子ども時代には身近な存在だった「ノート」。しかし、大人になり仕事をするようになってから、パソコンやスマートフォンといったデジタル機器に頼りっぱなしで、ノートを全然使っていないという人も少なくないのではないでしょうか。

それで仕事がうまくいっているというので問題ありません。でも、もし何かしらの悩みを抱えているのならば、童心を思い返してノートを使ってみるのはいかがですか?

ノートの使い方は千差万別。だからこそ、成功を手に入れた偉大な先人たちをまねてみませんか。一流ビジネスパーソンやアスリートたちを参考に、今日から活かせるノート術を4つご紹介します。

1. 会議時のノートは「構造化」と「余白」を意識

金融コンサルティングやIT企業では、メールやチャットといったデジタルツールが駆使されているというイメージを持たれている方も多いはず。確かに、チームメンバーとのコミュニケーションにおいては、こういったツールは必要不可欠でしょう。しかし、個人個人の仕事の仕方に注目してみると、違った側面が見えてきます。上記のような企業出身者のなかには、ノートに書き込むことを重視する人も少なくないのです。

例えば、世界的コンサルティング企業であるマッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、現在は建築プロデュース業を営む織山和久氏は、仕事中は手書きのノートを常に手放さないのだそう。織山氏は、会議やミーティングの際、“ピラミッドストラクチャ” 的なノートの取り方をしているといいます。

見出しをつけて、その見出しに含まれる要素をその下に書いていくということは、意識というより、ごく自然にやっています。ピラミッドストラクチャみたいな感じで、整理しながら書くというのが染みついているんでしょうね。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|元マッキンゼーの建築プロデューサーが「手書きのノート」を手放さない理由 ※太字は編集部が施した)

議論の大事な要点を見出しとして書き込み、その枝葉となる細かな情報を整理しながら下に書いていくのです。そしてその際は、「余白」を空けておくことを意識しているのだそう。

話を聞いていると「ちょっと違う話になったな」とか、「前の部分と繋がらなくて、何か省略されているな」とか感じることはないでしょうか。(中略)そういうことが省略されていたり、抜けていたりすると、余白として残しておきます。

(引用元:同上)

織山氏によれば、ノートの余白が埋まっていないことは、会議の質が悪かったことの証拠になるのだそう。逆に言えば、このようなノートの取り方をすることで、最後に余白が残らないような質の高い会議をする意識が生まれるのだといいます。会議時は「ただメモするだけ」というノートの取り方をしている人は、この「構造化」と「余白の活用」を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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2. やっぱりデジタルよりもアナログのノート

元グーグル社員で、現在は人材育成や組織開発の分野で活躍するピョートル・フェリークス・グジバチ氏は、情報をメモしたりアイデアを引き出す際は手書きのノートを使うことが多いそうです。その際は、とにかく「すばやく書く」ことを意識。特に、相手と話しながらメモするときは手元をほとんど見ないそうで、ノートに書かれた文字は非常に汚いのだとか。ノートの書き方のルールも特に設けていないのだといいます。

私のノートを見てもらえばわかるのですが、とにかく字が汚い。きれいに書くことよりも、素早く書くことを意識しています。あと、よく、人の話を聞いているとき、必死でメモしている人がいるでしょう。あれはよくないと思うんです。人と話しているときは、できるだけ相手に100%集中する。だから、手元なんてほとんど見ないで、キーワードを書いていくんです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|元グーグル社員のノートはなぜ「汚い」のか

それでもグジバチ氏が手書きにこだわる理由は、「紙に書いている」という感触によって直感が働くから。身体、手、脳の神経系統がつながっているのがとても大事だと感じているそうです。

じつは、何度もアップルストアへ行って「iPadで、手書きと同じ感覚でやれるんじゃないか」とトライしてみたんですが、結局、諦めました。画面をなぞるのと、紙に書くのとでは違うんですよね。

(引用元:同上)

