夜ではなく朝にこそ休息をとるべき理由。心身が整う「3つの朝習慣」で1日が変わる。

心身が整う「3つの朝習慣」01 仕事や勉強が忙しい人は、なかなか疲れがとれないことも多いでしょう。早く寝たり、リラックスしたりしても、効果がいまひとつ現れないときは、ぜひ心身を整える「朝習慣」をお試しください。

休息は、夜だけにするものだと思っていませんか? ちょっとした朝習慣で、日中のパフォーマンスがグンと上がりますよ。朝の休息が大切な理由と、 心身を整えてくれる3つの「朝習慣」を紹介します。

朝の休息がとても大切な理由

――【自律神経】に影響

朝に大慌てで準備した経験は誰にでもあるはず。でも、その朝の「バタバタ」が、せっかくの一日を台無しにしてしまいます。朝の時間帯は、ちょっとしたことで自律神経が乱れやすいのだとか。

この時間にバタバタしてしまうと、副交感神経(リラックスモード)から交感神経(活動モード)への移行がスムーズにいかず、疲れやすくなったり、一日中ボーッとしたりすることがあるそうです。

自律神経研究の第一人者で、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によれば、朝につくられた自律神経の状態は長く持続する傾向があるため、その日一日のパフォーマンスを左右してしまうとのこと。

――【疲れ予防】になる

今日も一日疲れたなぁ、と感じたときは、好きなことをしてリラックスする、ゆっくりとお風呂に入る、とにかく早く寝る、といったことで自分を癒やそうとする人は多いはず。しかし、これらは皆、“起こったこと”への療法です。

秋月辰一郎医師は、長崎の爆心地から1.8キロの病院で、スタッフとともに被爆していながらも医療活動を続けた人。実は、食生活のおかげでスタッフともども原爆症が現れなかったのだとか。

秋月医師は、著書『体質と食物』で、自身が虚弱体質であったため医学を志したと説明しています。そのなかで、薬や手術などの「結果療法」も必要な場合はあるけれど、それよりも「原因療法」――いわゆる体質を根本からつくり変える「体質医学」が重要だと考えるようになったとのこと。

もちろん、疲れた日の夜に、からだを癒すことは大切です。しかし、その一方で、朝に疲れにくい心身をつくっておくことも有効なのです。

そこで、次に紹介する「朝習慣」がおすすめです。

休息のための朝習慣1:「自分のバイブル」を読む

経営コンサルタントの石原明氏は、著書『トップ3%の人だけが知っている仕事のルール』のなかで、「世界的な成功をおさめている人は、必ずと言っていいほど“自分のバイブル”をもっている」と述べています。

「自分のバイブル」とは、何度も繰り返し読んでいる大切な本のこと。同氏は、自分のバイブルを繰り返し読むことは、自分の姿勢や考えを正したり、確認したり、自分の哲学をつくったりするために重要だと説明します。

そんな「自分のバイブル」を、静かな朝に、ほんの少しだけ読む習慣を持つのです。特にそういった本がなければ、尊敬する人のおすすめから「自分のバイブル」を探してみてはいかがでしょう。1冊に限定せず、気分に合わせて選び読むかたちでも構いません。

これが休息のための朝習慣になる理由は、石原氏の説明が示すとおり、自分のバイブルを読むことが「内省」になるからです。マインドフルネスも、瞑想や内省などを通して心身のコンディションを整えるのだとか。繰り返し読んでいる本ならば、新たな情報をインプットするという認知的な負荷も少ないでしょう。

2013年にはイギリス政府公認で「本」を処方する医療システムが始まったほど、読書そのものに“癒し”の効果があるといいます。朝にたった5分程度「自分のバイブル」を読むだけでも、気持ちが整いますよ。

休息のための朝習慣2:いつもの朝の「リトリート」

日常生活を離れ、普段とは違う場所で心身を休めることを「リトリート」といいます。旅などはその典型ですが、日々の朝習慣としても取り入れられます。方法は次のとおり。

  • 余裕をもって起床し情報をすべてシャットアウトして準備
  • 早起きしていつもと違う道を歩いて出勤・通学
  • いつもの朝食を変える(モーニング巡りなど)

外界の音や光を遮断し、心身ともに深くリラックスした状態になれる「アイソレーションタンク」が開発されたことからもわかるように、外からの情報は役に立つ反面、ストレス要因にもなります。

とはいえ、出勤や通学前は、天気予報や交通情報などを知りたいもの。だからこそ少しだけ早起きして、テレビやPCの電源を切り、音楽を止め、静かな状態で準備する時間を設けるわけです。少しの間でも、普段とは違う状態に自分を置けば心身が休まります。情報収集は、その時間を経て心身を整えたうえで行いましょう。吸収も早くなるはずです。

また、早起きしていつもと違う道を歩いて出勤・通学することや、いつもと違った朝食をとることが有効なのも、“普段と違う”を体感できるから。

最近は、朝活ブームや、海外の朝食では定番のパンケーキ人気もあいまって、手ごろで美味しいモーニングを提供する店が増えています。自宅ではない場所で、いつもと違う、しかも美味しい朝食を楽しめるなら、早起きする意欲もわきますよね。

杏林大学名誉教授の古賀良彦氏は、ストレスのある日常から距離を置くことで、脳がリセットされ、ストレスが和らぐと話します。ぜひ、空気のいい静かな朝に「リトリート」を楽しんでください。

休息のための朝習慣3:丁寧に「手書き」する

順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、急いで文字を汚く書き散らしていては、自律神経が乱れがちになってしまうと伝えています。手書きでゆっくりと丁寧に文字を書くことで、驚くほど気持ちが穏やかになり、心が整って、集中力も増していくのだそう。

意欲がわくのであれば写経なども効果的ですが、まずは手始めに、毎朝行っていることを丁寧な手書きにしてみてはいかがでしょう。

たとえば、「今日やること」や「忘れちゃいけないこと」などのメモ書きです。それらは大概、デジタルツールに記録するか、手書きだとしても、続け字や崩し字にして手早く書いてしまうのではないでしょうか。

それらを朝、確認するように1文字ずつ丁寧に書いていくわけです。すると、気持ちが落ち着くと同時に、不思議と色んなアイデアや気づきなどがわいてきますよ。ぜひお試しください!

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朝の休息が大切な理由と、 心身を整えてくれる3つの「朝習慣」を紹介しました。

  1. 「自分のバイブル」を読む
  2. いつもの朝の「リトリート」
  3. 1文字ずつ「手書き」する

よろしければ、夜のリラックス習慣に、朝の休息習慣も加えてくださいね。

(参考)
秋月辰一郎(1980/09),『体質と食物―健康への道』, 地方・小出版流通センター.
荻野淳也, 木蔵シャフェ君子, 吉田典生(2015),『世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方 ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門』, 日本能率協会マネジメントセンター.
経doors|自律神経のバランスが整う施設【日経ヘルス18年7月号】
ITmedia エンタープライズ|同じ本を繰り返し何度も読む
サワイ健康推進課|朝が変わる!寝る前のちょこっと習慣 | 月別テーマ
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