同調圧力に屈しない強いメンタルのつくり方。同僚に「合わせる」ことに疲れていませんか?

井上智介さん「同調圧力に屈しない強いメンタルのつくり方」01

組織に属して集団で働くビジネスパーソンの場合、周囲の同僚からの「同調圧力」によって精神的な疲労をため込んでしまう人も少なくありません。そういった「面倒くさい同僚」に対抗するには、相手との心理的距離を広げる」「同調圧力に屈しない自信をもつことが有効だと言うのは、多くの企業で健康障害や労災を未然に防ぐ活動をしている産業医・精神科医の井上智介(いのうえ・ともすけ)先生です。それらの手段が力を発揮する理由をお聞きしました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

「面倒くさい同僚」に振り回される背景にある同調圧力

これまで産業医・精神科医として職場の人間関係に悩む多くの人に接してきた経験から、職場における「面倒くさい人」は、大きく5つのタイプに分けられると私は見ています。その5タイプとは、「悪口、陰口ばかり言う人」「事あるごとにマウンティングしてくる人」「ハラスメントをしてくる人」「むちゃぶりをしてくる人」「責任を押しつけてくる人」です(『「自分をコントロールしようとしてくる人」に振り回されない方法。1回でも○○してみるといい』参照)。

このタイプを見ると、面倒くさい人は上司に多いという印象を受けた人もいると思いますが、面倒くさい人は同僚のなかにもいるもの。そして、面倒くさい同僚に振り回される背景には、同調圧力が働いています。

同調圧力とは、「集団において少数意見をもつ人に対して、周囲の多くの人と同じように考えて行動するよう暗黙のうちに強制すること」です。誰かの陰口を言っている同僚から「おまえもそう思うだろう?」と言われ、本当はそう思ってはいなくともそう思わなければならないと強制されるようなことを指します。

この同調圧力は、特に日本人に強いものだと言われています。「和をもってとうとしとなす」という言葉もあるように、周囲との協調が美徳とされ、ひとりだけ違った言動をすることをとがめられがちな文化が日本にはあるからです。

残業している上司の顔色をうかがって誰も帰らない状況で、たとえ自分の仕事は終わっていたとしてもなんとなく帰りづらい経験は、日本人の多くにあるものでしょう。

井上智介さん「同調圧力に屈しない強いメンタルのつくり方」02

 

面倒くさい同僚とは、心理的距離をどんどん広げる

もちろん、組織で働いている以上、ビジネスパーソンにとって協調性が大切であるのは間違いないことです。でも、同調圧力によってつくられた協調性は、本当の意味の協調性とは言えません。強制されたうわべだけの偽物の協調性ですし、そんなものが組織にとって大きな力になるわけもないのです。

そうであるなら、面倒くさい同僚に振り回されない自分をつくっていくことが、精神衛生上欠かせません。そのために、面倒くさい同僚との心理的な距離を広げていくことを考えてほしいのです。

強い同調圧力を生む人間には、心理的な距離をむやみに縮めてきがちだという特徴が見られます。みなさんのまわりにも、ただの仕事上における同僚に過ぎないのに、やたらとプライベートのことまでずかずかと聞いてくるような人はいませんか? そのように心理的な距離をむやみに縮めてくる人は、同僚間における適正な距離がわからないがゆえに、「おまえもそう思うだろう?」と同意を求めるようなかたちで、職場における同調圧力を生むのです。

相手から距離を縮めてくるのであれば、こちらから距離を広げていくしかありません。具体的には、その人と関わる時間を制限することを考えてください。

心理的な距離をむやみに縮めてくる人は、先にお伝えした、プライベートのこともずかずかと聞いてくることにも関わりますが、ただの同僚にもかかわらず業務時間外でも平気で連絡をしてくるタイプが多いものです。まずは、その時間を制限するのです。

理由は嘘でもかまいません。「19時以降は家族の時間にしてほしいと妻から言われている」だとか「いま、ある勉強をしているから19時以降は連絡できない」と理由を相手に伝え、連絡を断つようにするのです。そのようにして、面倒くさい同僚との距離を徐々に広げていきましょう。

井上智介さん「同調圧力に屈しない強いメンタルのつくり方」03

日々の小さな成功体験が、同調圧力に屈しない自信を生む

また、面倒くさい同僚の特徴とは別に、そういう同僚の同調圧力に屈して振り回される人には「自分を卑下しがち」という特徴が見られます。日頃から自信がないために自分を卑下してしまって、「まわりに合わせなければ……」と考えてしまうのです。

ですから、面倒くさい同僚と距離を広げることと同時に、自分に自信をもつことも有効な対抗策となります。

自分に自信をもつには、何より成功体験が欠かせません。その成功体験はどんなに些細なものであっても結構です。成功体験というと、仕事や勉強で大きな成果を挙げたようなことをイメージする人も多いと思いますが、自信をもつためには「質より量」が重要だと、心理学の研究において証明されています。

そこで、小さな成功体験をたくさん得られるように、小さな課題をたくさん自分に与えてみましょう。その内容はそれこそなんだっていいのです。「1日3食をきちんと食べる」「会社からの帰りに1駅分歩く」「会社で会った人に自分からあいさつをする」といった、簡単にクリアできそうな小さな課題を設定してみましょう。

そして、実際にその課題をクリアできたなら、「成功できた!」という事実をきちんと確認してください。その確認の積み重ねが、「自分はできるんだ!」と自信をもつことにつながり、ひいてはまわりからの同調圧力に屈しない強い心をつくってくれます。

井上智介さん「同調圧力に屈しない強いメンタルのつくり方」04

【井上智介先生 ほかのインタビュー記事はこちら】
「自分をコントロールしようとしてくる人」に振り回されない方法。1回でも○○してみるといい
「好印象を与えない」のが正解。高圧的、むちゃぶり……面倒くさい上司から自分の心を守るコツ

【プロフィール】
井上智介(いのうえ・ともすけ)
兵庫県出身。島根大学医学部卒業後に産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務。「すべての人に大ざっぱに(rough)、笑って(laugh)人生を楽しんでもらいたい」という思いから「ラフドクター」と名乗り、SNSや講演会などで心を楽にするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信している。『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)、『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』(WAVE出版)、『対人関係療法でストレスに負けない自分になる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『ストレス0の雑談』(SBクリエイティブ)、『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)、『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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