仕事がつらい人に多い “思考の悪癖”……「0か100か」の考えに染まってませんか?

二極化思考の癖を改善する方法01

「一度意見が衝突しただけで、この人とは合わないと決めつけてしまう」
「頑張ってきた語学の勉強も、1日休んだだけでやる気がなくなった」

このように「白か黒か、0か100か」で物事を考えがちな人は、「二極化思考」の癖がついてしまっているのかもしれません。二極化思考は、自分のメンタルにも仕事にも悪影響を及ぼします。その理由と、二極化思考から抜け出す方法を説明しましょう。

二極化思考がもたらす3つの悪影響

二極化思考の傾向があると、その極端さゆえに仕事で苦労することがあります。臨機応変に対応できないのも、人間関係がうまくいかないのも、その厄介な考え方のせいかもしれませんよ。

1. 思考が単調になり、発想力が乏しくなる

白か黒かを判断する基準が脳内で固定されているため、思考が単調で、発想力が乏しい。これが二極化思考の人の傾向だと、医学博士の川﨑康彦氏は言います。「自分のもつ基準は本当に正しいのか? ほかにも基準はあるのではないか?」と考える視点に欠けているのです。

それゆえに、自分の基準で仕事がうまくいかなくなると、窮地に立たされます。たとえば、売り上げが減少している中高年層向けの自社商品について、マーケティング戦略を練り直すとき。「ターゲットは中高年層」というこれまでの基準にとらわれてしまうのが、二極化思考の人です。考えが柔軟で発想力がある人なら「新たに若者向けの戦略を考えよう」と思考を転換することもできるのですが、頭の固い二極化思考の人だとそうはいかないのです。

二極化思考の癖を改善する方法02

2. 人間関係のトラブルが起こりやすくなる

優劣や善悪をはっきりさせようとするため、争いや恨み、妬みといったマイナスの感情をもちやすい。これも二極化思考の人のよくない特徴だと、川﨑氏は指摘します。

たとえば、プロジェクトの進行中に、同僚とのあいだでトラブルが起こった場合。「どちらにも問題があったので今後は気をつけよう」ですむ話だったとしても、二極化思考の人は「間違っていたのはどちらなのか、はっきり決着をつけよう」と、いつまでもトラブルの話をし続けてしまいます。これでは仲間内で浮いてしまっても無理はありませんよね。二極化思考は、人間関係を悪くする原因にもなりえるのです。

また、自律神経専門整体師の原田賢氏によれば、二極化思考の人はまわりの人を好きか嫌いかだけで分ける傾向があるとのこと。一度嫌いと思った相手のことをなかなか好きになれないので、人間関係でのストレスを抱えがちになります。「言い方にトゲがあるけれど、責任感がある」といったように、相手のいい面と悪い面の両方を見ることができれば「苦手だ」という印象も変えられるのに、それができないのが二極化思考の困った特徴なのです。

二極化思考の癖を改善する方法03

3. 曖昧な状況での意思決定ができない

二極化思考の「白黒をつけたがる」という特徴は「曖昧さを嫌う」とも言い換えられますよね。つまり、自分が曖昧な状況に置かれることは苦手だということ。しかしこれだと、ビジネスの意思決定をする場面で困ることがあります。

転職支援サービスを運営するルーセントドアーズ株式会社代表取締役の黒田真行氏は、ビジネスシーンでは霧のなかのように先行きが見えなかったり、曖昧な状況のまま意思決定を迫られることが多々あると言います。特にコロナ禍の現在、こういったケースは増えていることでしょう。

そこで黒田氏が必要だと言うのが、未知の課題に直面したとき、秩序だったマニュアルがなくても前進しながら経験値を積み上げていける「曖昧さへの耐性」です。たとえば、自社サービスの動画広告を新たに作成しようという話がもち上がった場合。二極化思考の人は、「成功事例はあるのか」「先に動画広告の知識を身につけるべきではないか」などとあれこれ考えて二の足を踏みがちです。曖昧さへの耐性がないので、「じゃあさっそく動画広告会社に連絡をとってみよう」と軽いフットワークで動くことができません。

このように、曖昧なことが苦手な二極化思考の人は、不確実性の高いビジネスシーンでは絶対置いていかれてしまうのです。

二極化思考の癖を改善する方法04

二極化思考の原因は「マイナスの完璧主義」

精神科医の水島広子氏は、二極化思考は「マイナスの完璧主義」から生まれると述べます。マイナスの完璧主義とは、完璧主義のなかでも不安やプレッシャーによる心の消耗につながるタイプのもの。一方、人生の質を高めるのにつながるのは「プラスの完璧主義」です。

