同僚や上司とイマイチうまくいっていない気がする、隣でキーボードを叩く人の音がうるさくて集中できない、時間がなくてやりたいことができない……。些細なことから重大なものまで、私たちは大抵「イライラ」「もやもや」といったストレスを抱えています。また、明確な原因が思い当たらないのに何となく気分がスッキリしないときもありますよね。

時間がこれらの気持ちを解消してくれるのを待つのも良いですが、ずっとその気持ちを抱えたままでは精神的に良くありませんし、仕事や勉強の生産性も下がってしまいます。

その気持ち、紙に書き出してスッキリしてしまいましょう。今回は、感情を書き出すことのメリットやその方法をご紹介します。

感情を書き出すことの意味

まずは、感情を書き出すとどういった効果があるのかを見てみましょう。

実は、「書く」ことは自分自身の感情と向き合うことでもあり、こういった行為には考え方を再構築する効果があるのです。

社会心理学者でありバージニア大学で教授を務めているティモシー・ウィルソン氏は、「『書く』という行為には、ネガティブな考え方のサイクルをポジティブな考え方のサイクルへと変化させる力がある」と述べています。

他の研究者が行なった実験がこのことを実証しています。大学にうまく馴染めないアフリカ系アメリカ人の大学生に「将来の学生のために、大学生に関するエッセイやビデオを作成してほしい」と頼みました。すると、この活動に参加した学生らは数ヶ月後、活動しなかった学生よりも良い成績を残したのです。また、結婚したカップルに生活の悩みを書くように頼むと、悩みを書いた夫婦の方が書かなかった夫婦よりも「幸せだ」と感じる度合いが増加したという結果も出ています。

これらのような結果が出たのは、「書く」という行為を通じて自分の悩みを客観視することができたため。自分の感情に向き合うことで、それまでは持っていなかった視点を獲得することができ、考え方が再構築されたのです。つまり、物事の見方を変えることで、ネガティブな考えをポジティブに変換し、それまで抱えていたもやもやを手放して事態を好転させることができたということです。

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感情の効果的な書き出し方を紹介

それでは次に、効果的に感情を書き出す方法をいくつかご紹介します。

1. 日記

思考を書き出す方法として多くの人が最初に思い浮かべるのは、日記ではないでしょうか。上で説明したように、1日の出来事やその日に感じたことを文章にして書くことは、考え方を再構築し、もやもやとした感情を浄化するきっかけとなります。

また日記には
・自分の考えていることが分かる
・自分自身を知り、行動のヒントを得ることができる
・文章を書く習慣がつき、文章力向上のきっかけとなる
など、他にもメリットが盛りだくさんです。

日記を書く際は、手帳の余白を使ってもいいですし、市販の日記帳を購入するのもいいでしょう。お店で売られている日記帳は、1日分のスペースも様々でデザインも多彩です。自分にあったスタイルで日記を書いてみてください。

2. メモ書き

突発的なイライラに対しては軽いメモ書きも有効です。いつ・どこで・何があったのか・どんな気分になったのかなどを簡潔に記しておきましょう。突発的な感情が湧き上がってきたときも、それを文字にすれば冷静になることができます。

イライラを紙に書き出したことで「この感情は消えた!」と思ったら、捨ててスッキリするのも良し。書かれたメモを集めてみて、自分がどんなときにどんな感情を抱くのかを分析してみるのも良いかもしれません。

3. モーニング・ページ

イライラを解消できるだけでなく、自分の隠れた感情にも気づける方法として有効なものがあります。それは、アーティストであるジュリア・キャメロン氏の著書『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』に取り上げられている「モーニング・ページ」という方法です。本書では以下のように説明されています。

これから毎朝、目覚まし時計を三十分早くセットして早起きし、手書きで三ページ、心に浮かんでくることをそのまま書き連ねる。

(引用元:ジュリア・キャメロン著,菅靖彦訳(2001),『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』,サンマーク出版.)

眠いなと思ったら「眠い」と書いても良いし、何も書くことが思い浮かばなければ「何も書くことがない」とただひたすら繰り返し書いても良いのです。1日の記憶がまだ蓄積されていない朝に自分の頭の中にあるものを書き出すことを、ジュリア・キャメロン氏は「アーティスト脳を自由に振る舞わせる」という言葉で表現しています。そこに決まりや禁止事項はありません。自由に何でも書いてみましょう。

モーニング・ページで書いた内容は、ある程度の時間が経ってから(※)見返してみてください。イライラした感情やもやもやした気持ちも、冷静に考えれば大したことないと思えるでしょう。また、何度も書いていた内容が見つかったり、意外な感情を持っていることに気づくことができたりするかもしれません。
(※本書では、ある程度の分量がたまる8週間後以降に読み返すことを推奨しています)

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私たちの毎日には考えることがたくさんありすぎて、イライラやもやもやが溜まりがちなもの。そうした感情をうまく処理しきれないでいると、すぐに頭の容量がいっぱいになってしまいます。今回紹介した方法を使って、頭の中をスッキリとさせてみてくださいね。

(参考)
NHKオンライン|イライラの解消法教えます
せせらぎメンタルクリニック|つらい気持ちや体験を書き出すことで得られる意外な効果
ジュリア・キャメロン著,菅靖彦訳(2001),『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』,サンマーク出版.
STUDY HACKER|日記の良さに気づけてる? おとなだからこそ日記を始めるべき4つの理由
The New York Times|Writing Your Way to Happiness