「頭が切れる」の正体は『質問力』だった。“最高の質問術” には3つの重要原則がある。

頭が切れる人の質問術01

入社して数年経ち、後輩もできて指導をする立場になったけれど、なかなかうまくいかないなと感じているあなた。最近、同期に営業成績や上司からの評価で差をつけられ始めていると感じているあなた。「自分は不器用だから」「アイツは頭が切れるから」と嘆き、諦めてしまってはいませんか?

「自分なんて、頭の切れないごく平凡な人間だ」と悩んでいる方に、ぜひ実行してもらいたいことがあります。それは、「よい質問」をするということ。

実は、「頭が切れる人」は「よい質問」のコツをおさえていて、それによって自分や部下の成長を大いに促しているのです。あなたも、明日から簡単に実践できる質問のコツを掴んでみてください。

「頭が切れる」の正体は質問力だった

みなさんは、頭が切れる人とはどのような人のことを指すと思いますか? 頭の回転が速い人? すぐさま問題を解決できる人? いろいろ考えられますが、今回注目するのは「高い質問力」です。

国際医療福祉大学教授であり、臨床心理士や精神科医、受験アドバイザーなど様々な顔も持つ和田秀樹氏によれば、アメリカの一流大学で頭が切れるという評価をされ、優秀な成績を収めるのは、質問のうまい学生だそうです。アメリカではレベルの高い大学ほど、学生の質問力を一番に鍛え、学生が授業中にした質問も成績に大きく反映されます。

ではなぜ、質問力の高い人は頭が切れると思われるのでしょうか。和田氏の解説をひも解いていきます。

頭が切れる人の質問術02

質問力=問題発見能力

和田氏は、質問力とは問題発見能力であると位置づけています。大学での学びであれビジネスであれ、「自分が直面している事柄の問題点とは何なのか」に気づけるかどうかは、質問力の高低にかかっているということです。

例えば、「仕事がうまくいかない」という事柄に対し、質問力の高い人は「仕事がうまくいかない理由」をいち早く発見できますが、そうでない人はその理由にたどり着くことができません。この質問力の差が、頭の切れの良さの差なのです。

質問力=問題解決能力

そして、頭が切れる人は、質問によって発見した問題点を解決する場面でもよい質問をすることができます。それは、仕事のトラブルやミスに対する冷静な見直しと、問題を解決に導く思考を促す質問です。

その質問は、自分自身だけでなく周囲の人にも向けられます。よい質問には、質問をされた相手がその質問に答えようとする過程で、問題の解決につながる新しい気づきを得られるという効果があるのです。

「××なことで悩んでいたけれど、○○さんに相談したら、問題が解決した。やっぱり○○さんは頭が切れるな」ということを経験したことがありませんか? この場合の頭が切れるとはまさしく、よい質問ができること、つまり質問力が高いことを指しているのです。

質問力=取材力

また、和田氏は、質問力とは同時に取材力であるとも述べています。取材力とは、質問によって相手の要求や価値観を的確に聞き出すこと。例えばビジネスシーンでは、商談に臨むセールスパーソンや面接官、部下育成を手掛ける人などにとって重要な力だと言えるでしょう。頭が切れる人は、人から情報を引き出す力、つまり取材力が高い人だと言うこともできるのです。

以上のことから、

1. 頭が切れる人は、問題を発見する能力がある。
2. 頭が切れる人は、問題を解決に導く力がある。
3. 頭が切れる人は、相手の要求や価値観を的確に聞き出せる。

という3つのことが言え、頭が切れるの正体は質問力だと結論づけられるのです。

頭が切れる人の質問術03

頭が切れる人の質問術1. 質問を分解して問題の原因を突き止める

では、頭が切れる人は実際にどのような質問術を使っているのでしょうか? 仕事での場面別に見ていきましょう。

例えば、先輩セールスパーソンのあなたが、契約がなかなか取れない新人に「どうして契約が取れないのか」を質問をするなら、質問をスッキリ分解することが大切です。

決して、「どうして契約が取れないんだと思う?」といったような、ざっくりとした質問をしてはいけません。契約が取れないのには、例えば「訪問件数が足りない」「自分のプレゼンテーションがうまくいかなかった」「先方の望みを汲み取りきれなかった」といった、いくつかの細かい理由があるはずです。本来はそれをひとつひとつ確認していかなくてはならないはずなのに、「どうして契約が取れないんだと思う?」という質問のしかたでは、そうした細かい質問をひとまとめにしてしまっています。

頭が切れる人の質問術04

ビジネスコミュニケーションの第一人者で、約1,700社の企業研修を手がける株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表の安田正氏は、このような質問は「ごちゃ混ぜ型」の質問であり良くないと言います。代わりにすべきなのが、質問を小分けにすること。例えば、次のようなやり方が考えられます。

「どうして契約が取れないんだと思う?」
→「まず、訪問件数は目標をちゃんと達成できてる?」
→「プレゼンテーションはイメージ通りにできた?」
→「先方から尋ねられたことに、きちんと答えられた?」

このように質問を分割すると、相手が質問に答えやすくなり、お互いに問題点が見えやすくなるのです。また、質問の項目が相手にとってそれまで考えていなかったことであれば、新しい視点を与えることにもなります。

頭の切れる人をめざすなら、日頃から質問をスッキリと分割する癖をつけましょう。特に、新人育成や部下とのやり取りなどの場面で、今まで「ごちゃ混ぜ型」の質問をしていたと心当たりのある方は、ぜひ質問を「小分けに分解」するようにしてみてください。

頭が切れる人の質問術05

頭が切れる人の質問術2. 問題を解決に導くため「学ぶ人の質問」をする

例えば、職場で発生したトラブルに対処する方法について話し合うなら、「学ぶ人の質問」をするようにしましょう。

アメリカのコンサルティング教育機関「Inquiry Institute」の創設者であり経営者でもあるマリリー・G・アダムス氏は、周囲の人から創造的な行動を引き出すには「学ぶ人の質問」をするのが有効だと言います。

アダムス氏の代表作『すべては「前向き質問」でうまくいく』によると、「批判する人の質問」は周囲の人々を消極的にさせるものの、「学ぶ人の質問」は周囲の好奇心をかき立て、クリエイティビティに溢れた行動を促すことができるのだそう。

ここでいう「批判する人の質問」は、具体的に言うと以下のようなものです。

■ 誰のせいだろう?
■ どうすれば自分が正しいと証明できるんだろう?
■ 何が悪いのだろう?
■ どうしてあの人はできないんだろう?

