新しい令和の時代を生きるために、「20代でやっておきたい7つのこと」を考えてみた

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あっという間の20代を経て、筆者も昨年で30歳を迎えました。この10年間を振り返ると、世の中は目まぐるしいスピードで便利になり、スマートフォンが浸透したかと思えば、今度は人工知能が台頭しつつあります。こんな先行きが不透明な令和の時代で、若いうちに何をやっておけばいいのか、よくわからない人もたくさんいることでしょう。

そこで今回は、30歳になったばかりの筆者が、リサーチにリサーチを重ね、「20代のうちにやっておきたいこと」を識者の見解や科学的根拠を交えてまとめてみました。ついに、令和最初の新年の幕開けです。この絶好の機会に、新しい自分と新しい時代に向かって突き進みましょう!

体感時間では、30歳で人生の80%を終える

年をとればとるほど、1年が過ぎるのを短く感じていませんか? じつは、それには秘密があるのです。

フランスの哲学者ポール・ジャネーが提唱した「ジャネーの法則」によると、人間は80歳まで生きると仮定したとき、体感時間としては、20歳で人生の半分を終えたことになるそうなのです。そして、30歳の時点では、すでに人生の80%近くの体感時間を終えていることになるのだとか。

では、なぜ時間は、物理的には伸び縮みしないのに、歳をとるにつれて、感覚的にはこれほど短く感じるのでしょうか? 

神経科学者のデイヴィッド・イーグルマン氏によれば、時間の流れは、人間の脳の情報処理の仕組みと大きな関係があるとのこと。

人間の脳は、新しい情報を受け取ると、まず情報を理解しやすい形に整理し直します。過去に整理したことのある情報は処理する時間がそれほどかかりませんが、初めて取り入れる情報は処理に長い時間がかかるのです。

つまり、歳を重ね、世の中のことをよく知るようになってくると、日々取り入れる情報の多くを、脳がすばやく処理できるようになります。結果として、時間が経つのが早く感じられるそうなのです。

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「20代でやっておきたい7つのこと」を考えてみた

それでは、20代を終えたばかりの筆者が、心から大切だと思う7つをご紹介します。なお、単なる個人的意見にならないように、識者の見解や科学的根拠を添え、客観性を持たせています。

20代でやっておきたい7つのこと

1. 心から感動するものと出会う

最初に、なによりも伝えたいことがあります。それは、筆者の人生は芸術に救われたということ…。

20代のとある時期、鴨居玲という画家の「私の話を聞いてくれ」という絵と出会いました。筆者は、理由もわからず涙があふれ、気づけば絵の前で1時間も立ち尽くしていたのです。あの絵はわたし自身を投影していました。文章で、言葉で、身体で、想いを伝えたくてしょうがないのに、伝わらないことのほうがずっと多くて、気が狂いそうなほどに苦しみながらそれでも声をあげることをやめられない、わたしが描かれていたのです。この出会いから、文章や身体による表現の探求を突き詰めていこうという覚悟が決まりました。

1,000冊以上の本を出版している作家の中谷彰宏氏は、できれば、大学時代に「コイツはすごい」という人に出会うことが大切だと説きます。それができたら、あとはもう、自然にやるべきことが決まってくるそうです。

筆者の場合は、人ではなくアートだったのですが、同じようなことでしょう。アートは、創り手の思考や想いが刻まれたもの。作品を通して、間接的に創り手と出会うことにほかならないと、筆者は勝手ながらに解釈しています。

2. 憧れの人物の考え方を徹底的に盗む

筆者自身、行き詰まった状況になったとき、「あの人ならどうするだろう」と考えたり、実際に相談して考え方を模倣したりすることで、打開できた瞬間がたくさんありました。それが、今となっては大切な財産だと思えます。

アニメーション監督の宮崎駿氏は、かけだしの頃、映画監督の高畑勲氏の考え方や立ち居振る舞い、筆跡に至るまで、自分を捨てて徹底的に模倣したそうです。そして、模倣から得た高畑氏の思考を自分なりに昇華し、日本のアニメーションを代表する表現の基礎を築いていったといいます。

3. 批判を恐れず、価値観を吐露し合う

20代の筆者が心から尊敬した人は、価値観や考えを吐露し合うことができる人でした。反論を恐れずに、自分の価値観をぶつけることで、新しい世界が開けることもあるのではないかと思っています。ときには喧嘩のようになりながらも、朝まで言葉を尽くし、考えを深め合った仲間とは、一生ものと思える絆が生まれていたこともありました。

千葉大学大学院人文社会科学研究科教授の小林正弥氏は、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せずであるといいます。考え方の違う人とコミュニケーションをすることで、自分の考え方を変えてくれる、あるいは深めてくれる可能性があるそうです。

4.「話す」だけでなく「聞く」価値も知る

自分の考えを主張する力はもちろん大事ですが、相手の考えに耳を傾ける力も大切だと思っています。というのも、筆者のまわりで20代から人より早く成長し、仕事で結果を残す人は、決まって聞き上手な人だったからです。

