東大生のノートは本当に美しいのか? 調べてみたら、“見た目” ではない「美しさの本質」が判明した

東大生のノート1

突然ですが、「東大生」のノートは本当に美しいのか、知りたくありませんか? 

巷では、「東大生のノートは美しい」と一応いわれています。しかし、普通に考えて、「きれいに見やすくまとめる人」もいれば、「汚くても自分がわかるようにまとめる人」もいるはず。要するに、噂は本当なのかと筆者は疑問に思いました。

何かと取り上げられることの多い東大生のノート術ですが、今回は、美しいのか美しくないのかという視点を切り口に分析していきます。

東大生のノートは「美しい」のか?

STUDY HACKERでは過去に、ベストセラーになった『東大合格生のノートはかならず美しい』の著者・太田あや氏にインタビューを行ないました。太田氏いわく、東大生のノートには、以下の7つの法則があるのだそう。

  1. とにかく文頭はそろえる
  2. 写す必要がなければコピー
  3. 大胆に余白をとる
  4. インデックスを活用
  5. ノートは区切りが肝心
  6. オリジナルのフォーマットを持つ
  7. 当然、丁寧に書いている

これらのほとんどは、「見た目の美しさ」のためのものです。東大生は、ノートの「見た目の美しさ」のための工夫も凝らしているのは確かなよう。ただし、太田氏は、東大生のノートの美しさの本質は、単なる「見た目」にはないと考えています。

取材した当時、東大生のノートがなぜ美しく見えたのかと考えると、それは「言葉が置き去りになっていない」と感じたから。たとえば、日本史のノートに「江戸時代」という言葉が書かれているとしたら、江戸時代というものはどういう流れで生まれて、その後、誰がどうしたのかということがわかるように構成されています。

(引用元:STUDY HACKER|「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。

それではなぜ、東大生のノートは、言葉が置き去りになっていない、すなわち単語が脈絡なく書かれているだけではないノートになっているのでしょうか?

太田氏によれば、東大生のノートには、情報だけでなく「あとで調べよう」「テストに出そう」といった自分の気づきや見解が、言葉と一緒に書き加えられているからなのだそう。つまり、黒板に書かれたことをノートに書き写すだけではなく、より記憶に残りやすいように自分の言葉で情報を補強しているのです。

結果として、たとえ字が汚かったとしても、書いた人なりの秩序がノートに生まれていることを、太田氏は美しいと感じています。

東大生のノート2

東大生のノートは「美しくない」のか?

一方で、東大生で美しいノートにこだわっている人を見たことがないというのが、東京大学出身の弁護士・鬼頭政人氏です。

鬼頭氏いわく、ノートの役割は、習ったことをまとめるためや整理するためではなく、「記憶する」ところにあるのだそう。鬼頭氏自身は、勉強ノートに自分が記憶していない事項だけを抜き出して書き込んでいたそうで、他人から見たら支離滅裂で判読できないノートになっているのだとか。

同様に、東京大学出身の心理カウンセラー・杉山奈津子氏も、きれいにノートをとっている東大生はいなかったといいます。杉山氏は、まとまった情報は教科書や参考書で見ることにして、問題集で解けなかった問題の解答をノートに書き殴り、声に出して覚えるというためだけにノートを使っていたそうです。

東大生のノート3

見た目はさておき、東大生のノートは「記憶しやすいノート」だった!

東大生のノートを「美しい」とする立場、「美しくない」とする立場に共通しているのは、ノートの役割を「記憶に役立てるため」と明確に決めて使っていること。

アメリカ心理学会が発表した論文によると、ノートを書くときに、脳でさまざまな情報を深く処理しなければ、書いた内容は記憶に残りにくいそうです。つまり、ノートにただ情報を書き写すというのは、科学的には有効ではないとのこと。反対に、自分で情報を掘り下げたり、見解や疑問も書き込むという東大式のノートの取り方は、書いたことを記憶に残りやすくする効果が期待できるといえます。

つまり、東大生のノートは、見た目という意味で美しいわけではなく、記憶に残しやすくするために「その人なりのロジックが存在している」という意味で美しいといえるでしょう。

