「自分はストレスがたまりやすいタイプだ」
「理由はわからないけれどイライラすることが多い」
そう感じている人はいませんか?
たとえ自分では気がつかないほどの小さなストレスでも、積み重なると心や体に大きな負担を与えてしまいます。健康やパフォーマンスを保つためにも、日頃から意識的にストレス発散する習慣を身につけるべきです。
そこで今回は、洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長の伊藤絵美氏がすすめる「ストレス耐性を上げる方法」をご紹介します。3つのステップがあるので、順番に見ていきましょう。ストレス対処策を “100個” 書き出すといいらしいですよ!
【1】ストレスの原因となる「ストレッサー」を書き出す
まず、ストレスの原因となっている出来事や状況(ストレッサー)を書き出しましょう。ストレスに対応するためには、自分がストレスを感じる要因を認識しておく必要があります。
「会社の同僚が嫌味を言ってくる」といった明白なことだけでなく、「部屋が散らかっている」「雨が降っていて憂鬱」「最近、美容院に行けていないのが気になる」など、日常生活の小さなこともリストアップしましょう。小さなストレスでも、積み重なると大きなストレッサーになりうるからです。
【2】ストレッサーに対する自分の「ストレス反応」を書き出す
次に、リストアップしたストレッサーに対する「ストレス反応」を書き出しましょう。
ストレスに対処するためには、自分がストレスと感じた際に、心や身体がどのような反応をするのかを理解しておく必要があります。ストレッサーとストレス反応の双方をモニタリングするのです。ストレス反応には、以下のように4つの種類があります。
- 認知
ストレッサーに対してどのような認識をしたかです。たとえば「忘れ物をした」というストレッサーに対して、「自分はダメな人間だ」「疲れていたのだから仕方ない」「今日は嫌な1日になりそうだ」など、さまざまな思考が湧いてくるでしょう。
- 気分・感情
心で感じる感覚です。ムカつく・ショック・悔しい・無気力・憂鬱などが挙げられます。
- 身体反応
個人差がありますが、頭に血が上る・胃が痛む・喉が渇くなどが挙げられます。気づきにくい場合もあるので、無理に書かなくてもかまいません。
- 行動
ストレスを感じたときに、どのような行動をとっているでしょうか。無理して笑う、ひとりになって泣く、飲みに行くなど。
【1】と【2】のステップを実践すると、以下のようになります。
【3】100個のストレス対処策を書き出す
モニタリングを行なったら、次は「コーピングレパートリー」(ストレスへの対処法リスト)をつくります。これをすると安心する・頭を冷やせる・楽になるなど、つらいことが起こったときにストレスを発散させてくれる行動を書き出すのです。項目はなるべく多いほうがベター。できれば100個書き出しましょう。たくさん対策をつくっておくことで、ひとつが効かなかったときに別のことを試せます。
たくさん書くためのコツは、詳細まで決めること。たとえば、「好きなカフェでお茶をする」ではなく「カフェAでお茶をする」「カフェBでお茶をする」など、具体的にお店やメニュー内容まで書き出すのです。
また、行動だけでなく考え方についても書きましょう。たとえば、「嫌なことにもよい面を見いだす」「相手の立場になって考えてみる」「過去の成功体験を思い出す」など、物事のとらえ方や考え方を意識する方法もあります。ほかにも、憧れの人やキャラクターをイメージすることもおすすめ。「○○さんならきっとこういうふうに考えるだろう」「○○ならきっとこのように対処するだろう」などと考えましょう。
たとえば以下のような具合になります。
書き出したリストは常に持ち歩き、ストレスのかかる状況があれば、そのつどリストからどれかを実行してください。
続ければコーピングの精度が上がっていく
実際にやってみると、「ストレスの原因を書き出す」と「ストレス反応を書き出す」という2つのステップの段階で、ストレスコーピングとしての効果を実感できるはず。書き出すという行為を通して、ストレスを認識できるようになるからです。
また、100のストレス対策を書き出すのは大変な作業ですが、今後の人生に絶対に役立ちます。たくさん対処法をもっておけば、場面に応じていろいろ試すことが可能です。
何度もマッチングを繰り返していけば徐々に精度が上がり、「こういうシチュエーションのときはこの対処法が効く」ということがわかってくるでしょう。コーピングが成功すれば自信になりますし、「次にまたつらい場面に出会っても対処できる」という安心感も生まれるはずです。
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ご紹介した3つのステップを実践し、ストレスにうまく対処できる人になりましょう!
(参考)
PHP Online 衆知|自分なりのストレス対処法を100個書き出し、常に持ち歩こう
みんなのメンタルヘルス|いらいらする・怒りっぽい
Academy of Management|Expressive Writing and Coping with Job Loss
【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。