はじめまして。「睡眠から日本を元気に!」をマイスローガンに掲げている睡眠コンサルタントの友野なおです。

いきなりですが、皆さんは毎日十分な時間、ぐっすり眠れていますか? 私自身含め、現在の働き世代は、「睡眠」についてきちんと学ぶ機会を得てこないまま社会人になった方がほとんどだと思います。「睡眠時間なんてもったいない」、「忙しい毎日の中で、何よりもまず睡眠時間は削るプライオリティ」、そんな考えをお持ちではないですか? かくいう私もそのひとりでした。

睡眠の力で人生は変えられる

30歳手前で仕事なし、お金なし、男なしの「3重なし」だった私は、睡眠時間を削って明け方までネットから仕事につながるための情報収集をすることが日課になっていた時期がありました。

そのときは朝に就寝するのは当たり前で睡眠の時間も短くバラバラ、毎日悪夢にうなされ、飛び起きたり涙を流しながら目を覚ましたりしたこともあるほど、質も最悪のレベル。ひどいパニック障害になり、頻繁に熱を出すなどの体調不良が続き、体重も今よりも15kg以上増えるなど、精神的にも肉体的にも限界に近いところまで追い詰められていました。

そんな中、その状況を見かねた母が「1度全て忘れて眠りなさい」と言葉をかけてくれたのです。眠ることで何かが変わるなど、当時は夢にも思っていませんでしたが、真っ暗なトンネルから抜け出したいけれど抜け出せない苦しい毎日に疲れ果てていた私は、半ば諦めの気持ちで眠ることにしました。

睡眠に関する知識は全くなかったので、最初はとにかく長く寝てみたり、早く就床してみたり。そのうちに0時~7時の就寝時間が自分には合うことが分かり、次に寝具の改善や温活や香りを取り入れるなど、試行錯誤をしながら良質な眠りを得る努力を重ねていきました。

すると驚いたことに、半年経つころには体重が7kg減り、1年経つ頃にはマイナス10kg、現在ではマイナス15kgを維持しています。

それだけではありません。酷かったアトピーが改善され、パニック障害が治り、風邪も一切ひかなくなりました。さらに、半年間止まることもあった生理も毎月順調にくるようになって冷えも改善され、過去には悲しい流産も経験しましたが、今では可愛い娘も授かることができたのです。

身体的な側面だけでなく、精神的にもとても前向きでポジティブになれ、今では自分の会社を経営するまでになりました。

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睡眠不足がもたらす恐ろしいリスクとは?

長年、「ただ寝ているだけの無意味な時間」だと思っていた睡眠時間。しかし、実は睡眠には魔法にも近い物凄い力が秘められているのではないか、そんなふうに感じたことが睡眠の世界の扉を開くキッカケとなったのです。

大学院で睡眠を学び、研究し、科学的に眠りの知識を得たとき、睡眠を改善したことで私に起こった全ての奇跡に心から納得することができました。

これまでの睡眠疫学の研究から、不適切な睡眠時間は、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病やがん、精神疾患、認知症などの罹患率や死亡率を高めることがサイエンティフィックに明かされています

例えば、107,756名を対象に平均9.5年間追跡調査をした睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクに関するデータを解析した結果では、短時間睡眠者は7~8時間程度の睡眠者と比べて相対危険度が1.28倍、長時間睡眠者では1.48倍、高くなることがわかっています。1)

年齢が若くても、睡眠不足はサイレントキラーのようにジワジワと身体と心を蝕むので、疎かにはできません。1999年に行われた実験によると、若者の睡眠時間を6日間にわたり4時間に制限した結果、耐糖能の低下や夜間のコルチゾール濃度と交感神経活動の上昇がみられ、身体機能に対する様々な悪影響が明らかになっていますし2)、ジョンホプキンズ大学が卒業生1,053名を平均して34年間、最長で45年間追跡調査したところ、学生時代に不眠を訴えた人は、その後うつ病を発症するリスクが高まっていたという報告がされているのです。3)

また、睡眠障害や短時間睡眠が身体の疾患に及ぼす影響についても数多く報告がなされています。

国内の45地区に居住する約11万人を15年間調査した睡眠時間と心血管疾患との関係について調べた研究の結果では、睡眠時間が10時間以上の長時間睡眠は、7時間の睡眠に比べて、男性の全脳卒中死亡で1.7倍、脳梗塞死亡で1.6倍、全循環器疾患死亡で1.6倍、循環器疾患、及びがん以外の死亡で1.7倍、全死亡で1.6倍と死亡リスクが増加、女性でも全脳卒中死亡で1.7倍、脳梗塞死亡で2.4倍、全循環器疾患死亡で1.5倍、循環器疾患及びがん以外の死亡で2.0倍、全死亡で1.6倍と、男性同様に死亡リスクの増加が認められるという結果が報告されました。

一方、4時間以下の短時間睡眠は、7時間睡眠に比べて、女性で虚血性心疾患の死亡リスクが2.3倍、循環器疾患及びがん以外の死亡リスクは男女ともに1.5倍、全死亡リスクは男女ともに1.3倍と、やはり死亡リスクの増加が報告されています。4)

「睡眠のクオリティ」は、そのまま「人生のクオリティ」

そもそも私たちは生理学的に睡眠なくして生きていくことはできないのです。

海外では、ラットを使って睡眠が生命に及ぼす影響について調べた研究が行われました。ラットを眠らせないようにするとまず動きが少なくなり、体温を制御できなくなって震えなどが見られ、さらに代謝を調節できなくなり体重が著しく減少します。やがて、毛が抜ける、潰瘍ができるなどが起こって全身状態が悪化し、免疫不全のような状態になって断眠後3週間程度で感染症により死んでしまうことが報告されています。5)

睡眠を疎かにすることによるダメージは私たちがこれまで想像していた以上に大きいことが科学的に次から次へと明らかになっている一方、良質な睡眠は、免疫力を向上させ、日中のパフォーマンスをピークレベルまで引き上げ、心身の健康を維持し、高いQOLを実現してくれることも明らかになっているのです。

「日々の睡眠」を大切にすることを意識することは、「日々の充実」にそのままダイレクトにつながります。眠ることのメリットと、眠らないことのデメリットをしっかりと頭の片隅におき、きちんと眠る時間を確保できるようなタイムスケジュールを組むようにしてくださいね。

(参考)
1)Cappuccio FP, D’Elia L, Strazzullo P, Miller MA. Quantity and quality of sleep and incidence of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetes Care. 2010 Feb;33(2):414-20.
2)Cappuccio FP, D’Elia L, Strazzullo P, Miller MA. Quantity and quality of sleep and incidence of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetes Care. 2010 Feb;33(2):414-20
3)Chang PP, Ford DE, Mead LA, Cooper-Patrick L, Klag MJ. Insomnia in young men and subsequent depression. The Johns Hopkins Precursors Study. Am J Epidemiol. 1997 Jul 15;146(2):105-14.
4)Ikehara S, Iso H, Date C, Kikuchi S, Watanabe Y, Wada Y, Inaba Y, Tamakoshi A; JACC Study Group. Association of sleep duration with mortality from cardiovascular disease and other causes for Japanese men and women: the JACC study. Sleep. 2009 Mar;32(3):295-301.
5) Sleep deprivation in the rat by the disk-over-water method. Rechtschaffen A, Bergmann BM. Behav Brain Res. 1995 Jul-Aug;69(1-2):55-63.

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