聞くことの重要性は、多くの識者たちが賛同しています。アメリカの対人関係スキルの先駆者であるデール・カーネギーは、「人の話を聞くことで、人生の80%は成功する」という言葉を残しました。そして、パナソニック創業者の松下幸之助氏は、「情報が集まってくる」というのが、人の話を聞く大きなメリットだと語っていたそうです。

5. 心から一緒にいたいと思える仲間を見つける

筆者にも、とても大切だと思える仕事の仲間たちがいます。自分が仕事に苦しむ夜、ふと顔を思い出しては勇気づけられたり、会うたびに刺激や情熱をもらえたりするような人たちです。20代の成長やチャンスを運んでくれたのも、気持ちや仕事を助けてくれたのも、仲間でした。

アメリカの著名な自己啓発作家、ジム・ローン氏は「あなたは、最も時間を多く過ごしている5人の平均である」という言葉を残しました。特に、仕事の仲間というのは、時として家族よりも長い時間をともにするもの。年齢や立場に関係なく、心からつながりたいと思う仲間、自分がこうなりたいと思う仲間を見つけることは、やはり成長を促してくれるのではないでしょうか。

6.「劣等感はパワーにもできる」と気づく

筆者の世代は、「ナンバーワンよりオンリーワン」という教育を受けて育った「ゆとり第一世代」といわれています。そんな筆者でしたが、社会に出てから、本当に自分を「今のままではいられない」と奮起させ、あらゆる学びの原動力になったのは、他人との比較、そして比較を通して感じる劣等感にほかなりませんでした

自己啓発の祖といわれる精神科医のアルフレッド・アドラー氏は、劣等感は成長の糧になると説きました。通常、劣等感は強くなりすぎると諦めにつながってしまいます。しかし、「やればできる」「頑張れば勝てる」と自分を勇気づければ、劣等感も前向きに物事に取り組む大きなパワーに変えていくことができるのです。

7. 感謝は、しっかり言葉にして伝える

昨年、筆者は「感謝の日記」を実践する記事を執筆しました。その中で気づいたことは、いま自分の愛する仲間たちとつながれたのも、20代の頃に自分なりに感謝を伝える習慣を持っていたからだということ。感謝を声に出して伝えると、もっと相手のことを大切に感じるようになったり、頑張ろうという気持ちが湧いてきたりします。20代の人間関係やエネルギーの根底にあったのは、感謝の気持ちでした。

感謝をすることの有用性については、数多くの科学的なエビデンスがあります。たとえば、精神科医の樺沢紫苑氏によると、感謝をすることで、身体にいい作用を与える脳内物質が分泌されるそうです。癒しやリラックスをもたらすセロトニン、免疫力を高めるオキシトシンやエンドルフィン、やる気を高めるドーパミンなど、脳科学的にも感謝で得られるメリットは絶大なのだといいます。

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リストアップしてみて気づいたこと

今回、「20代でやっておきたい7つのこと」を作成してみて、自分が何を大事にしているかが、より明確になったように思います。

筆者の場合は、アートと他者との関わり合いでした。これらの共通点は、人工知能にとっても難しい分野だということ。これからは人工知能の時代だといわれていますが、デジタルになればなるほど、人間的なものの重要性が増すように思います。

『ある日突然AIがあなたの会社に』の著者である、ITコンサルタントの細川義洋氏は、誰もが持つ「人間ならではの強み」を伸ばしていくことが大切だとも語っています。

こうして自分の価値観を整理して考える機会は、そうそうありません。新しい年を迎えるにあたって、自分を見直すという行為は、とても有意義なものでした。

みなさんも、自分だけの「20代にやること」を決めるのがいいかもしれません。そして本記事は、きっとその参考例になれると思います。20代のうちに自分を一度見つめ直し、やっておきたいことを明確にしておけば、迷わず前進できるでしょう。

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みなさんの実りある20代生活のために、そして、新しい1年のために、この記事が一助になれば、こんなに嬉しいことはありません。今みなさんの胸にある希望も目標も、全部叶える1年にしましょうね!

(参考)
日経WOMANSMART|「ジャネーの法則」 年をとるほど1年が早い
THE NEW YORKER|THE POSSIBILIAN
細川義洋(2018),『ある日突然AIがあなたの会社に』, マイナビ出版.
中谷彰宏(2010),『大学時代しなければならない50のこと』, PHP研究所.
ダイヤモンド・オンライン|ジブリ・鈴木敏夫氏に学んだ「自己流の壁」を超える術
D・カーネギー著, 山口博訳(2016),『人を動かす 文庫版』, 創元社.
江口克彦(2010),『猿は猿、魚は魚、人は人 松下幸之助が私につぶやいた30の言葉』, 講談社.
ITmediaエグゼクティブ|ビジネスにおいて「対話力」は非常に大きな意味を持つ
プレジデントオンライン|人間は周り5人の平均になる! 仕事と人生のクオリティを上げる3つの方法
岸見一郎, 古賀史健(2013),『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』, ダイヤモンド社.
樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変えるアウトプット大全』, サンクチュアリ出版.
長崎県美術館|私の話を聞いてくれ
URANAL|ジャネーの法則の計算方法・トリビア

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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