1日を振り返って「今日はこんなことが良かったな」「こんなことに気づいたな」とメモをすることが、グジバチ氏の日課だそうです。思いついたことがあったら、とにかく紙のノートにメモすることを習慣にしましょう。思わぬ直感が働き、良いアイデアや仕事の改善策が見つかるかもしれませんよ

3. 目標達成に必要な要素を「オープンウィンドウ64」でブレイクダウン

「ノート」で成功を収めているのは、なにもビジネスパーソンだけではありません。2018年にメジャーリーグのア・リーグ新人王に輝いた大谷翔平選手は高校時代、原田隆史氏が監修した『目標達成ノート STAR PLNNER』という本の中で紹介された「オープンウィンドウ64」という手法を実践していました。

オープンウィンドウ64は、別名「マンダラート」とも呼ばれています。3×3の9つのマスの中央に目標を書き、周囲にその目標を達成するために必要な要素や行動を洗い出していく、思考・アイデアの整理法の一種です。大谷選手の高校時代の目標は「8球団からドラフト1位指名」。彼のオープンウィンドウ64には、ボールのスピードやコントロールなど自身の改善点が細かく書かれていました(詳しくは「勉強にも仕事にも! 大谷翔平も使う『目標達成マンダラート』がすごい」を参照)。

目標を定めた場合、地図がないまま無計画に行動するよりは、具体的アクションを明確にしたうえでひとつひとつクリアしていくほうが、はるかに合理的と言えるでしょう。今でこそ驚異的な活躍ぶりを見せる大谷選手ですが、天性の才能以上に、オープンウィンドウ64によって導き出された緻密な計画が、成功の秘訣だったのかもしれません。

叶えたい大きな目標がある。課題達成のために入念な計画が必要だ。そんな方は、ぜひオープンウィンドウ64の手法にならい、達成に必要な要素や行動をノートにひとつひとつ書き出していってみてください

4. 目標の「言語化」にノートを使う

目標達成に関して、スポーツ界からもうひとつ事例をご紹介しましょう。サッカーW杯で3大会連続得点の記録を持つ本田圭佑選手。彼が小学校の卒業文集で「Wカップで有名になって、ぼくは外国から呼ばれてヨーロッパのセリエAに入団します」と、自身の未来を予言していたことが、数年前に話題になりましたよね。本田選手の文章は「ぼくは大人になったら、世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる」「世界中で一番さわぐ4年に一度のWカップに出場します」(原文ママ)と、断定調で書かれていることが特徴でした。

じつは、本田選手のように「目標を言語化する」のはとても重要な行為です。1979年からハーバード大学が実施した調査によれば、「目標を持っていて、それを紙に書いている」学生は、全体の3%ほどでした。しかし10年後、その3%の層は、残りの97%の人たちと比較して、約10倍の平均年収を得ていることが判明したのです。

本田選手のように周囲に公言まではしなくとも、自分への意識づけのために夢や目標を言語化するのは決して無駄な行為ではありません。例えば、日頃よく使うノートの表紙や1ページ目に、目標を書き込んでみてはいかがでしょうか

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デジタルツールの普及により “過去の産物” とみなされることも多いノート。しかし、時代のトップランナーたちが有効活用しているという事実は注目すべき点です。ついパソコンやスマートフォンを多用しがちな私たち現代人ですが、1冊のノートを使うときにこそ、新たな道が見つかるかもしれませんよ。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|元マッキンゼーの建築プロデューサーが「手書きのノート」を手放さない理由
ダイヤモンド・オンライン|元グーグル社員のノートはなぜ「汚い」のか
原田隆史 (2017),『目標達成ノート STAR PLNNER』, ディスカバー・トゥエンティワン.
StudyHacker|勉強にも仕事にも! 大谷翔平も使う『目標達成マンダラート』がすごい
原田隆史・柴山健太郎 (2017),『一流の達成力』, フォレスト出版.
堀野博幸 (2016),『こころを強くする「夢ノート」 ~トップアスリートが実践するルーティンワーク~』, ブックマン社.
StudyHacker|「目標を紙に書くと年収が10倍になる!?」ハーバード大学の調査で明らかに。