今日から使える! 目的別東大ノート術

それでは、ここからは具体的に、東大生がどんなロジックでノートをつくっているのかを紹介していきます。ぜひ、資格試験の勉強などに取り入れて、記憶力アップに役立ててみてくださいね。

1. 因果関係を残す

現役東大生で、勉強法に関する著書を多数出している西岡壱成氏によれば、東大生は「どうしてそうなるのか?」「なぜそうなったのか?」という因果関係の明示をしっかり記述するのだそうです。

たとえば、「1877年にイギリス女王がインド帝国皇帝に就任した」という記述をそのまま覚えるのではなく、「なぜ1877年にその出来事が起こったのか?」「その出来事の結果、何が起こったのか?」という因果関係も合わせてメモするとのこと。

資格の勉強でよくあるのが、規則や法律の条文を頭に入れることでしょう。しかし、堅苦しい言葉をただ暗記しようとしても非常に難しいもの。なぜそのような規則が必要なのか、その規則や法律は今の社会にどのように役立っているのか、ということもあわせてメモしていくといいかもしれませんよ。

2. 無駄なことも書く

前述の太田あや氏によれば、ある東大生のノートに「先生がパーマをかけた」「赤いチェックのシャツを着ていた」というような、一見授業の内容と関係ないことも書かれていたそうです。

じつは脳科学的には、記憶に関連づけられるものが多ければ多いほど、記憶は定着しやすくなるのだとか。先生の特徴をその日の授業の内容に関連づけて、記憶をよみがえらせるトリガー(きっかけ)のひとつにしていたのです。

研修やセミナーのときには、天気や自分の気分、自分のいる場所、周りにいる人の特徴など、一見無駄だと思えることもあわせて書き込んでおいてみると、同様の効果が期待できます。関連づけられるものを増やすことで、ぜひ記憶の定着率アップをはかってみてください。

3. 余白を大胆にとる

東京大学医学部家庭教師研究会代表で、多数の勉強法の著書をもつ吉永賢一氏は、著書の中で「ノートに大胆に余白をつくる」ことをすすめています。

吉永氏によれば、余白をつくる最大のメリットは、ノートが見やすくなることなのだそうです。文字が詰め込まれたノートよりも、余白がたっぷりあるノートのほうが、読み返しやすく、思考が整理しやすくなります。同時に、あとから気づいたことや追加で学んだことを余白に書き込んで、書いたことを膨らませていくのが、東大生のノート術なのだとか。

資格の学習やセミナーでノートをつくっている方は、ぜひ余白をたくさんつくってみてください。吉永氏の言葉のように、あとから気づいたことや追加で書き込みたい情報を余白に書き込み、読み返すだけで、思考が整理されて記憶に残りやすいノートが完成します。

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東大生のノートは、美しかったわけです。見た目の美しさではありません。ノートにこめた志や、ノートで叶えたいと思う目標、自分なりの言葉と思考、そして書き手の人間性と情熱が、たとえ字は汚かったとしても、ノートを結果的に美しいものたらしめているのです。この記事を読んだみなさんのノートもまた、美しく輝きますように。

(参考)
STUDY HACKER|「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。
STUDY HACKER|記憶力が抜群に上がる「東大式ノート術」。蛍光ペンの使い方が普通とは全然ちがった。
幻冬舎plus|いくらノートをきれいにとっても東大には合格できない
PRESIDENT Online|偏差値29から東大へ「頭のよさとは要領のよさ」
Di Vesta, F. J. and G. S. Gray(1972), “Listening and Notetaking”, Journal of Educational Psychology, No.63, pp. 8-14.
東洋経済ONLINE|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた
吉永賢一(2010),『東大家庭教師の結果が出るノート術』, あさ出版.

【ライタープロフィール】
月島修平
早稲田大学文化構想学部卒。大学時代は映画や演劇をはじめとした表現の研究を行った。好きなものは路地裏、螺旋階段、筋肉少女帯、BiSH、丸尾末広、鴨居玲、フェリーニ。

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