脳の “あの部位” が弱っていると「選ぶ力」が途端に低下する。鍛えるための2つの習慣

眼窩前頭皮質-01

 「眼窩前頭皮質(Orbitofrontal cortex:OFC)」(読み:がんかぜんとうひしつ)という脳の領域をご存知ですか? 思考や創造性を担う脳の最高中枢・前頭前皮質の表面にあり、 眼球が収まっている、眼窩という頭蓋骨の空洞のすぐ上に位置します。

最近の研究では、眼窩前頭皮質が物事の価値を見極め、よりよい選択をしようとする際に働くと分かりました。でも、それだけではないのです。今回は、ビジネスパーソンにとっても重要な役割をもつ眼窩前頭皮質に注目し、眼窩前頭皮質を鍛えるコツを紹介します。

価値を見積もり比較する「眼窩前頭皮質」

筑波大学の設楽宗孝教授・瀬戸川剛助教授らの研究グループは2019年4月5日、霊長類にとって「どちらの選択肢がより価値が高いか」という脳の処理が、脳の「眼窩前頭皮質(以下OFC)」で行われていることを、神経細胞のレベルで明らかにしました。

すでに複数の先行研究によって「価値の見積もり」については、眼窩前頭皮質が関係しているとされていました。しかし、「見積もられた価値の比較」を行う部位については不明だったとのこと。

そこで、ヒトに近縁なアカゲザルが課題を遂行しているときに神経細胞活動を記録したところ、OFCが価値の比較を行っているという可能性が示唆されました。OFCをあまり働かないようにすると、価値の低い方を選んでしまう頻度が有意に上昇したそうです。

眼窩前頭皮質-02

ストレス耐性に関わる「眼窩前頭皮質」

前頭前皮質は、大きく外側部・内側部・眼窩部(OFC)に分けられるそう。OFCは喜怒哀楽の感情・動機づけ・それに基づく意思決定プロセスに、重要な役割を果たしているとのこと。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームらが、85人の健康な若者を対象に調査を行ったところ、前頭前皮質が大きいほど、困難や苦境などからの回復力(レジリエンス)をプラスに予測し、不安をマイナスに予測すると示したそう。

つまり、OFCを含む前頭前皮質が大きいほど、ストレスに対して柔軟性があり、不安症状が少ないと示唆されたわけです(2018年7月17日に『Personality Neuroscience』でオンライン公開)。

眼窩前頭皮質-03

人の表情を読みとる「眼窩前頭皮質」

実はこのOFC、顔パッチ(face pathces)のひとつでもあるのだとか。顔パッチとは、顔だけに反応するニューロンを含む脳領域のこと。2000年代初め、ハーバード大学医学部にいたツァオ(Doris Tsao)氏らが、サルの脳に発見したそうです。

OFCの顔パッチは、無表情な顔よりも、感情的な顔に激しく興奮するといいます。一方で側頭葉の顔パッチは、感情的な顔に特別な反応はしないのだとか。 つまり、顔パッチとしてのOFCは、感情表現の解釈に特別な役割を果たしているということ。

相手が「どんな感情であるか」という判断を明示的に求められたとき、OFCの活動は増加するのだそう。さまざまな表情の読みとりにおいて、OFCは重要な役割を担っていると考えられます。

相手の表情を読みとりながら、臨機応変に対応していくのも、ビジネスパーソンには必要なスキルですよね。ならば、さっそく眼窩前頭皮質を鍛えましょう!

眼窩前頭皮質-04

「眼窩前頭皮質」を鍛える習慣

1.オンオフ切り替えで「眼窩前頭皮質」を鍛える

脳科学者の茂木健一郎氏によれば、オンとオフを切り替える脳の領域は、「眼窩前頭皮質(OFC)」と「背外側前頭前皮質(以下DLPFC)」なのだとか。同氏は、OFCとDLPFCをうまく使いこなすことで、時間術の達人になれるといいます。

また、オン・オフの切り替えが上手なのは“生まれつき”ではないのとのこと。筋トレと同じように、集中と分散を繰り返すことで、次第にOFCやDLPFCの回路が鍛えられていくそうです。

タスクがひと区切りする時間を想定してタイマーを鳴らし(光らせ)たり、たとえば常に25分間集中したら5分間休憩するといったリズムを決めておいたり、仕事も遊びも全力投球したりなど、自分自身でオン・オフのルールを決めておくといいかもしれません。集中力アップや、心身の健康維持にも役立ちますよ。

眼窩前頭皮質-05

2.クラシック音楽で「眼窩前頭皮質」を鍛える

群馬県立県民健康科学大学大学院の新井氏らは、大学生を対象に、ポップスとクラシックの音楽それぞれを聴きながら内田クレペリン検査(性格検査・職業適性検査の一種)を行い、脳のどの部分が活性化しているかを検証したそう。

その結果、作業量はクラシック音楽を聴いていた際に上昇していたとのこと。また、クラシック音楽を聴いたときには、OFCが活性化したのだそう。もともとクラシック音楽が脳にいいことは知られていましたが、今回注目した脳の部位も元気にしてくれるようです。

 ***
選択とストレスに強く、相手の表情を読みとる際にも働いてくれる「眼窩前頭皮質(Orbitofrontal cortex:OFC)」を掘り下げました。この場所を鍛える習慣――

1.オンオフ切り替え
2.クラシック音楽

――は、それ自体が好ましい習慣なので、ぜひ積極的に取り入れてみてくださいね。

(参考)
大学ジャーナルオンライン|どちらの選択肢の価値が高いか?比較をしている脳部位を解明 筑波大学
筑波大学|お知らせ・情報|注目の研究|選択肢の価値比較は眼窩前頭皮質で行われる ~より良い選択肢を選ぶための脳内機序を解明~ 
Communications Biology|Neurons in the monkey orbitofrontal cortex mediate reward value computation and decision-makingy 
Cambridge Core|Personality Neuroscience|Neurobehavioral Mechanisms of Resilience Against Emotional Distress: An Integrative Brain-Personality-Symptom Approach Using Structural Equation Modeling 
日経サイエンス|顔認識専門の脳領域〜日経サイエンス2009年2月号より 
プレジデントオンライン|「もたもた」「グズグズ」脳は訓練で変えられるか 
STUDY HACKER|「音楽」「ガム」「一緒に勉強」は勉強効率をあげるか? 三大迷信徹底検証 
Wikipedia|眼窩前頭皮質 
脳科学辞典|前頭前野 
松澤正子(2015),「乳児感情の読み取りの特性と前頭前野活動との関連-女子青年を対象とした研究の報告-」, 昭和女大生活心理研紀,昭和女子大学生活心理研究所, Vol.17, pp.7-17.
新井良彦, 柏倉健一(2012),「BGM聴取時の作業効率に関する脳部位の検討」, 群馬県立県民健康科学大学紀要, Vol.7, pp.45-53. 

【ライタープロフィール】
StudyHacker編集部
皆さまの学びに役立つ情報をお届けします。

会社案内・運営事業

  • スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、大学受験の予備校「学び舎東京」「烏丸学び舎」や、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」を運営。
    >> HPはこちら

  • 学び舎東京

    烏丸学び舎

    東京・京都に校舎を構える個別指導の予備校。勉強に過度な精神性をもちこまず、生徒1人1人に合理的な勉強方法を提示することで「東大・医大に合格できた!」「3ヵ月で偏差値が15上がった!」などの成果が続出。
    >> HP(東京校舎)はこちら
    >> HP(京都校舎)はこちら

  • english company

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >> HPはこちら