直感が鋭い人は “この3つ” を大事にしている。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー01

デキるビジネスパーソンほど、ロジカルな思考を重視していそうなものです。ところが、Yahoo!アカデミア学長を務める伊藤羊一(いとう・よういち)さんは、近著『「わかってはいるけど動けない」人のための――0秒で動け』(SBクリエイティブ)を通じて、「直感が大切」だと説いています。そして、その直感を磨くためには、ある「3つのこと」を重視する必要があるのだそう。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

小さな「経験」を組み合わせて、大きな未経験のことに臨む

私の思考のベースにあるのは、ロジカルシンキングの基本でもある「ピラミッドストラクチャー」です。ただ、私の場合、「根拠→結論」という正攻法ではなく、思考のスピードを上げてすぐに動き出せるようにするために、直感によって結論を出し、あとづけで根拠を導くという方法を取っています(『「根拠→結論」だと遅い。その逆「結論→根拠」で仕事が圧倒的に速くなる。』参照)。

そう考えると、その結論の精度を上げるためにも、「直感」を磨くことが非常に重要になります。そのために私が重視しているのは、「経験」「妄想」「好奇心」の3つです。では、それぞれについて私なりの考えをお伝えしましょう。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー02

そもそも、多くの人がなかなか動き出せなくなるのは、「それまでに経験がないこと」に臨むときではないでしょうか。でも、経験がないとはいっても、それにつながるような経験は少なからずしているものです。

たとえば、東日本大震災のような大災害に遭遇したことがある人は、それまでほとんどいなかったはずです。でも、大雨や台風、それに伴う水害や土砂崩れに火事といった災害については、人それぞれに経験があるでしょう。だとすれば、それらの経験を組み合わせていくことで、東日本大震災のような未経験の非常事態に直面したときにも、どう行動すればいいのかということも見えてくるのではないでしょうか。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー03

ありとあらゆるものを材料にして、「妄想」することの重要性

その経験は、なにも自分自身の経験である必要はありません。インタビュー記事などで見聞きした有名人の話であっても、自分事としてとらえれば、それは深層心理のなかで自分の経験になる。たとえば、孫(正義)さんはこういっていた、イーロン・マスクはこういっていたということをどんどん蓄積するのです。

そして、それらをただ覚えて知識として寝かせるのではなく、自分のなかで「ミキサーにかける」ことがなにより大切。それが、わたしのいう「妄想」です

もし自分が孫さんの立場にいたらこうする、わたしがイーロン・マスクだったらこうする、という具合です。しかも、それは実在の誰かに限った話ではありません。私は年間に500冊ほど漫画を読む漫画好きですが、漫画を読むときは常に登場人物の立場に立ってストーリーを追っています。

また、人物に限らず、周囲のありとあらゆるものを妄想の材料にしています。目の前にICレコーダーがあれば、「このAというレコーダーはこういうタイプで、こっちのBというレコーダーはこういうタイプ。だとしたらそれぞれにつけるマイクはこんなタイプがいいのではないか」というふうに。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー04

これは、なにかはっきりしたイシューがあってそうしているわけではありません。私は年がら年中、ありとあらゆるものを材料に妄想をしています。そうしていることで、きちんと考えなければならないイシューが出てきたときに、さまざまな材料をもとにした妄想の渦のなかから、フワッとした結論らしきものが見えてくるのです。

直感とはいっても、まったくのゼロの状態から生まれるものではありません。一見、イシューから遠いところにあるような材料であっても、妄想というミキサーにかけているうちに、イシューに近い文脈でつながって生かせることもある。それこそが、妄想の力なのです。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー05

「好奇心」を高める「すげー、やべー」という言葉

その材料としては、自分自身の経験は非常に強い力を持っています。だからこそ、常に好奇心を持っておかなければなりません。その好奇心を高めるために使えるのが、「すげー、やべー」という言葉です

私がそれに気づいたのは、ソフトバンクアカデミアに入った頃のこと。当時の私は本当に好奇心も行動力もない人間でした。でも、まわりの同期たちはそれこそ好奇心の塊です。そこで、彼らがどんな話をしているのかを観察してみると、「新しいiPhone、やべー」というふうに、やたらと「すげー、やべー」といっていたのです。そこで、私も彼らのまねをして同じように「すげー、やべー」と口にするようにしてみました

これが大正解! のちに脳科学者の茂木健一郎先生にそのメカニズムを教えてもらうことになるのですが、このことは脳科学的に見ても正しいのだそうです。自ら「すげー、やべー」と口にすることによって、その音声は耳から脳に届く。そのとき、発言者である自分という存在は抜け落ち、「すげー、やべー」といわれている対象が「すげー、やべー」ものだとして認識されるのだとか。

そうして、「すげー、やべー」とタグがついたもののリストが脳のなかに増えてくると、それとの比較によって、あらゆるものに対して「これはすげー、やべー」「これはすごくない」というふうに、好奇心を持って見る目が育ったというわけです。

直感が優れている人は「この3つ」を大事にしている――伊藤羊一さんインタビュー06

しかも、常に「すげー、やべー」といっている人間のもとには、本当にすごいものの情報も集まってくるから不思議。私があるものに対して「すげー、やべー」といっていたら、好奇心が強い人間なら「なになに?」というふうに寄ってきてくれます。そして、その人間が知っている、もっとすごいものを教えてもらうこともある。こうして、好奇心は常に刺激され続けて磨かれるのです。

強い「好奇心」によって集めた「経験」などの材料をミキサーにかけて「妄想」する――。これが、私の直感力の秘密です。

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【プロフィール】
伊藤羊一(いとう・よういち)
1967年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長、株式会社ウェイウェイ代表取締役。グロービス・オリジナル・MBA プログラム(GDBA)修了。1990年に日本興業銀行入社。2003年、プラス株式会社に転じ、事業部門であるジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編などを担当し、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括する。2015年にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行うだけでなく、グロービス経営大学院客員教授として教壇に立つほか、大手企業のアドバイザーなども務めている。著書には、『1分で話せ──世界トップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』『「わかってはいるけれど動けない」人のための──0秒で動け』(以上、SBクリエイティブ)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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