【朗報】オペラント条件付けで「SNS時間を減らし、読書時間を増やせるか」検証してみた結果

オペラント条件付けで読書時間を増やす1

重要でも緊急でもないことに多くの時間を浪費してしまっている人はいませんか? かく言う筆者も、ついついSNSばかり見てしまいます。本当はもっと読書時間を増やしたいのに……。同じような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、アメとムチの原理をうまく使った心理学的手法で、自分の行動を変える方法をご紹介しましょう。筆者も実践してみたところ、効果は抜群でした!

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習慣改善に役立つ「オペラント条件付け」

今回ご紹介する「オペラント条件付け」とは、一言で説明すると「アメとムチで行動をコントロールする」というものです。具体的には、「勉強を1時間したら『ご褒美としてコンビニのスイーツ』」「テレビを1時間見たら『ペナルティとしてトイレ掃除』」といったルールを、下の図のように設定していきます。

オペラント条件付けの図1

要するに、やりたい行動は「ご褒美を与えてペナルティを減らす」ことで強化し、やめたい行動は「ご褒美を減らしてペナルティを与える」ことで減らしていくということ。それにより、自分が望む習慣を身につける効果が期待できます。

この手法は、行動に着目した心理学である「行動主義心理学」の基本的な理論であり、子どものしつけや飼育動物の訓練などに古くから用いられてきました。現在では、動作や運転などの技能訓練、嗜癖や不適応行動の改善、障害児の療育プログラムなど、幅広い領域で応用されています。

「オペラント条件付け」の検証開始

というわけで、オペラント条件付けで本当に自分の行動を変えることができるのか、筆者も検証してみました。テーマは「SNSを見る時間を減らし、読書時間を増やせるか――以下のようになります。

【増やしたい行動】本を読む
【減らしたい行動】スマートフォンでSNSを見る

今回の実験をわかりやすく下の表にまとめたので、一度ご覧ください。赤褐色の象限が、「本を読む」という行動を増やすための「アメ」のルール青色の象限が「SNSを見る」という行動を減らすための「ムチ」のルールになります。

オペラント条件付けの図2

加えて、「5日ごとにルールの変更および破棄ができる」ようにしました。これだけのルールを全部ずっと守り続けるのは大変そうで、ストレスになるかもしれないので、実践しながら5日ごとにルールをチューニングしていきます。

検証開始「5日後」「10日後」の経過報告

ここからは、ルール変更の変遷をお見せします。まずは、実験開始「5日後」です。変更項目は赤字に、除外した項目は空欄にしています。

オペラント条件付けの図3

続いては、実験開始「10日後」。ペナルティの象限は除外したため、すべて空欄となりました。

オペラント条件付けの図4

10日間以上、試行錯誤してみてわかったこと

こうしてしばらく続けてみたところ、オペラント条件付けは非常に効果的であることが実感できました(本を読む習慣も定着してきました)。実践の際のポイントも見えてきたので、共有していきましょう。

【ポイント1】習慣を変えるには「自分に合ったルールに絞り込む」

最重要ポイントは、「作ったルールが自分に合うかどうか」です。自分にとってベストなルールを設定できれば最高なので、こまかな「ルールの見直し」は必須でしょう。3~5日おきにルールを微調整して、自分に合ったものに近づけていくというのがミソです。

筆者の場合、ルール設定の3日後くらいから、「効果があるルール」と「あまり効果がないルール」に分かれ始めました。加えて、ルールが多すぎると精神的負荷がかかるので、思い切ってルールを2つにするという絞り込みを実施。つまり、「ご褒美を増やす」「ペナルティを減らす」のどちらか一方のアメ、「ご褒美を減らす」「ペナルティを増やす」のどちらか一方のムチにしたのです。

驚くことに、このたった2つのルールでも、行動の習慣化として十分機能しました

【ポイント2】増減させるご褒美を統一するとシンプルになる

「増やすご褒美」「減らすご褒美」を同じものにして、とことんシンプルにしてしまうのが効果的でした。本を読んだら甘いものが食べられて、SNSを見たら甘いものが食べられなくなる。これ以上わかりやすい構図は、もはやほかにないでしょう。

もちろん、ご褒美をそれぞれ別個にすることもできますが、ルールが複雑になってしまうため、あまりおすすめできません。本を読んだら甘いものを食べられて、SNSを見たらテレビドラマが見れない――こういったルールをいくつも持つと、どんどんややこしくなってしまいます。そのため、増減するご褒美は同じものに絞ることがイチ押しです。

【ポイント3】「ムチ」が意志の補助輪になってくれる

オペラント条件付けの実践の難しかったところは、行動が習慣化するまでは、どうしても意志の力が必要になること。

そこで、鍵を握るのが、不快なことを回避したいという気持ちです。今回のケースでは、SNSを30分見たら、甘いものを食べることができなくなってしまいます。

このムチが機能すれば、意志の力が必要な時期の「補助輪」のような役割をしてくれるでしょう。

***
自分の習慣を変えようとしても、コツを知らないとなかなか苦労するものです。身につけたい習慣、やめたい習慣がある人は、このオペラント条件付けをぜひ試してみてはいかがでしょうか。

(参考)
counselor web|オペラント条件付け(道具的条件付け)
心理学用語の学習|心理学用語集:オペラント条件づけ
Wikipedia|オペラント条件づけ
ITmediaエンタープライズ|やらなきゃいけないことは「快」にする 習慣化の方法
東洋経済オンライン|「スマホの使用を制限する親」が懸念する事態
Inc.|Why Reading Books Makes You a Better Person, According to Science

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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