アイデアが出ない……と頭を悩ませた経験はありますか? という出だしで始まるアイデア系のハック記事はネットにごまんとありますが、そのほとんどがブレストの方法についてだったり、心構えの話だったりしますよね。アイデアを生み出せる人になるために何をすればいいのか教えてくれる記事は、そう多くありません。そこで今回は、アイデアを生み出す脳をつくるための訓練、ブレインダンプをご紹介したいと思います。
ブレインダンプとは
ブレインダンプとは読んで字のごとく、脳(brain)の中の情報を紙などに書きまくって出し尽くす(dump)ことです。準備するものは紙とペンだけ。そして方法もいたって簡単です。
1)テーマをひとつ決定する 2)制限時間を決める 3)白紙の紙に、テーマに関して思い浮かんだことを片端から書く 4)時間内は手を止めない 5)頭がスカスカになるまで書きつづける 6)汚くてもかまわないし、文字じゃなくて絵などを書いてもよい
テーマに関しては、死ぬまでにやりたいこと、などなるべく前向きなものを選ぶと取り組みやすいでしょう。そして、制限時間は10~15分くらいの短時間にすべき。というのも、人間の脳は残り時間が少ないと集中力が増す傾向にあるからです。さらに、ブレインダンプ用の紙については、できればA5くらいの小さいノートを常備しておくのがベターでしょう。バスや電車での移動中でもさっと取り出せるような、コンパクトなサイズがオススメです。
もちろん、大きな紙に長時間かけてびっしり書き込んでも構いません。ブレインダンプに決まった形式は存在しませんから、自分にあったやり方で継続して行うことが重要です。では、次にそのメリットについて一緒に見ていきましょう。
自分の脳内を可視化できる
ブレインダンプでは脳の中にある思考をすべて書き出すので、「自分」を客観視する手助けになります。その結果、普段は見過ごしていたことを思い出すきっかけにもなるのです。
そうすると、自分のやりたいことが明確になったり、自分の意見を求められた時に素早く言えるようになったりするなどの効果が期待できます。また、現状把握に役立つため、課題をはっきりと認識できたり、的確なゴール設定ができたりするという利点もあります。
新しいアイデアを生み出せる
『アイデアのつくり方』という書籍をご存知でしょうか? 原著の初版は1940年に出版され、以来数十年間売れ続けている知的発想法のロングセラーです。著者のジェームス.W.ヤングは本の中で、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と主張しています。
また、あのスティーブ・ジョブズ氏も、あるインタビューの中で、創造性に関して以下のように言及しています。
「創造性とは物事を結びつけることです。創造的な人にどのように創造性を発揮しているのか尋ねたとしたら彼らは少し申し訳なく思うでしょう。なぜなら彼らはただ観察しているだけですから。」
(出典:WIRED|Steve Jobs: The Next Insanely Great Thingより和訳して引用)
これらからわかるように、創造性溢れる人とは、異なる複数の思考を繋ぎあわせるのが上手い人ということになりますよね。とするならば、吐き出した思考を紙の上で繋ぎあわせるだけで、創造性を発揮することができるということ。ブレインダンプは、創造性を鍛える脳トレとしても最適なのです。
チャンスを活かせる
このメリットを享受できるのは、自分の願望についてブレインダンプした際です。
例えば、死ぬまでにやりたいことを書き出した時に、海外旅行をしたい、と書いたとします。時間もお金もかかる海外旅行は、普通はしたくてもできません。そのため、放っておくと意識の下の方に埋もれてしまって、いつまでたってもできないままになってしまうものです。
しかし、ブレインダンプには、眠っている願望を意識の上に引っ張り出してくる効果があります。書き出すことで自分にそういった願望が眠っていたことを再認識するきっかけになるのです。いつもは見過ごしていた懸賞に応募してみたら、海外旅行が当たってしまったということが起きるかもしれません。
日常に転がっている好機を逃さないようにするのも、ブレインダンプを行うひとつのモチベーションとなります。
✳︎✳︎✳︎ いかかでしょうか。筆者も実際にこの記事を書くためにブレインダンプをしてみたのですが、頭が徐々に熱くなってくるような感覚を覚えました。もう何も思いつかないというところからもうひと頑張りすることで、自分だけの独創的な考えが生まれてきます。ぜひ一度お試しあれ。
参考 Direct Response Marketing |ブレインダンプ - DRM テクニック集 Renga’s blog|結果の出るブレインダンプのやり方 Wikipedia|アイデアのつくり方 WIRED|Steve Jobs: The Next Insanely Great Thing