早起きや朝活、通勤時間の有効活用など「いい習慣」を身につけることには成功したが、生活の広がりが以前よりもなくなり少し窮屈に感じている、あるいは、今の習慣をグレードアップしたいけれど、通常となったこの状態を変えることに少しとまどいがある、という人は意外に多いかもしれません。
そんな方々に朗報ですよ。実は、いい習慣をたまに変えると、さまざまなメリットがもたらされるのです。そのメリットと方法をご説明します。
いい習慣を身につけたあとの注意点
いい習慣を身につけることは、とても良いことです。しかし、それに固執しすぎると柔軟さや伸び代が失われてしまうなど、たくさんのメリットに隠れて多少のデメリットが存在します。
たとえば携帯電話は科学技術の進歩に伴ってどんどん進化してきていますよね。マイナーチェンジはもちろんのことスマートフォンの誕生など大きな変化もあります。習慣についても同じことが言えます。いつまでも同じ場所にとどまるのではなく、どんどん進化していく必要があるのです。
また携帯電話は大変便利なものですが、1年じゅう手放してはならないと言われるとどうでしょう。少し窮屈な感じがしますよね。便利な機械を手放してぼーっとした日を過ごすのもひらめきやリフレッシュのためには必要です。たとえ“いいもの”でも、それに縛られた生活は私たちにダメージすらもたらします。
こういった理由から、いい習慣を身につけたからといって安心していてはいけないのです。
いい習慣をたまに変えることのメリット
いい習慣をたまに変えることのメリットは2つあります。
1つ目は、たとえば早起きを止めてのんびり寝てみたり、通勤時間を利用して読書していたのを止め“ぼーっ”としてみたりすることで、ひらめきが生まれやすくなるということです。
せっかくいい習慣が身についたのにもったいないと感じる人もいるかもしれません。しかし、アメリカ広告業界の重鎮ジェームス・W・ヤング氏は、「何もしない時間」はひらめきを生む重要な段階だと語ります。彼が提唱するアイディア創出の5ステップがこちら。
1段階目:情報収集 2段階目:情報の組み合わせ 3段階目:何もせずぼーっとする 4段階目:アイデアが浮かぶ 5段階目:実行可能性等を調整する
(引用元:Study Hacker|「なにもしない時間」が成果を生む。その “多忙” 見せかけだけになってない? )
もし読書や朝活などいい習慣を取り入れることができたのに成果が出ないと感じている人がいれば、それは何もしない時間が足りていないせいかもしれません。学んだことから実際に使えるアイディアを生み出すために、1週間に1度は習慣を休憩してみてはいかがでしょう。
2つ目は、いい習慣をグレードアップしたり、あるいは違う習慣を試してみたりすると脳が活性化されるということです。「ルーティンは生産性の敵」とも言われるように、同じことの繰り返しはクリエイティブな感覚を阻害し、生産性を低下させてしまいます。
New York Times紙の記者であり、『習慣の力 The Power of Habit』の著者チャールズ・デュヒッグ氏もこう述べています。「生産性の高い人は、習慣にゆだねて自動操縦するのではなく、必要に応じて定期的にシステムを変更し、さらには徹底的に点検しさえする」と。
いい習慣の変え方
いい習慣をたまに変えてみるメリットを理解したところで、その方法例を具体的に見ていきましょう。まず「何をするか」決め、それが決まったら「環境を整える」ことから始めます。
たとえば寝る前の30分を読書に充てることに成功したので【さらに隙間時間を読書に費やしたい】という人は、常にカバンのなかに本を入れておくところからスタートです。最初からすべての隙間時間をと意気込んでいてはすぐに挫折してしまうので、せっかくカバンに入っている本を気がついたら取り出し読んでみるという具合に、スモールステップを心がけることが肝心です。隙間時間にスマートフォンを触らないなどNot to Doを決めていくと、多くの時間を回せることに気づいて習慣化しやすくなります。
また、たとえば毎日の朝活を週1回だけは休息、もしくは勉強の休養日を設けて【何もしない時間をつくる】のであれば、さっそく目覚ましの時間を変更したり、もしくは勉強道具を目に見える範囲から一掃したりしましょう。何もしない時間のお供を準備するのもいいですよ。それが、家でぼーっとしながらカフェラテを楽しむためのミルクフォーマーでも、お風呂で音楽を聴きながらぼーっとするための防水プレイヤーでも、何でも構いません。
ちなみに、後者は楽なので苦はないですよね。むしろ、堕落した生活に逆戻りして戻れなくなってしまうのではないかと、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。そんな人のために「いい習慣の戻し方」にも少し触れておきましょう。
朝活を再開するのであれば、早起きのため夜早く寝るのが楽しみになるような「快眠枕」を用意したり、「机の上をすぐに勉強できる状態に整えておく」など工夫して、少しずつ戻していきましょう。“すぐできる、やりたくなるように環境やモノを整えておく”ことと、“最初は無理なくスモールステップから始める”といったことは、いい習慣を変えるときにも、再開するときにも有効ですよ。
*** いい習慣でもたまに変えてみた方がいいということを紹介しました。せっかく身につけたいい習慣を変えるのは勇気がいることですが、よりよくするための変化なので自信をもって、どんどん挑戦してみてください。一度いい習慣を取り入れることができて、さらにいい習慣を変える柔軟性を得られたら、どんな仕事にも生活にも素早く対応して成果を上げることができそうですね。
(参考) Charles Duhigg(2016), 『Smarter Faster Better: The Secrets of Being Productive in Life and Business』, Random House. チャールズ・デュヒッグ著, 渡会圭子訳(2013), 『習慣の力 The Power of Habit』,講談社. FAST COMPANY|Why The Most Productive People Constantly Change Their Methods 茂木健一郎(2016), 『脳を最高に活かせる人の朝時間』, 河出書房新社. Study Hacker|「なにもしない時間」が成果を生む。その “多忙” 見せかけだけになってない? Study Hacker|それ、本当にやるべきこと? 「やらないことリスト」で時間の密度を高めよう。