ベストセラー『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)や『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者であり “朝活の第一人者” としてご活躍されている池田千恵さんをお迎えしての、StudyHacker特別インタビュー。

第1回「“朝” から生まれた成功の数々」では池田さんのこれまでのキャリアについて、第2回「朝に私たちがするべきこと」では朝時間の良さやおすすめの過ごし方についてお話を伺いました。

最後の第3回では、早起きのコツや池田さんの今後の展望についてお話を伺います。

asakatsu-notebook

朝活手帳 2018

池田千恵

ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017)

「生々しい思い」が朝活のモチベーションになる

——朝活を始めるにあたっての最初のハードルとして「早起き」があるかと思いますが、朝しっかりと早く起きられるようになるためにはどうすればいいのでしょうか?

池田さん:
そもそも朝早く起きられないのって、楽しいことをしていないからだと思うんですよね。自分にとって楽しくない、嫌なことや重たいことを朝にやろうとしても、「朝がつらい」「これをやらなければいけないのがつらい」の二重苦になってしまって、結局起きたくなくなってしまうんです。だから最初は楽しいことや大変でないことから始めましょう。そうすれば朝の良さを知ることができますよ。

あとは “何のために早起きをするのか” という目的意識を持つのも重要です。なんとなく「朝早く起きたらいいかも」と思っているだけでは絶対に続けられませんから。ただ、その目的自体は何でもかまわないんです。

たとえば私の場合も、最初のモチベーションは「本当に悔しいから今に見てろよ」「いつまでも仕事ができないと思うなよ」なんてところから始まったのですが、そういう生々しいものでもいいと思うんですよね。英語を勉強したいと思ったとしても、生々しい思いとしては「モテたいから」かもしれないじゃないですか。「外国人の恋人を作りたい」でもいいですし、「ビジネスシーンで流暢な英語を話せたらカッコいい」でもいいんです。「スキルアップ」みたいにきれいな言葉にくるむのではなく、生々しい思いを自分の心に聞くのが大切ですよ。

また、“早寝早起き” ではなく “早起き早寝” という点にも注意しましょう。夜型の人がいきなり早寝なんて無理なので、24時に寝る人は24時に寝て、無理やりでも朝早く起きてしまうんです。習慣は2週間ほどで定着すると言われています。はじめの1日2日は大変でしょうが、いずれ夜の早い時間に眠くなって寝られるようになりますよ。

そして、この習慣を定着させる際の割り切り方として私がよく言っているのが “早起き国への留学生” です。早起きは決して睡眠時間を短くするという話ではなく、時差ぼけと一緒で生活時間の朝シフトなんです。たとえばハワイに行くなんてときは、皆さん眠くても元気じゃないですか。それと一緒です。早起き国にはすばらしい未来が待っていると考えれば、なんとか頑張れるのではないでしょうか。

ただ、二度寝して寝坊してしまったとしても、あまり落ち込まないようにしてくださいね。私は “戦略的二度寝” という言葉を使うように言っているのですが、「今日1日の生産性を最大限高めるために “戦略的に” 二度寝をしたんだ」と思えばいいんです。まじめな方ほど自分を追い込んでしまうので、思考を転換させるのも大切ですよ。

——ちなみに、睡眠のコツって何かあるのでしょうか?

池田さん:
人間の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の周期で90分単位と言われていますよね。寝入りのための30分も考慮して、「90分 × X + 30分」の中で自分の最適な睡眠時間を探してみてはいかがでしょうか。

そのためには、睡眠時間を減らしたり増やしたりする実験をしてみましょう。「自分の感覚がどうなるのか」「午後はどれくらい眠くなるのか」といった部分に意識して2週間ほど記録をつけてみると、自分に最適な睡眠時間がわかってきますよ。

maemurasama-ec
1日1時間しか勉強できない超多忙な私が、90日でTOEIC800越え。「私に合った勉強法」のほんとうの意味。
人気記事

“すっきり目覚め” が実現する朝習慣

——朝すっきりと目覚めるために、起床直後にやるべきことがありましたら教えてください。

池田さん:
まずは太陽の光を浴びることですね。私は太陽電池エネルギーチャージ法と呼んでいるのですが、朝日の前に立って目をつむり、自分が太陽電池になって下からエネルギーがぎゅぎゅぎゅっと上がってくるイメージを持つんです。太陽のエネルギーを体の中に満タンにして1日を始める習慣を持つと、とても気持ちがいいですよ。

グレープフルーツのアロマオイルもおすすめしています。私は毎朝目覚めのために42度の高めの温度でシャワーを浴びているのですが、グレープフルーツのアロマオイルを床に2、3滴垂らした上にシャワーをかけると簡易アロマミストになるんです。これはアロマセラピストの方に教えていただいた方法なのですが、グレープフルーツは目覚めの香とも言われていますし、ディフューザーを使う必要性もなく楽なので、とってもおすすめです。

あとは、ケーキやチョコレートのようなご褒美を朝に用意してあげるとか、女性でしたら暑い時期はシートパックを冷やしたものを顔に貼ってあげるとか。自分のための時間を朝イチで作ってあげるという充実感があると、しっかり起きられるようになりますよ。

chie-ikeda-asakatsu-03-02

時代とともに変わりゆく「朝活」の価値観

——『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』の大ヒットを経て、現在は “朝活の第一人者” として活躍されている池田さんですが、これまでにどのような朝活イベントを実施されたのか教えていただけますか?

