脳のウォーミングアップに役立つ「朝のルーティン」と、ストレス解消に効く「夜のルーティン」

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元プロ野球選手のイチロー氏による「バットを縦に構える動作」や、ラグビーの五郎丸歩選手による「キック前の五郎丸ポーズ」など、ある状況で決まった動きをすることを「ルーティン」といいます。

じつはこれ、アスリートのみならず、ビジネスパーソンにも有効であることを知っていますか。ルーティンを単なる “験担ぎ” と考える人もいますが……脳科学から見ても、そのメリットは実証されているのです。

今回は、脳科学者らも実践しているルーティンの例のほか、自分に合ったルーティンの作り方をご説明します。

ルーティンのメリットは「脳の負担を減らせる」こと

脳科学から見たルーティンのメリットは「決断する機会を減らして脳の負担を減らせることだと、脳外科医の菅原道仁氏は述べています。

脳は「優先順位が低い決定事項」「緊急性が高い決定事項」という区別ができないため、すべてに全力投球し、疲労が蓄積してしまうのだそう。そんな決断を、私たちは1日に1万回以上も繰り返しているのです。

そこでルーティンを取り入れると、それほど重要ではない決断に力を注ぐ必要がなくなります。いわば「いつものことをいつもの通りにするだけ」という状態を作れるわけですね。その結果、脳に余力が生まれ、自分にとって本当に重要なことにだけ集中してパフォーマンス向上につなげられるのです。

たとえば、医師を生業としている菅原氏にとって、最も重要なのは「患者さんを診断する」こと。「今日は何を着よう」「ランチは何を食べよう」といった決断は、あまり重要ではありません。そこで菅原氏は、次のようなものをルーティン化しているのだそうです。

  • 白衣の下に着るシャツや靴下の色はこだわらない
  • 飲み物はいつも同じものにする
  • 昼食は出前などでスタッフに適当なものを選んでもらう

私たちビジネスパーソンも同様に、「通勤電車は前から2両目に乗る」「朝に買うのはホットコーヒー」といったルーティンで、脳の負担を減らせる可能性があります。

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「朝のルーティン」で脳のウォーミングアップをしよう

出社ギリギリの時間に起き、頭がボーっとしたまま通勤電車に乗ってオフィスに向かうようでは、仕事で高いパフォーマンスは発揮できません。脳機能をよい状態で維持するには、スポーツの準備体操のように「脳のウォーミングアップ」が必要だと、医学博士の築山節氏はいいます。

そこで実践したいのが「朝のルーティン」です。築山氏は、次のようなルーティンで朝を過ごすといいます。

  • 毎朝5時半に起床
  • 窓を開けて太陽の光を浴びる
  • 服を着替えて子どもたちを起こしに行く
  • 部屋を片づける
  • 犬を散歩させる

築山氏は8時半から勤務開始とのことで、3時間のルーティンで脳をウォーミングアップしているのだそう。子どもを起こすために声を出したり、犬の散歩で足を動かしたりすると、脳の血流が良くなります。また、部屋の片づけは、選択・判断の機能を司る脳の前頭葉を刺激するとのこと。日常的な動作を通して、脳機能を目覚めさせているのですね。

築山氏によれば、口や手を動かすことが大切なので、「朝食を作って食べる」や「観葉植物の手入れをする」といったことも効果的なのだそう。こうしてみると、朝のルーティンに取り入れられるものはたくさんありそうですよね。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

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「夜のルーティン」で仕事のストレスや不安を解消しよう

「朝のルーティン」が脳機能の維持・向上に役立つのなら、「夜のルーティン」は仕事のストレスや不安の解消に効果的です。

たとえば、前出の菅原氏は、半身浴状態で浴室に音楽を流し、メロディーではないドラムやベースなどの「裏の音」を聴くことをルーティンにしているのだそう。入浴中は脳の疲れを癒すα波が出やすく、多幸感を高めて痛みを抑える神経伝達物質エンドルフィンが放出されるので、ストレス解消につながるのだとか。

