みなさんは、自分でも小さいと思うことで不機嫌になってしまった経験がありますか。「急いでいる時に信号が赤だった」、「スマートフォンやPCの反応が遅い」、「気温が高くて暑い」など、よくあることでもなぜか毎回イライラしてしまいがちですよね。
しかし、たいしたことないからといって我慢していると、「塵も積もれば山となる」ということわざにもあるとおり、気づかない間にイライラが大きくなってどこかで爆発してしまう可能性も否めません。そこで今回は、ちょっとしたイライラを防ぐ方法についてお伝えしたいと思います。
私たちの身の回りには、イライラの原因がたくさん
イライラしている時は、自分が怒りっぽい性格だからと思ってしまいますが、意外と私たちの身の回りには小さなイライラの原因がたくさん転がっているものです。
例えば、学生なら、「授業が延長した」、「昼食時に食堂が混んでいて、なかなか席が空かない」といったことが挙げられるかもしれませんね。また社会人の方であれば、「仕事をサボっているにもかかわらず、上司に気に入られている同僚がいる」、「忙しいタイミングで上司に仕事を振られた」などがイライラの原因となっているかもしれません。
このように、イライラする理由には様々なものが考えられます。しかし、どうして怒りの感情を持ってしまうのでしょうか。それには、私たちの脳のメカニズムが関係しているのです。
イライラしているとき、私たちの脳はこうなっている
自然科学研究機構・生理学研究所教授である脳科学者の柿木隆介氏によれば、私たちの怒りの感情は、脳内の大脳辺縁系という場所で起こり、前頭葉で抑制されるのだそう。ただ前頭葉が働き出すまでに5秒程度かかるため、その間にイラっとしてしまうのだと言います。
その5秒を何とかやり過ごせば、イライラすることはないのかもしれません。確かに、5秒だけなら、とても短い時間ですから怒りの感情をコントロールできそうです。しかし、ただ我慢しているだけでは問題の解決にはつながりませんよね。それよりも、イライラする場面に遭遇した時の対処法を身に付けておく方が効果的であると言えるのではないでしょうか。
ちょっとしたイライラを防ぐ方法
では、私たちはどのようにすればちょっとしたイライラをおさめることができるのでしょうか。具体的な方法をお伝えしたいと思います。
・イライラしていることを書き出す
イライラしているな、と気づいた時は、自分が何に対してイライラしているのかについて紙に書き出すようにしてみましょう。書き出したあとは、そのリストをじっくり眺めてみてください。
イライラの原因には、「自分で解決できること」、「どうにもできないこと」の2パターンあることにおそらく気づくと思います。それを知るだけでも多少落ち着くことができるに違いありません。そして落ち着いたら、自分で解決できそうなことにはそれなりの対処をし、どうにもできないことについては、心配しても仕方ないと考え、リストを丸めてポイっとゴミ箱に捨ててしまいましょう。きっとスッキリするはずです。
この方法は実際に筆者も試したことがあります。以前は、細かいところが気になってイライラしてしまうことが多い神経質な性格でした。ところが小学校の先生に勧められて書き出すことを始めてみたところ、自分の思考が整理され、いつまでもイライラした感情を持ち続けることがなくなり、性格が穏やかになりました。
・規則正しい生活を心がける
イライラする原因は、なにも自分の外部のみに存在するわけではありません。自分の生活習慣や体調が理由であることも多いのです。日々の不摂生は、ホルモンバランスを乱れさせ、イライラを引き起こします。そうならないためには、規則正しい生活を心がけることが不可欠です。
柿木氏は、規則正しい生活によって体に一定のリズムを与えることが、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促すのに効果があると伝えています。早寝早起きに加え、適度な運動、湯船に浸かって体を温めるなど、できるだけ生活習慣を整えるようにしてみてください。ストレスが軽くなり、イライラする機会を減らすことができるでしょう。
それでもイライラがおさまらない場合は
先ほどお伝えした方法を試してみても、なかなか落ち着かないという方が中にはいらっしゃるかもしれません。心理カウンセラーの熊谷佐知恵氏は、そういった人は次のような可能性があると言います。
・自分にもともと抑圧していた怒りや不満、怖れや依存心がある ・誰かのせいにしている(被害者意識が強くある) ・人間関係において関連する何らかのトラウマがある
(引用元:Counseling Service|人から受けたイライラ感染に対処するには?)
もし当てはまる場合は、自分自身の内側を見つめることが必要なのだそう。とは言え、これまでに経験してきたネガティブな感情を癒し、解消するには上記でお伝えした方法をもってしても時間がかかるでしょう。
そのような時は、1人で頑張るのではなく、周囲の人に頼ることも1つの手です。話を聞いてもらったり、気分転換に付き合ってもらったりすることで、気が晴れる助けとなるかもしれません。またいつも明るい人や穏やかな人、前向きな人と一緒にいると、感情の伝染が起こりイライラを抑えることができるようになりますよ。
(参考) NIKKEI STYLE|他人への怒りが消える イライラ解消3分ドリル ITmediaエンタープライズ|ストレスを書き出すことで自分の頭を空っぽにする 日経Gooday|“怒る脳”を鎮める「脳内物質」でイライラ解消! Counseling Service|人から受けたイライラ感染に対処するには?