対して学ぶ人の質問

■ 事実はどういうことだろう?
■ どんな選択ができるだろう?
■ 相手は何を考え、何を感じ、何を望んでいるのだろう?
■ 別の見方ができないだろうか?

といったもの。 

頭が切れる人の質問術06

部下や後輩がミスをして取引先の機嫌を損ねた、決算書類のミスが見つかった、プロジェクトの進捗が悪い。こういうとき、頭の切れる人は「誰が悪くてこうなったの?」というような「批判する人の質問」をしません。それは、質問された個人の想像力や積極性を委縮させ、ミスを恐れるあまり指示待ちになる人間を創り出してしまう可能性があるからです。

こうした場面で頭が切れる人がしているのは、ミスをカバーし円滑に仕事を進めるために有効な「学ぶ人の質問」です。もし、後輩が取引先の機嫌を損ねたのならば、

「何があったの?(事実)」
「謝罪だけではなくより良いプランを持っていくのはどう?(選択)」
「君はどうしたい?(相手の望み)」
「もしかしたら君の発言の内容ではなくて、発言したタイミングが良くなかった可能性もあるかな?(別の可能性)」

などといった質問をしてみてください。相手を責めるよりむしろ、相手を適切な行動へと導くこと。これが、頭の切れる人が自然としている行動なのです。

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頭が切れる人の質問術3. 相手の要求や価値観=「3つのV」を聞き出す

例えば、成功させたい商談に臨む場合なら、相手の「3つのV」を重視した質問をしましょう。

「3つのV」とは、「ビジョン(Vision)」「バリュー(Value)」「ボキャブラリー(Vocabulary)」のこと。グローバル・コーチング・ファームのコーチ・エィ取締役専務執行役員で、エグゼクティブコーチの粟津恭一郎氏によると、相手に良い質問をするには、この3つのVを大切にするべきなのだそう。

3つのVについて詳しく説明します。「ビジョン」とは、その人が目指している状態、本当に手に入れたいもの、心からやってみたいと思っていることを指します。「バリュー」は、その人が物事を判断するときに大切にしている価値観。そして「ボキャブラリー」は、その人が普段のやりとりでよく使う言葉のことです。

粟津氏は、この3つのVに5W1H「いつ:When、どこで:Where、だれが:Who、なにを:What、なぜ:Why、どのように:How」の疑問詞をかけ合わせると、相手に良い気付きを与えられる質問を作ることができると述べています。

頭が切れる人の質問術08

例えばあなたが、自身が担当する取引先の社長と会話をする場面を想定してみましょう。あなたはその会社と何か新しい契約を結べないかと考えていて、そのために情報収集をしているとします。その際は、相手の持っている3つのVを聞き出したうえで、5W1Hを使いながら話を深堀していくのです。

あなた「御社は、中期的にはどれぐらいの売上を目指していらっしゃるのですか?」
取引先の社長「2年後には3兆円以上にしたいと思っているんだよね」
あなた「(なるほど、それが社長のビジョン=Visionだな。これにWhatを組み合わせて……)社長は、売上3兆円達成のためには『何を』することが最も大切だと考えていらっしゃるのでしょう?」

このようにすれば、相手のビジョンと求められるアクションは何なのかを聞き出し、新たな契約につなげる機会を見出すことができるというわけです。もちろん、事前に相手の3つのVを知ることができているなら、会話に臨む前に3つのVを重視した質問を準備しておくと良いでしょう。

3つのVを重視することのメリットは、情報収集がうまくなることだけではありません。相手の懐深くに入ろうとすることで、相手から「自分のことを(わが社のことを)大切に考えてくれているのだな」という信頼を得ることもできるのです。

相手をより深く知ることが、有益な情報収集につながります。ぜひ実践してみてください。

頭が切れる人の質問術09

***
質問力というのはセンスではなく、意識の持ち方であり技術です。学び、問い、実践することを繰り返す人こそ「頭が切れる人」。明日からでも、ここで紹介した質問術を参考にして、相手とのコミュニケーションをより豊かなものにし、仕事力アップにつなげてみませんか?

(参考)
和田秀樹(2007),『頭のいい人の「質問力」と「返事力」』,新講社.
安田正(2017),『超一流 できる人の質問力 人を動かす20の極秘テクニック』,マガジンハウス.
マリリーG・アダムス著,中西真雄美訳(2010),『すべては「前向き質問」でうまくいく』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.
東洋経済オンライン|仕事を覚えるには「質問力」を磨くのが有効だ 
粟津恭一郎(2016),『「良い質問」をする技術』,ダイヤモンド社.
PRESIDENT WOMAN|リーダーは要注意! 「間違った問いかけ」で部下を追い詰めてはいませんか?

【ライタープロフィール】
月島修平
早稲田大学文化構想学部卒。大学時代は映画や演劇をはじめとした表現の研究を行った。好きなものは路地裏、螺旋階段、筋肉少女帯、BiSH、丸尾末広、鴨居玲、フェリーニ。

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