池田さん:
2008年に「before9プロジェクト」という名前で始めたのが最初で、そこからもう9年が経ちました。

たとえば「早朝グルメの会」というものを主催しています。会員の方は約1,000人いらっしゃるのですが、いつも告知後30分ほどで満席になりますね。高級ホテルのレストランで朝からおいしい料理を頂いて、みんなで「行ってらっしゃい」と言い合いながら別れるんです。これが夜だと「お疲れさまでした」で別れるので言葉だけで疲れてしまいますが、朝は「行ってらっしゃい」で別れられるので、行ってらっしゃいなんて言われることのないひとり暮らしの方などは、とっても嬉しいみたいですね。

過去にはメイクレッスンもしましたね。ご自分のお化粧道具を持って朝7時にすっぴんで来ていただいて、ミスインターナショナルの公式ドレスデザイナーの先生に、ひとめではっとさせる女優メイクを教えてもらうんです。こちらもとても人気で、30分で埋まってしまいました。

あとは、インディーズのミュージシャンを呼んで朝7時からライブをしたり、九星気学の先生を呼んで自分で占うコツを教えていただいたり、発音矯正の先生を呼んでちょっとした英単語の発音だけを完璧にする英語講座を行なったり。最近は、ベーグルを食べながら日経新聞を読んで勉強するという「こだわりのベーグルをいただきながら日経新聞でプレゼンを学ぶ勉強会@丸ビル」なんていうものも開催しましたね。

——2008年から2017年までの9年間で、朝活に対するビジネスパーソンの意識の変化は何かありましたか? 併せて、池田さんの今後のご活動の展望を教えてください。

池田さん:
最初のころは、朝活といえばスキルアップでしたね。朝から著名な方のお話を聞きたい、英語の勉強をしたい、資格試験の勉強をしたい。これが2009年ごろからの流れでした。ただ、ここ2、3年は、楽しくないと続かないということで「朝からおいしいものを食べる」「朝からレストランを新規開拓する」、そういった “ゆるい朝活” が増えてきていると感じています。

でも働き方改革が叫ばれている昨今は、本当は残業しないと仕事が終わらないにもかかわらず「早く帰れ」と急かされて大変な思いをしている人が増えていますよね。それに、漫然と仕事をしていたらAIに仕事を取って代わられてしまうAI時代にもなりつつあります。

こういった状況の中で生き抜ける人材になるためにはどうすればいいか、それについて考える時間を取れる唯一の時間が朝だと思うんです。したがって “ゆるい朝活” の時代から、朝時間を勉強や自己投資のために使う時代に再び戻っていくのではないかという見立てをしています。

なので今後の活動の方向性としては、会社から早く帰れて遊んでしまう人ではなく、早く帰ることを求められているからこそ「仕事を早く終わらせたい」という気持ちを盛り上げられる人に対して、その方法を提供していきたいと考えています。

時間は、命と同じくらい大切なもの

——最後に、StudyHackerの読者に向けてメッセージをお願いします。

池田さん:
私が常々思っているのは、“時間は命だ” ということです。私たちは誰もが、今この瞬間から死ぬことに向かっています。そんな中、やりたいことができずに漫然と時間を過ごしてしまうのは、非常にもったいないことだと思うんです。

お金と時間って、じつはとてもよく似ているんです。たとえば給与天引きにして銀行から自動的に分けられるようにすると、お金って貯まりますよね。でも余ったお金を給料日前に貯めようと思っても、絶対に貯まらないじゃないですか。

時間もそれと一緒で、はじめに自分のための時間を作ってあげない限り、あとから自分の時間を作ろうと思っても絶対に無理なんです。そして早起きした朝時間というのは、自分の意志で天引きできる唯一の時間です。その時間をきちんと使えていないのは、ほかの人に命を差し出しているのと同じくらいもったいないことなんですね。だからこそ、朝時間をきちんと使える人が増えていったらいいなと、私は強く思っています。

***
“朝活の第一人者” 池田千恵さんへのインタビューを、全3回にわたって皆さまにお届けしました。

1日が始まれば誰にでも必ず訪れる「朝」。今日の仕事のため、そして未来の自分のために、私たちは今一度「朝」という時間の過ごし方を考えてみる必要がありそうですね。