また、学生用賃貸物件検索サイト「SPCE」の共同設立者兼CEOのレオン・イファイェミ氏は、就寝前に優先順位をつけたTODOリストを作成することをルーティンとしているのだそう。理由は、生産性が最も低い午前中に判断系のタスクをなくすため、そして仕事の効率を高めるためとのこと。前日のうちに、やるべきことをリスト化して用意しておくことで翌日のストレスが減ると、イファイェミ氏はいいます。

実際、脳科学者の篠原菊紀氏によると、TODOリストを書くことによって、ワーキングメモリ(作業記憶)の機能向上が期待できるのだそうです。ワーキングメモリはストレスやプレッシャーに弱いので、TODOリスト作成を通して不安や焦りを解消することがプラスに働くとのこと。

脳内にあるものをモヤモヤした気持ちも含めてすべて書き出してしまえば、脳内のワーキングメモリに余裕ができるので、スムーズに今やるべき目の前のことに集中できるようになるのです。

(引用元:プレジデント・オンライン|仕事が増えて苦しい時は"脳内を吐き出す" To Doリストに"不安や愚痴"も書く

1日の終わりに、自分をいたわるルーティンを取り入れるのもひとつの手ですね。

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ルーティンの「作成」と「実践」に関する重要ポイント

脳科学者らのルーティンをそのまま取り入れても、自分に合っている保証はありません。たとえば、ファッションが好きな人が、いつも同じ色のシャツや靴下を選ぶルーティンをまねしたところで、ストレスの原因になってしまいそうですよね。

まず、自分に適したルーティンを作るために、前出の菅原氏は「慣れるまで1日の過ごし方を紙に書き出してみるとよい」といいます。「6時に起床」「その後シャワーを浴びる」「帰宅後は運動も兼ねて犬の散歩」など紙に書き出してみることで、ルーティンに置き換えられる行動が見つかるかもしれません

たとえば、毎朝弁当を作る習慣がある場合、「準備に時間がかかってバタバタする」という悩みがあるとしたら、その一因には「調理や下ごしらえが大変」「おかずが思いつかない」といったことが挙げられます。これこそ、ルーティンを取り入れて決断の機会を減らせるチャンス。「冷凍食品を常備しておく」「曜日別に主菜を決めておき、週末まとめて作り置きする」といったルーティンを取り入れると、時間ロスを減らせる可能性があります。

また、『やらない決意』の著者である井口晃氏は、ルーティンを取り入れるポイントとして「時間をかけて作り上げる」ことと「100点を目指さない」ことを挙げます。ルーティンを作るには、1か月を目安に試行錯誤してみるとよいとのこと、また、時間の経過によって自分に合ったルーティンも変わるので、柔軟に微調整を繰り返しましょう。

私自身、ジムへ行く曜日や朝食メニューなど、いまだに微調整を繰り返しています。年をとり、体質や気質が変われば、それに伴って心地よく感じるものも変化するのが普通です。それに合わせてルーティンも変えていくというのが自然なのではないでしょうか。

(引用元:新刊JP|パフォーマンスを最大限引き出すためのルーティンの作り方

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ルーティンで脳の負担を減らすことで、集中力がアップし、あなたの仕事の質も高まっていきます。自分にとって優先順位が低いものは、決断する手間をなくしてしまいましょう!

文 / かのえかな

(参考)
菅原道仁(2017),『脳外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』, 実務教育出版
築山節(2006),『脳が冴える15の習慣: 記憶・集中・思考力を高める』, 生活人新書.
Red Bull|起業家14人が教える “成功を呼ぶルーティン”
プレジデント・オンライン|仕事が増えて苦しい時は"脳内を吐き出す" To Doリストに"不安や愚痴"も書く
新刊JP|パフォーマンスを最大限引き出すためのルーティンの作り方

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