危機感」05

【工藤紀子さん ほかのインタビュー記事はこちら】
この5つのステップで、大人でも「絶対的自己肯定感」を高められるワケ。
ポジティブもネガティブも言語化する。自己肯定感を高めるための3つの「紙に書く習慣」

職場の人間関係は自己肯定感が9割

職場の人間関係は自己肯定感が9割

  • 作者:工藤紀子
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【プロフィール】
工藤紀子(くどう・のりこ)
1962年生まれ、埼玉県出身。自己肯定力スペシャリスト。JISEエグゼクティブトレーナー。一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会代表理事。ヴィーナス・クリエイト代表。子育て中に「自己肯定感」の大切さを知り、自らも自己肯定感を高めたことで、自らの人生を好転させる。「心の仕組み」の理解と「セルフエスティーム向上」についての研究を続け、自己肯定感を高める独自メソッドを確立。2005年、ヴィーナス・クリエイトを立ち上げ、「女性の幸せが社会の幸せを創造する」という理念のもと年100回以上のセミナーを開催し、延べ2万人を指導。2013年には一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会を設立。誰もが本来の力と自信を取り戻し、幸福度の高い社会を実現することを目的に、セミナーや企業研修、講演会を通じて自己肯定感を高める機会の提供、自己肯定感を広く普及できる人材の育成に注力している。2019年、中学校道徳教科書(学研)に「自己肯定感」について執筆。「子どもも大人も自分らしくハッピーに!」をキャッチフレーズに、自己肯定感で職場や社会を元気にする「ラブ・マイセルフプロジェクト100万人プロジェクト」に取り組んでいる。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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