「勉強時間がなくて勉強なんてできない!」そんな悩みを抱えていませんか?
仕事や予定に追われる毎日。資格試験のための勉強時間を確保したくても、なかなか難しいものです。でも、実はあなたの周りには、意外な勉強のチャンスが潜んでいるかもしれません。
そう、スキマ時間の活用です。
「たった5分や10分で、何ができるの?」と思うかもしれません。しかし、このわずかな時間こそ、効果的な学習のカギとなるのです。
本記事では、時間別におすすめの勉強内容を、実践例を交えてご紹介します。短い時間でも、驚くほどの効果が得られる方法があるんです。
あなたの日常に潜む「勉強のチャンス」を、一緒に探してみませんか?
1. 5分だけ! 覚えた内容を書き出してみる
スキマ時間を5分見つけたら、復習にあてるのがおすすめです。特に、覚えた内容を書き出してみるのが効果的。
記憶力日本選手権大会最多優勝者で、一般社団法人記憶工学研究所で代表理事・所長を務める池田義博氏は、以下のように述べています。
おすすめなのが、覚えた内容を実際に書き出してみる「アウトプットライティング」です。
人の脳は「締め切り効果」といって、時間の制限がかかると、通常よりも集中力を高める働きがあります。この働きを利用して、例えば1分間などと区切って今日勉強した範囲を再現して書き出してみましょう。もし、覚えていない情報があれば、もう一度戻って復習すると、弱い部分を補強できます。*1
「5分しかない」という状況を逆手に取り、集中して復習するのです。5分という短いスキマ時間は、日常にあふれていますよね。
たとえば、ホームでの待ち時間、食後の休憩時間、電子レンジを待っている時間。こういう時間を見つけたら、覚えた内容を書き出すようにしてみましょう。
筆者も、この方法にチャレンジしてみました。お茶を沸かしている時間、電車での移動時間、ヘアアイロンが温まるまでの時間など、一度探すとたくさんのスキマ時間がありました。
筆者は現在、基本情報技術者試験の勉強をしています。前日に勉強した仮想記憶管理の内容を、5分間メモ用紙に書き出してみました。移動時間など、紙に書きにくいときは、スマホのメモアプリに書き出しました。
スキマ時間だと、時間がくれば強制的に勉強を終えなければならないため、とても集中して取り組めました。
また、覚えたはずのことが、抜け落ちているのが確認できるため、次のスキマ時間で忘れた内容をすぐ確認するようになりました。「参考書を読まなくちゃ」と思うと腰が重いのですが、「せっかく覚えたのに忘れてしまった! ここは何だったっけ?」という状態になると気になって仕方なくなり、自然と参考書に手が伸びる、という好循環が生まれました。
覚えた内容を5分だけ書き出すという勉強法は、まとまった時間でしっかり勉強をするのと同じくらい効果があるように感じられました。
2. 10分だけ! 大雑把に参考書を読む
10分あれば、参考書を読むことができますね。しかし、たった10分ですみずみまで読み込むのは難しいもの。スキマ時間で参考書を読むなら、大枠をざっくり把握する読み方がおすすめです。
トレスペクト教育研究所代表で、脳科学や心理学に詳しい宇都出雅巳氏は、「脳はいきなり細かい知識を記憶・理解するのは得意ではありません。大雑把にざっくりと記憶・理解するほうが得意」なため、「わからないところは飛ばしてわかるところだけ読んでいく、読む気がしないところは飛ばして、読む気がするところだけ読んでいく、という読み方」が効果的であると語ります。*2
スキマ時間では大雑把にしか参考書を読めない……とやきもきしがちですが、そもそも大雑把に把握する読み方こそ、脳の仕組みに合っているのですね。
日常の場面では、参考書を持ち歩いて、通勤中や早めに会議が終わったときなどにささっと読むようにしてみましょう。電子書籍やアプリを活用するのもいいですね。
同氏によると、「くり返すなかで理解・記憶が進み、細かいところもだんだんと理解・記憶できるようになっていく」そう。(カギカッコ内引用元:同上)
時間をとってじっくり読み込むより、10分間さっと読むことを繰り返すことで、細かい部分も記憶に定着するのです。
筆者も10分のスキマ時間に、大雑把に参考書を読んでみました。基本情報技術者試験の参考書を読んでいるのですが、筆者にとっては用語や概念が難しく、しっかり読もうとすると疲弊してしまっていました。
今回はいつものように時間をかけて読むのではなく、お風呂のあとに髪を拭いているときや、パスタを茹でているとき、仕事の休憩中など、10分のスキマ時間を見つけて、参考書をざっくり読むようにしました。
具体的には、勉強したいページ全体にざっと目を通したあと、ページをパラパラとめくりながら、用語の関連性を把握するイメージで読む、ということを繰り返しました。
4回くらい繰り返したところで、キーワードや図解のイメージが頭に焼きついてきているのを感じました。また、「この用語はあの章で出てきたな」など、関連性も頭に残るように。
すると、大枠が頭に入っているので、用語の細かい説明もすんなり頭に入ってくるようになりました。これには驚きました。10分間という短時間、かつ1日4回程度と高頻度で繰り返したのがよかったのではないかと思います。
3. 15分だけ! 机に向かう
「スキマ時間が15分だけ」という状況を、どのようにとらえますか? 「15分しかない」と考えてしまいがちですが、実は机に向かって勉強するのに最適な時間は15分とされているのです。
脳科学を専門とする、公立諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏は、集中力について以下のように述べています。
対象や状況によって集中できる時間は大きく異なりますが、机に座って勉強をする場合はおおよそ15分以内といえるでしょう。*3
机に向かうとなると、1時間以上は勉強するイメージがありますよね。しかし、そもそも集中力が続くのは15分程度。であれば、15分は立派なひとまとまりの勉強時間だと考えることができます。
お昼休憩のあとや、帰りにカフェに寄ったときなど、15分のスキマ時間は意外と見つかるもの。そんなときは、まずどこかに座って、5分や10分では取り組みにくい勉強をしてみましょう。たとえば、過去問題集を時間を計って解いてみたり、参考書をしっかり読み込んだりするのです。
90分の過去問題集であれば、15分のスキマ時間を、1日の中で6回確保できれば解き切ることができます。集中力を切らすことなく取り組めるので、とても効率的です。
筆者も、15分のスキマ時間を使って、基本情報技術者試験の過去問題集を解いてみました。15分しかないため、気持ちが引き締まり、普段よりも集中して問題を解くことができました。
解いたあと、「(90分の試験なので)同じことをあと5回やる間に試験が終了するんだ」と、ペース配分に意識が向くようになり、過去問題集を解く15分間は常に全力で取り組めました。
過去問題集を解くには、この15分だけ机に向かう勉強法がぴったりだと感じました。
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まとまった勉強時間が取れなくても、スキマ時間を活用すれば十分に勉強できます。
スキマ時間を見つけたら、本記事で紹介した勉強法から合うものをピックアップして取り入れてみてください。
*1 タウンワークマガジン|記憶力4回連続日本一の池田義博さんに聞く、誰でも暗記が得意になる超・記憶術
*2 All About|隙間時間で勉強する4つのコツ!1日5分でもOKの暗記術とは
*3 朝日新聞EduA|勉強の集中力は“15分”が限界? 脳科学の専門家に聞く「集中」のコツ
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。