「デキない人ほど自信たっぷり」という残念な事実。本当にデキる人は意外と「自信がない」

とても静かなまなざしをした青いシャツの女性

「あの人はいいなぁ。仕事ができて自信に満ちあふれている。私は自信がないから仕事もできない……」

いやいや、自信と実力は異なるものです。その人は内なる不安を隠し、自信があるように見せているだけかもしれません。あなたの自己評価もあてになりませんよ。

いつも自分を低く見積もってしまうあなたに、「自信がない人」が「自信たっぷりな人」よりも成功できる5つの理由を紹介しましょう。

「自信」はあてにならない?

ダニング=クルーガー効果をご存じでしょうか。本来の実力よりも、自分を高く評価してしまう認知バイアス(思い込み)のことです。

この効果を定義した社会心理学者のデイヴィッド・ダニング氏と、ジャスティン・クルーガー氏は、学生らにテストを実施し、テストの結果について自己評価させたそうです。すると、優秀な学生たちは自身の順位を実際より低く評価しましたが、“優秀ではない” 学生たちは、自身の順位を実際より高く評価したのだとか。また、優秀な学生たちは、自分の能力を過小評価する傾向にありましたが、“優秀ではない” 学生たち過大評価したとのことです。ただし、“優秀ではない” 学生たちが不足していたスキルの指導を受けたところ、自身の能力の欠如を認識できるようになったのだとか。

まとめるとこうです。

  • 能力が低いと、自分の能力を高く見積もる
  • 能力が高いと、自身の能力を低く見積もる
  • 能力が低くても、指導を受ければ自身の能力が低いと認識できる

つまり、自然に湧いた自信の程度で人の能力は測れないということです。

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なぜ優秀な人は自己評価が低いのか?

前項の優秀な学生たちは、優秀だからこそ目の前のタスクをたやすくこなせているのに、「これは誰にとっても簡単なタスクだ」と、事実とは違う推測をしていたそうです。つまり「できた! 私はほかの人よりすごい。余裕余裕」などとは考えず、「できた! でもほかの人もとっくにできているはず。もっと頑張らなきゃ」と考えるということ。

心理学博士の榎本博明氏によれば、優秀な人ほど最悪の事態を含むあらゆる可能性を想定し、不安にかられるので悲観的になりやすいとのこと。逆に、優秀ではない人は、そういったシミュレーションができないので、楽観的になりやすいのだそう。

また、優秀な人は「自分よりさらに優秀な人」と自分を比べる「上方比較」を行なうため、追いつこうと努力をする傾向にありますが、優秀ではない人の場合、「自分よりさらに優秀ではない人」と比べる「下方比較」を行なうので、安心してしまい努力を怠るそうです。

そうして、実力の差がどんどん広がるのですね。

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「自信がない人」が成功できる理由とは?

ロンドン大学教授・コロンビア大学客員教授で、社会心理学者のトマス・チャモロ-プリミュージク(Tomas Chamorro-Premuzic)氏は、長年の研究から「成功に自信は必要ない」という結論にたどり着いたそうです。根拠のない自信は “百害あって一利なし” なのだとか。なぜならば、自信のない人のほうが、自分の弱点や現状を正確に把握でき、努力して実力をつけることができるから。前項の内容にも通じますね。

これまでの内容をふまえると、「自信がない人」が「自信たっぷりな人」よりも成功できる理由は次の5つです。

  1. 自信がないので、あらゆるリスクを想定する
  2. 自信がないので、よい結果が出ても安心・慢心しない
  3. 自信がないのは、自分の欠点・弱点を知っているから
  4. 自信がないので、常に自分より優秀な人が気になる
  5. 自信がないから、努力をする

真面目でキュートな働く女性

ただし――「自信」をゴミ箱に捨ててしまうのはおすすめしません。必要なときもあるのです。

「自信」が必要なときとは?

もしも「自信」がどこにもなければ、前例のない新しい物事に挑戦するのは難しいでしょう。たとえば、やるべき根拠を示すのは難しいけれど、「やってみたい」という強い意志がある場合です。こんなとき、根拠のない自信をもてないと、価値ある挑戦を逃してしまうかもしれません。

また、社会心理学者のロイ・バウマイスター氏らが「Psychological Science in the Public Interest」で2003年に発表した論文では、「高い自尊心はより大きな幸せにつながる可能性がある」と示しています。自尊心が低すぎると、精神的な病につながるリスクが高いからです(※自尊心は自分が有能であると考える「自信」と、自分に価値があると考える「自尊」で成り立つ)

上記の論文には、「高い自尊心がすぐれたタスクパフォーマンスを引き起こす証拠は見つからない」「高い自尊心がよい成績につながる証拠がない」といったマイナス面も多く示されていますが、快感情においては、高い自尊心がプラスに働くようです。

一歩前に進めない、くじけそうなときなどには、うまく心のどこかに隠れている「自信」を役立てられるといいですね。その際には、「私ならきっとできる」とつぶやき、自分に暗示をかけてみることをおすすめします。

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「自信がない人」が「自信たっぷりな人」よりも成功できる5つの理由を紹介しました。もう、自信がないから自分はできない人間だ、なんて思わないでくださいな。

(参考)
ダ・ヴィンチニュース|能力が低い人ほど自信たっぷりな理由、それは…
PHP研究所|自信がない人は一流になれる
トマス・チャモロ-プリミュージク 著, 桜田直美 訳(2015),『自信がない人は一流になれる』, PHP研究所.
SAGE Journals|Does High Self-Esteem Cause Better Performance, Interpersonal Success, Happiness, or Healthier Lifestyles?
Wikipedia|ダニング=クルーガー効果
Wikipedia|自尊心

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