「急ぎの仕事があるのに、どうしてもやる気がわかない……」
「なぜか勉強する気が起きない……」
このように、やる気が出ないということは誰にでもありますよね。すんなりやる気が起きることのほうが少ないかもしれません。
とはいえ、気が進まない仕事や、好きではない教科の勉強をしなければならない場面は、避けられるものではありません。どうしても行き詰まってしまったときは、今から紹介する「3つのこと」を実行してみてください。各1分、合計たった3分間でやる気を引き出せる、簡単なプログラムです。
【プログラム1】1分間、全力でジャンピングスクワットをする
まず1つめは、1分間全力で運動するという方法です。
メンタリストのDaiGo氏によると、運動することによって血流が良くなるのに加え、興奮物質のアドレナリンが分泌されるのだそう。アドレナリンは肝臓に蓄えられた糖分を血中に放出する作用があるため、脳にエネルギーが行きわたり、やる気がみなぎってくるのです。
DaiGo氏が推奨するのは、最大心拍数の70%以上という激しい運動。つまり、単に体を動かせばよいというわけではなく、心拍が速まり息が切れるほど「全力で」運動しなければなりません。
運動の例としては、バーピー(全身運動)やジャンピングスクワット、階段の昇り降りが挙げられます。比較的実践しやすい「ジャンピングスクワット」の手順をご紹介しましょう。
- 足を肩幅に開いて立つ
- 空気椅子の姿勢になる(ももが床と水平になるところまで、腰を落とす)
- ジャンプする
- 着地する
上記の1~4を、1分間で、なるべく全力で激しく行なってください。たった1分と思われるかもしれませんが、運動し慣れていない人は息が上がってしまうはず。
そして、息が整った頃には脳に血がめぐり、きりっとさえわたった感覚を覚えるはずです。
【プログラム2】1分間、やることを書き出す
運動で気分が高まったら、次は「やらなければならないこと」をイメージしてみましょう。目標を定めるなどといった複雑なことはしなくてかまいません。単純に、これからやることを思い浮かべるだけでよいのです。以下のような具合です。
【仕事に取りかかる場合】
このコーヒーを飲み終わる→マウスを握る→メーラーを立ち上げる→メールをチェックする→必要なものには返信する→○○社にアポイントの電話を入れる→……
【勉強に取りかかる場合】
問題集とノートを開く→ペンを握る→1問目の問題文を読む→ノートに解答を書く→2問目、3問目と解いていく→10問解いたら答え合わせをする→間違ったところは、解説をノートにまとめる→……
上の例からわかるように、「マウスを握る」「ペンを握る」など、なるべく細かいところまでイメージしてください。イメージだけでは難しい人は、メモ用紙などに簡単に書き出してみてもよいでしょう。
公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によると、具体的にイメージすることで、脳の運動野である「前運動野」という部分が活性化し、脳の「やる気スイッチ」が入るのだそう。皆さんにも、「旅行の計画を立てたら、ますます旅行が楽しみになった」という経験があるはず。計画を立てたり確認したりするのは、これから行なうことのいわば予行演習になり、面倒くささを軽減してくれるのです。
さらにやる気を高めるためには、「ササッと」「シャキッと」のようなオノマトペをつけながらイメージすることが推奨されています。篠原教授が紹介するのは、以下の例です。
サッとタバコの火を消してシャキッとし、バンッとこの喫煙所のドアを開け、ササっと机まで歩いて行って、ピンッと姿勢よく椅子に座り、グッと受話器を握って、ニコニコの笑顔をつくり、ハキハキと○○商事の奥田さんに電話をする
(引用元:プレジデントオンライン|脳科学者"やる気が出ないと悩むのは無駄")
オノマトペをつけることで、イメージが鮮明・感覚的になり、脳をより活性化することができるのです。
【プログラム3】1分間、とりあえず手をつけてみる
上記2つの準備運動が終わったら、まずは「1分だけ」作業にとりかかってみましょう。
心理学者のエミール・クレペリンは「作業興奮」という概念を提唱しました。作業興奮とは、作業をしているうちにだんだん気持ちがたかぶってきて、いつの間にかのめりこんでしまう心理のこと。よく聞かれる「部屋の片づけをし始めたら止まらなくなった」という現象が作業興奮にあたります。
医師・経営者として活躍する裴英洙氏によると、行動を起こすことで脳の「側坐核(そくざかく)」という快感を司る部位が刺激され、活性化することで、やる気につながるのだそう。つまり、作業興奮を起こすためには、とにかく「手を動かす」ことが重要なのです。
- 企画書のタイトルだけ打ち込んでみる
- メールの件名だけ打ち込んでみる
- とにかく取引先に電話をかけてしまう
- 問題集の1問目だけ読んでみる
上記のように、とっかかりになるようなちょっとしたアクションでかまいません。一度手をつけると、「件名を打ったなら、本文も1行くらい書いておこう」「どうせなら、このメールだけ仕上げてしまおう」「メールまで終わったんだから、企画書にも取りかかってみよう」と、連鎖的に作業が進んでいくはずです。
***
「全力で運動する」「やることをイメージする」「作業に手をつけてみる」――計3分でやる気を回復する簡単なプログラムをご紹介しました。
すべてに共通するのは、まず何かアクションを起こすということ。目の前のタスクをボーっと眺めるだけでは何も始まりません。嫌々でもかまわないので、まずは何かしら手を動かす習慣をつけましょう。
(参考)
Mentalist DaiGo Official Blog|30秒でやる気を回復させる方法3選
All About|さらにキレある動きを作るトレーニング
プレジデントオンライン|脳科学者"やる気が出ないと悩むのは無駄"
ダイヤモンド・オンライン|使うのは自分の脳内物質だけ!今すぐ集中、やる気アップさせるコツ
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。