「物静かなのに好印象な人」は○○がうまい。じつは周囲から慕われやすい内向型の人の意外なスキル

物静かなのに仕事ができる女性

「同僚との会話が続かない。慕われる存在になりたいのに……」
「周囲から好かれるには、やっぱり話し上手にならないとだめかな……」

コミュニケーションや人間関係の構築に悩んでいる、内向型の人は多いのではないでしょうか。しかし、“物静かなのに好印象” な人がいるのもたしかです。

口数は少ないのに、なぜか周囲から慕われる――そんな好印象を与える内向型の人に共通しているのが 「聞き上手」という点。彼らは、相手を「話したい気持ち」にさせるような聞き方に長けているのです。

今回は、内向型の人に聞き上手の素質がある理由と、ビジネスで成功するための「傾聴スキル」の磨き方をご紹介します。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

内向型の人は「刺激に対する反応」が強い

みなさんは、にぎやかな場所で長時間過ごしたあと、ストレスを感じた経験はありませんか? もしくは、友人との会話のなかで、自分がほかの人よりも細かい情報やニュアンスに敏感に反応していると気づいた経験はないでしょうか。これは、脳の特性と関連しているかもしれません。

というのも、ドイツの心理学者ハンス・アイゼンク博士の理論によれば、内向型の人と外向型の人とでは、「上行性網様体賦活系(ARAS)という脳の組織」の機能が異なると考えられるそう。内向型の人は「情報が伝わる通路が広いので、大量の刺激が流れ込んで覚醒水準が高くなりすぎ」るのだとか。(カギカッコ内引用元:現代ビジネス|人生を好転させるのに知るべきは、自分にとって「最適の覚醒レベル」

たとえば、都心の騒がしい街なかや大勢の人が集まるイベントなどに行くと疲れてしまう――というのは、内向型の人にとってよくあることでしょう。内向型の人は多くの情報量を受け取って処理するため、ノイズの多い場所では強いストレスを感じやすいのです。

しかし、この特性はもろさだけを表すのではありません。じつは、相手の話を聞く場面においては有利に働く一面もあるのです。

外部の刺激によって疲れている男性

内向型の人こそ「聞き上手」になれる

身のまわりの “物静かなのに好印象” な人を思い浮かべてみてください。

彼らに対して「聞き上手だな」と感じた経験はありませんか? 口を挟まずに話を聞いてくれたり、否定せずに意見を受け入れてくれたり、感情を敏感に察知してくれたり――。なぜ、彼らはそのような「聞き上手」の印象を周囲に与えるのでしょうか。

それは、先に述べた「内向型の人が刺激に対して敏感であること」が関与しています。

内向型に関する著書『Introvert Power』を発表した心理学者のローリー・ヘルゴー氏は、内向型の人の傾聴力について以下のように述べたそう(サイエンスジャーナリスト 、レイチェル・ヌワー氏による)。

In terms of listening skills, Helgoe says, this may mean that introverts are more receptive to taking in what another person is telling them, and they also may be more equipped to pick up subtleties in conversation.
(ヘルゴー氏は、これについて、リスニング能力の面では、内向型の人のほうが相手の話をより受容的に聞き、会話の微妙なニュアンスをとらえる能力が高いことを意味すると述べる)

(引用元:audible blog|Are Introverts The Best Listeners? ※カッコ内の和訳は筆者が補った)

たとえば下記のような具合に、内向型の人は相手の考えや本心を汲み取りやすいのですね。これは、外からの情報に敏感だからこそ。

  • 同僚の愚痴から「仕事を多く抱えて疲れている」と気づく
  • 部下の様子を見て「意見を言い出せずにいる不満」を感じ取る
  • 顧客との会話で「どちらの商品に関心があるのか」を察する など

たとえ発言の数が少なくとも、“上手な聞き役” に回れるという点で、物静かな人にはアドバンテージがあると言えるでしょう。

聞き役に回っている女性

「傾聴スキル」を高めるコツ

内向型の人は、大量の刺激を受け止める性質があるからこそ、相手の感情を汲み取りやすいことがわかりました。

では、どうすればより傾聴スキルを高めて仕事に活かせるのでしょうか?

傾聴スキルをうまく仕事に活用しているのが、『 “内向型” のための「営業の教科書」 自分にムリせず売れる6つのステップ』の著者であり、サイレントセールストレーナーの渡瀬謙氏。著書名が示すとおり、自身も「無口な営業スタイル」を貫く内向型でありながら、外向型の人が有利とみなされがちな営業の仕事で「営業達成率全国トップ」という実績を挙げています。

なぜ、物静かな人が営業で成果を挙げられるのかについて、渡瀬氏はこう説きます。

お客様が「この営業パーソンは信頼できる」と判断するタイミングは、「この人は話を聞いてくれているな」と思えたときなんです。反対に信頼を失ってしまうのは、同じことを何度も質問されたり、会話がうまく噛みあっていなかったりするときです。

(カギカッコ内および上記引用元:パソナキャリア|内向的な性格でも営業成績を上げるアイスブレイクとは〜無口なまま営業達成率全国トップになった、サイレントセールストレーナー・渡瀬謙さんが説く〜 ※太字は編集部が施した)

口数が少ない人ほど、相手の話を遮ったり、むやみに否定したりしないもの。また、先に述べたように、内向型の人には相手の話を受容的に聞くスキルもありますよね。結果、信頼関係を築くことができるのです。無口であることは、必ずしも仕事において不利に働くわけではありません。

質問を通して場を和ませている様子

渡瀬氏は、内向型の人が営業で成果を挙げるために、「その場の空気を温めるためのコミュニケーション術」である「アイスブレイク」を活用することをすすめます。特に、相手の話を引き出すために、相手が「答えやすいこと」「距離が近いこと」から質問するのが効果的なのだとか。(カギカッコ内引用元:同上)

たとえば、「弊社のサービスに、どのようなイメージをもっていますか?」といきなり質問したところで、うまくはいきません。初対面の営業の人から、さほど関心のないことを聞かれても、相手は答えにくいでしょう。ですが、「珍しい苗字ですね。ご出身はどちらですか?」と質問すれば、相手にとってごく身近な話題なので、自然と話をしてくれるのです。

無理に話題を盛り上げようとせず、“相手の近くにあるもの” について質問しながら、会話を広げていく――これが、物静かなのに好印象な人がおさえている聞き方のコツ。自身の特性を活かした「上手な聞き方」を磨いていけば、より印象がよくなるはずですよ。

なお「聞く力」のポイントとなる質問力の磨き方については、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください⇒「STUDY HACKER|「この人にはなぜか本音で話したくなる」そう相手に思わせる人がしている “3つの質問術”

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内向型の人は、コミュニケーションや人間関係をより豊かにできる素質をもっています。物静かながらも相手の話を真摯に聞き、深く理解できるからこそ、信頼関係を築けるのです。

この記事を通して、内向型の人が自分の特性を再認識し、それを強みとして活かすヒントを得られたら幸いです。

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