加えて、元臨床心理士で博士のアリス・ボーイズ氏は、マイナスの完璧主義には次の傾向があると言います。

  1. 失敗を極端に恐れる
  2. 失敗をいつまでも引きずる
  3. 周囲にも高い基準を求めてしまう

たとえば、失敗を恐れるあまり完璧に準備をしないと物事に取り組めないため、昇進や昇格の機会を逃してしまう。何日も前の仕事のミスを後悔して、思いつめたりイライラしたりする。自分だけでなく相手にも完璧さを求めるため、同僚に高すぎる要求をしたり欠点を指摘したりして、周囲との関係性を悪くしてしまう。当然、結果にもつながらない……。

このように、マイナスの完璧主義は仕事にさまざまな支障をきたします。あなたには心当たりはありませんか?

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二極化思考をやめる4つの方法

そんなデメリットだらけの二極化思考をやめる方法を4つ説明します。

1. 失敗を受け入れる

マイナスの完璧主義者は失敗を極端に恐れますが、失敗は言うまでもなく学びや成長のチャンス。ただし、失敗から学べるようになるには、失敗を受け入れる心の準備が必要です。心理セラピストの星一郎氏によると、そのためにすべきなのはいまの自分にできることを、少しずつでいいので確実に実践すること。

たとえば、読書習慣がない人が「ビジネス書を1日で読破する」というチャレンジに失敗したとしましょう。目標設定が無謀だったと感じたら、1週間や10日に延ばせばいいのです。

このように、実現可能な範囲で目標を立てて実行するようにすると、少々の失敗なら気持ちを切り替え、落ち着いて対応できるようになるとのこと。「できなかったけどまぁいいや」と不完全な自分を受け入れることができ、自己肯定感も高まると星氏は言います。

2. 最低限だけできればいい

先ほどの「いまの自分にできること」というのは、きわめて少しのことでもかまいません。先述の水島氏は、マイナスの完璧主義を改善するためには、自分ができることの「最低限」を見つけるとよいと述べます。高い理想はもたなくていいのです。

たとえば、平日の夜に勉強するのは厳しいけれど、休日なら2時間無理なく勉強できるのであれば、それがあなたの最低限のラインです。そこで満足するか、もう少し頑張るかは、そのときどきの調子で決めればいいとのこと。上ばかり見ず、足元をしっかり固めることも大切ですね。

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3. そもそも自分の基準は正しいのか、疑ってみる

先述の川﨑氏は、自分のもつ考え方や判断の基準は本当に正しいのか疑うとよいと言います。調べたり人に聞いたりして、自分の基準がこの世のすべてではないとわかれば、長年脳を固定していた考えからも解放されるとのこと。

たとえば、先に例に挙げた、プロジェクト進行中の同僚とのトラブルの場合であれば、「間違っているのは相手だ」と決めつけるのではなく、ほかの同僚に相談してみたり、なぜそう思うのか相手の考えの根拠をじっくり聞いてみたりするのです。そうすると、自分のやり方の効率の悪さや改善点に意外と気づけて、視野も広がるかもしれません。

4. 自分の基準のルーツを探る

川﨑氏によると、自分のなかにある基準は、6~8歳頃までに教わった観念やコンセプトがもとになっていることが多いのだそう。たとえば、「つらくても泣くな、泣くのは弱い人間だ」と言われて育った人が、涙を流す人を弱いと決めつけてしまう、といったようなことです。

こうした自分の基準のルーツを探ってみることも、二極化思考の改善に役立つとのこと。「こう言われて育ったから、この基準があるんだな」と自分を客観視するだけでも、物事に対する極端なとらえ方が減っていくそうですよ。

***
自分を苦しめ仕事の足かせにもなる二極化思考。改善するために、できることから始めてみましょう。

文 / かのえかな

(参考)
川﨑康彦(2016),『ハーバードで学んだ脳を鍛える53の方法』, アスコム.
東洋経済オンライン|自律神経を乱す、「考え方の悪いクセ」の正体
NIKKEI STYLE|耐性はあるか 「理想の転職」できる人の5つの資質
Business Journal|「ゼロか100か」で考えてしまう“マイナス完璧主義”を手放す簡単な方法
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|完璧主義による自滅を防ぐ方法
日経ARIA|完璧主義は自己嫌悪のモト アドラー流ココロの逃がし方

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