仕事で起こりがちな以下のような悩み。
「タスクを進めなければならないのに集中できない………」
「みんなの前で話すとき、自信なさげになってしまう」
あまり共通点がないように見えますが、このふたつを解決する鍵は「声を出す」ことにあるんです。仕事ができる人のなかには、声を出すことを習慣化している人もいます。
ビジネスで活躍できる人材になるために、ご自身の声をうまく使う方法をご紹介します。
【ライタープロフィール】
藤原瑶
大学では経営学を専攻。思考法に興味があり、ロジカルシンキング・クリティカルシンキングを勉強中。仕事力向上のためビジネス書を読む習慣をもち、書籍で学んだことをタスク・スケジュール管理などに活かしている。
「仕事を始める前」に声を出す
仕事を始める前、みなさんは何を準備しますか? 目覚ましのコーヒーやストレッチ、日光を浴びる方もいるでしょう。しかし、「普段と同じ準備をしたのになんだか集中できない」「なんとなくルーティーンを決めているけれどボーっとしてしまう」このようなお悩みはありませんか?
いつものルーティーンにもうひとつプラスして、「よし、始めるぞ!」「今日も頑張ろう!」などと声を出すことを取り入れてみましょう。しかし、いったいなぜ? 声を出すことの効果はなんなのでしょうか。
行動科学コンサルタントの冨山真由氏によると、声を出すことは「行動科学でいう『言語プロンプト』という、自身の行動を強化する手法」とのこと。「『仕事を始めますよ』という言葉を、自分の声(音)として自分の耳から聴かせて、脳に『仕事開始』ということを認識させる」のです。(カギカッコ引用元:新R25|朝「よし!始めよう」と声に出すだけで、仕事スイッチが入る科学的な理由)
リモートワークの普及により、出社時よりも仕事を始めるスイッチが入りにくくなっている方や、いつものように出社したものの集中できない日がある方もいるのではないでしょうか。筆者は自宅での仕事が中心ですが、起床していつもどおりの準備をしたものの、なぜかうまく集中できず仕事に身が入らなかった経験があります。
「仕事を始める前」に声を出してみた
では筆者も、仕事の前に声を出してみます。一週間、仕事に取りかかる前に「よし、始めるぞ!」と言ってみることに決めました。忘れないようにカレンダーにも声出しの予定を記入。
ひとり暮らしなので恥ずかしさもありましたが、声を出すことで寝起きの気怠さが取れ、スイッチが入りました。効果を強く感じたため、朝だけでなくお昼休み後や、集中したいときにも発声を取り入れてみましたが、同様に効果的でした。
「よし、始めるぞ!」だけではなく、「いまから○○を終わらせるぞ!」「○時まで集中するぞ!」などと具体的な内容を言うと、より意識づけになると思います。
「プレゼンや発表の前」に声を出す
せっかく考えた企画。プレゼンがうまくいかなくて採用されなかったときは悔しいものです。企画のアイデアの魅力が十分に伝わっていない場合、実は内容ではなく話し方に解決のチャンスがあるかもしれません。ひと工夫してみてはいかがでしょうか。
いい内容でも、声が小さい・聞き取りづらいなどの理由で説得力に欠けてしまうことがあると述べるのはボイストレーナーの秋竹朋子氏。
私が知る限り、一流と呼ばれる経営者やビジネスマンは必ずといっていいほどいい声をしています。さらには話す相手や場面に合わせて声の出し方をマスターしている"上級者"も多くいます。
(引用元:CANVAS|「仕事が辛いなら、声を変えよう」第1回「声」で損をしていませんか?)
たしかに、『TED』の有名なコンテンツを例として考えてみると、プレゼンターの話し方や声がよく、説得力のある印象を受けますよね。
説得力が増す「いい声」には、呼吸がポイントだと、秋竹氏は述べます。
相手に届く「いい声」を出すために最も大事なのが呼吸。「腹式呼吸の割合をより大きくした正しい呼吸ができていなければ、絶対にいい声にはなりません」。(カギカッコ内引用元:同上)
腹式呼吸、つまりお腹から声を出すとよく通る「いい声」につながるのですね。
では、声を出す、ひいては声の出し方を工夫するにはどのような方法があるのでしょうか。秋竹氏は、身近なアイテムでいまの自分の声の癖を把握できると言います。
自分が腹式寄りで話しているか胸式寄りで話しているかを見分ける簡単な方法があります。使うのはスマホについている「ボイスメモ」。自分の声を吹き込む際、あるいは録音したものを再生する際に画面に表示されるメーターの針が大きく振れていれば腹式呼吸、そうでなければ胸式寄りの間違った声の出し方ということになります。
(引用元:同上)
ボイスメモであれば、簡単に自分の声の癖をつかむことができそうです。実際に筆者も行なってみました。
「プレゼンや発表の前」に声を出してみた
声については、筆者も自信がありません。高くてこもりがちな声で、相手に聞き返されてしまうことがよくあります。今回本記事を書いているなかで、自分は胸式呼吸寄りではないかと思いました。
iPhoneの「ボイスメモ」機能で、普段の発声と腹式呼吸での発声を録音します。今回は、筆者のライタープロフィールを音読してみました。
録音を聞いてみると、自分が思っていた以上に抑揚がなく、聞き取りづらい印象。音声の波形は上のようになりました。
次に、腹式呼吸を意識します。ボイストレーナーの西貴正氏によると、「『前傾姿勢』も腹式呼吸の感覚を理解するのに非常に有効です」とのこと。(カギカッコ引用元:Beeボーカルスクール|お腹から声を出す方法がわからない方必見!感覚やコツを徹底解説)
姿勢を整え、前傾姿勢になると、睡眠時のように息を吐いたときにお腹がへこむ感覚がありました。この姿勢のまま、同じ文章を読み上げました。自分の声が太く響くような感覚があり、普段の発声との違いを感じました。
先ほどの画像と波形を比較すると、全体的に振れ幅が大きく、抑揚がある発声になっていました。つまり、いままでの自分は胸式呼吸寄りの発声をしていたということです。
あらためて腹式呼吸での録音を聞き返すと、自信があり堂々とした印象に変わりました。慣れれば前傾姿勢でなくとも腹式呼吸が身につきそうです。
プレゼンなどに説得力をもたせたい場合は、このように腹式呼吸で発声を行なうのが有効ということですね。とても手軽に工夫できるので、一度挑戦してみることをおすすめします。
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普段からなにげなく声を使っていますが、仕事への活かし方はさまざまです。もっとスマートに仕事をこなしたいという人は、ぜひ取り入れてみてください。
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