脳が働かない人は植物を育てるべき。「グリーンのすごさ」4つの科学的根拠

植物をライフスタイルに取り入れよう01

新型コロナウイルスの影響で、私たちの日常は大きく変わりました。家で仕事をするようになった、休日に外出する機会が減った、そんな人も多いのではないでしょうか。

自宅で過ごす時間が増えたことにはいい面もありますが、一方でストレスや不満の元凶になることも。ぜひライフスタイルに「植物」を取り入れて、悩みを解消しませんか?

植物が私たちにもたらしてくれる驚きの効果を、科学的視点から4つご紹介します。

1. 副交感神経を活性化させてくれる

森林や公園など樹木が多く生えている場所にいると、心が穏やかになったり気分がすがすがしくなったりしますよね。その理由のひとつは、植物が発する物質「フィトンチッド」にあります。

このフィトンチッド、もともとは植物自身が害虫などの外敵から身を守るために発散させている物質です。しかし近年のさまざまな研究で、フィトンチッドは人間にもいい影響を与えてくれることが明らかになりました。具体的には、「副交感神経を活性化させてリラックス効果をもたらす」「ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量を減少させる」など。

制限の多い生活を強いられていて気持ちが晴れない……そんなときは、気分を変える機会を意図的につくるべきです。朝時間や休日などを使って、(三密を避けつつ)近場の自然豊かな場所へ足を運んでみましょう。木々のあいだを歩けば、思いのほか癒やされるかもしれませんよ。

植物をライフスタイルに取り入れよう02

2. 頭脳労働をはかどらせてくれる

東京都福祉保健局ホームページによれば、室内の空気には、壁や床の塗料・接着剤などから発生する化学物質が混入している可能性があるとのこと。それらが、吐き気や頭痛など、俗に言う「シックハウス症候群」を引き起こす場合も。

しかし、NASA(アメリカ国立航空宇宙局)の研究により、屋内の観葉植物が空気中の化学物質を吸収してくれることが判明しました。「植物が空気を浄化してくれる」という話はよく聞きますが、真実なのですね。

そして健康面以外にも、きれいな空気が私たちにもたらしてくれる大切な効果があります。ハーバード大学公衆衛生大学院助教授のジョゼフ・G・アレン氏らは実験で、「空気が平常な部屋」にいる人々と「化学物質の濃度が高い部屋」にいる人々に同じ認知機能テストを受けてもらいました。その結果、前者のほうがはるかに成績がよかったのです。スコアに特に著しい差が生まれたのは、意思決定や戦略策定に関わる分野でした。

家での仕事がはかどらない……その原因は空気のよどみにあるのかもしれません。NASAの報告書によれば、化学物質の吸収効果は、サンスベリアやポトスなどが特に高かったのだそう。部屋に観葉植物を置き、空気の質を改善するところから始めてみましょう

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3. 知的生産性を高めてくれる

視界のなかの緑(植物)が占める割合のことを「緑視率」と言います。豊橋科学技術大学名誉教授の松本博氏と長崎大学准教授の源城かほり氏の研究により、この緑視率と私たちのパフォーマンスには密接な関係があることが判明しました。

具体的には、「緑視率が10~15%のときに人のパフォーマンスが最も向上した」のだそう。植物が視界のなかに配置されることでストレス解消効果が生まれ、それがパフォーマンスアップにつながったようです。

GoogleやApple、Amazonといった多くの世界的企業も、働く人のストレス解消やモチベーションアップを目的に、オフィス空間に植物を取り入れています。2で説明したとおり、植物には空気清浄効果もあります。部屋に植物を置く際は、ぜひ「勉強や仕事をするときに視界に入る範囲に」配置してみてください。知的生産性がもっと高まりますよ。

植物をライフスタイルに取り入れよう04

4. 五感を刺激して心身のバランスを保ってくれる

じつは、植物を育てること自体にもメリットがあります。外出がはばかられて趣味に時間を割けない……そんな人は、いっそのこと「園芸」を趣味にするのもおすすめです。

第二次世界大戦後のアメリカでは、戦争で傷ついた人々のリハビリテーションとして園芸(=植物と触れ合ったり植物を育てたりすること)が取り入れられました。現在では世界各国で園芸に関する協会が設立されて、メンタルケアや子どもたちの教育などを目的とした「園芸療法」が行なわれているほどです。

千葉大学園芸学部准教授の岩崎寛氏によると、植物は五感に刺激を与えて心身のバランスを保ってくれる存在なのだそう。眺めるだけで癒やしを与えてくれるのはもちろん、風でこすれる葉音で気分を穏やかにさせてくれたり(※リラックスしたときに発生するアルファ波が脳に発生するそうです)、葉や新芽に触れた感触が脳を刺激してくれたり――。

日本園芸療法学会によると、プランターひとつ分の範囲でも十分に「園芸」だそうです。ストレスを和らげたい、脳にちょっとした刺激が欲しい……そんな人は、玄関やベランダなどで植物を育て、ときおり眺めたり触ったりしてみてはいかがでしょうか

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植物がもたらす4つの効果をご紹介しました。ご自身の悩みに合わせて、ぜひ植物をライフスタイルに取り入れてみてください。

(参考)
フィトンチッドジャパン株式会社|フィトンチッドの様々な効果について
厚生労働省|シックハウス対策のページ
NASA (1989) , "Interior Landscape Plants for Indoor Air Pollution Abatement"(PDF
ハーバード・ビジネス・レビュー|オフィスの空気が淀んでいると仕事の生産性が低下する
日経クロステック|「緑視率」「プレゼンティズム」…、趣向を凝らす健康経営
日本園芸療法学会|園芸療法を導入するには
住友化学園芸|園芸療法とは

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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