辛い試験勉強の最中や何かを達成しようと頑張っているとき、自分自身を鼓舞するために次のようなことをした経験はありませんか?
・「○○ができたら、おやつを食べて良い!」というような、「ごほうびタイプ」 ・「時間内に××ができなかったら、腹筋30回!」というような、「罰タイプ」
どちらもよく見られるケースだと思います。この2つのタイプ、どちらが良いのでしょうか。はたまた、その他の方法の方が良いのでしょうか。今回は、そこを考えてみたいと思います。
「一時的な」やる気アップに貢献
まず、両タイプの特徴を確認しておきましょう。 「ごほうびタイプ」は、言わずもがな、自分が頑張ることによって自分にとってポジティブなこと・ものが得られます。自分の好きなお菓子が食べられる、読みたかったマンガが読める、それがしたいから今勉強や仕事を頑張る、という気持ちです。
「罰タイプ」は、自分にとって嫌なことをするのを避けるために、自分を追い込むというのがポイント。目標時間までに作業を達成できないと、腹筋をしないといけない。それはしんどいから嫌だ。だったら今頑張ろう、といった感じです。
以前コラムにて紹介した、マンガ『NARUTO』の登場人物マイト・ガイによる「自分ルール」も、この「罰タイプ」のひとつですね。 (「NARUTO-ナルト-」のガイ先生に学ぶ! 苦手に向き合う2つの方法。)
このように、どちらの方法もモチベーションや効率アップに一役買っているといえます。
長期的にはモチベーションを下げてしまう恐れあり!
ただしこれらの方法には、気をつけてほしい点があります。それは、どちらも外発的な要因だということ。 心理学では、動機付けには外発的なものと内発的なものがあるとされています。外発的な要因の例としては、「おもちゃが欲しいから、テストで100点をとる」「上司にしかられたくないから、営業を頑張る」などが挙げられます。まさに、今回の「ごほうびタイプ」「罰タイプ」そのものですね。
それに対して内発的な要因は、「それ自体が好きだから頑張る」といったものです。趣味には何時間も没頭していられるのが、良い例です。前者の外発的な要因は、長期的に見ればやる気をそいでしまう可能性があるのです。 さらにこの二つの動機づけを研究して得られた、「アンダーマイニング効果」というものがあります。
内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象
出典:wikipedia
内発的動機付けのうちには高かったモチベーションも、外部からの報酬が加わることによって外発的動機付けに差し変わると、モチベーションを下がってしまうのです。
達成感を味わって、内なるやる気を目覚めさせよう
以上のことからも、「長期的にモチベーションを保つためには内発的な要因の方がよい」ということが言えます。 では、内発的なやる気を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか? 簡単な方法のひとつが、「目標のハードルを、ちょっとだけ上げる」というものです。 今まで10分でこの問題を解いていたとしたら、最初の目標は9分にしてみます。それをクリアしたら、次は8分にするのです。このように小さな目標を一つ一つ達成することで、「目標をクリアした!」という達成感が得られます。
私たちの意欲を引き出すためにはこの達成感がポイントで、達成感を感じた脳内ではドーパミンという脳内物質が分泌されています。ドーパミンは快感を与える物質のため、「またこの感覚を味わいたい!」というモチベーションを内から引き起こしてくれるのです。
内発的動機づけを起こすポイントは、ハードルを「ちょっとだけ」上げること。達成できなさそうなほどハードルを上げすぎて、実際に達成できなければ、やる気を下げる原因になってしまいます。そうなっては元も子もありませんからね。
*** いかがでしょうか? いままで「ごほうび」に頼りすぎていた方、はたまた「罰」で自分を追い込むことでモチベーションを保っていた方、次は自分の内なる達成感を有効活用してみてはいかがでしょうか?