「本当に説明がうまい人」になるための日常習慣3つ。二流の説明力を一流に引き上げる!

桐生稔さん「二流の説明力を一流の説明力へレベルアップさせる日常習慣」01

「説明」というと、「商品説明」のように、主に社外の人に向けて自社や自社製品について行なうものと思う人も多いかもしれません。しかし、相手に物事を伝えるという意味では、社内の会議での発言、上司への報告、同僚との打ち合わせなども立派な説明です。

それら説明の力を高めるには、基本的な説明のテクニックを身につけることのほか、日頃の習慣も大切と言うのは著書『説明の一流、二流、三流』(明日香出版社)を上梓した桐生稔(きりゅう・みのる)さん。いったいどんな習慣を身につければいいのでしょう。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

説明がうまい人をまねる「モデリング」

説明力を高めるために日常的にやることとして、まずおすすめするのはモデリングです。モデリングとは、簡単に言うと「まねる」こと。「学ぶ」の語源である「まねぶ」という言葉は「まねる」から来ていると言われているように、まねることこそ最良の学習法です。

みなさんのまわりに、「説明がうまいなあ」と思わされるような先輩や同僚はいませんか? そういう人がどういう説明の仕方をしているのかを分析し、まねしてみてください。「常に結論と根拠が明確でわかりやすい」とか「会議で発言するときはいつも1分程度で簡潔に伝えている」など、いろいろな発見があるはずです。

もしそういう人が身近にいない場合、たとえばYouTubeのなかから探してもいいでしょう。みなさんがつい話に引き込まれてしまうユーチューバーの方はいませんか? 話芸に長けていて、時間を忘れて観てしまうようなユーチューバーです。

その動画を、「どうしてこの人はこんなに説明がうまいんだろう?」という視点をもって観てみてはどうでしょうか。「動画の冒頭でひきつけるのがうまい」「最初にテーマをはっきり伝えている」といった発見があれば、仕事から離れたオフのなかでも、仕事に活かせる説明力を高めることができるはずです。

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「報道番組」を利用し、自分の意見を説明する練習を積む

また、外部のコンテンツを利用するという意味では、報道番組を使うのもありです。報道番組では、たとえば「日本のコロナ対策にはどんな問題点が見えるでしょうか」と司会のアナウンサーがゲストに意見を求める場面がたびたび見られます。

その質問に自分なりに答えてみるのです。もちろん、完全に専門外のことなら難しいでしょうけれど、日頃から興味をもっていることであれば、なんとなく自分の意見があるはずです。ただ、普段はその意見をはっきりと言語化していません。そこで、報道番組を利用して自分の意見を言語化し、説明する練習をするのです。

そして、そういうときは「根拠」に着目する癖をつけましょう。説明するにあたって、「根拠が弱い」ことはよく見られるケースです。それでは説明に説得力が足りず、相手に納得してもらうことができません。

では、根拠ある説明にするにはどうすればいいでしょうか? その答えは、説明に「ファクト」を加えること。客観的で具体的な数字や出来事といった「事実」を加えるのです。

たとえば、報道番組を観ていて、司会がゲストの方に、「最近の経済状況をどのように見ていますか?」と質問したとします。それに対して自分なりに、「かなり上向いていると思います。なぜなら日経平均株価が3カ月前の2万7,000円から現在3万円にまで上昇しているからです」と数字で答えてみる。あるいは、「最近の居酒屋経営をどのように思いますか?」という質問に、「かなり厳しいと思います。私の近所では3件の居酒屋が撤退しました」と事実を伝えてみるといった具合です。

あくまでもこれは練習なので、正解も不正解もありません。質問されたことに即興で、「結論+ファクト」で伝えるトレーニングです。

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説明する「場数」が足りないなら、自分で「場数をつくる」

そして、説明力を高めるには日頃から場数を踏むことが重要です。スポーツでもなんでもそうですが、やはりそのことをやる機会が多ければ多いほど上達するものです。

ただ、この説明の場数は職種や立場によって大きく異なります。場数を踏みたいと思っていてもなかなか説明する機会が少ないという方もいるでしょう。そうであるなら、自分で場数をつくってはどうでしょうか? 先に紹介した、報道番組の司会の質問に自分なりに答えてみるというのも「自分で場数をつくる」ことのひとつです。自宅でテレビを観ながらどんなにまずい説明をしたとしても、誰もとがめる人はいません。安心して答えることができます。

あるいは、友人を相手に練習してもいいと思います。「何を言いたいのかわからないよ(笑)」と言われても、仲がいい友人が相手なら気軽に説明の練習ができるはずです。また、話し方セミナーに申し込んでみるのもひとつの手です。そこでは話す練習をする機会がたくさんあると思いますが、怒られたり、いきなり否定されたりするようなことはないでしょう。まず、安心できる場で練習し、場数を踏むこと。そして、いつ説明の機会が来ても、うまく説明できるように準備しておくことが大切です。

桐生稔さん「二流の説明力を一流の説明力へレベルアップさせる日常習慣」04

【桐生稔さん ほかのインタビュー記事はこちら】
自称説明上手がしている “二流の説明” 残念な特徴。「ちゃんと話せた!」が一番危ない
説明が苦手ならとにかく “この3つ” を始めなさい。「2行書くだけ」で説明力は高められる

説明の一流、二流、三流

説明の一流、二流、三流

  • 作者:桐生 稔
  • 明日香出版社
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【プロフィール】
桐生稔(きりゅう・みのる)
1978年8月17日生まれ、新潟県出身。株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー。日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー。一般社団法人日本声診断協会音声心理士。2002年、全国1200支社を運営する大手人材派遣会社に入社。営業成績が最下位となり新卒3カ月で左遷される。そこから一念発起し、売上達成率1位を実現。その後、音楽スクールに転職し、事業部長を務める。2017年、社会人の「伝わる話し方」を向上すべく、株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。現在、全国40都道府県で年間2000回の「伝わる話し方」セミナーや研修を開催。具体的でわかりやすいメソッドが評判を呼んでいる。著書に『説明の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『「30秒で伝える」全技術』(KADOKAWA)、『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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