成長し続ける一流、失敗を繰り返す二流……決定的な差を生む2つの思考習慣。

プロ野球選手として、また、監督として数々の金字塔を打ち立ててきた野村克也さん。たとえ野球ファンではなくとも、その名を知らない人はいないでしょう。まさに、一流中の一流と呼べる人物でした。

いま、みなさんが身を置いているのはプロ野球のような華々しい舞台ではないかもしれません。子どものころになりたかった職業に就くことができる人というのは、実際のところほんのひと握りでしょう。

それでも、一度その舞台に立ったのなら、その世界で一流になりたいものです。そのために必要な思考法を、野村克也さんが教えてくれます。

構成/岩川悟、清家茂樹(ESS) イラスト/小西真樹

失敗を失敗として自覚していない者は、 絶対に一流にはなり得ない

一流と言われる選手は、同じ失敗は二度としない

何度も同じ失敗を繰り返すのは、二流以下の選手がやることだ。一流の人が失敗を繰り返さないのは、「なぜ、あんなボールを振ってしまったのだろう」「どうしてあの場面で、あんな配球をしたのだろう」と失敗を振り返り、同じことをしないように知恵を絞るからである。

失敗を成功に変えられるかどうかをわけるのは、頭脳である。言い換えれば、どれだけ考え、知恵を絞ることができるかということだ。

わたしはどちらかというと鈍才で、不器用なタイプだ。しかし、結果としてわたしは約半世紀ものあいだユニフォームを着続けることができた。これほどまで長きにわたりグラウンドに立っていた人間は、ほとんどいない。それを可能にしたのは、失敗するたびに頭を使ったからである

失敗を失敗と自覚すれば、「自分はまだまだ」と謙虚になれる。そう思えば、「もっとがんばらなければいけない」と素直に考えるようになる。

そもそも成功しなかったという事実を前にしたら、過信することもうぬぼれることもできないではないか。それを自覚できないというのなら、もはやプロ野球選手以前に社会人としての資格なし――。

そういう者が、一流になることなど絶対にないだろう。

一流になる人間は、 無意識にプラスの暗示をかけている

一流になる人間の特徴のひとつに、どんなことでも「あの人ができるなら自分もできる」と、無意識に自分にプラスの暗示をかけているという点がある。逆に、二流で終わる人間は、「自分はこれくらいできればいい」と自分の能力を限定してしまうところがある。一流になりたいなら、マイナスの暗示はよくない。

どんな仕事であっても、常に自信と不安は交錯するものだ。特に新しいことにチャレンジするときは、不安のほうが大きくなりがちである。しかし、その世界で結果を残していくには、自分をあえて「自信型」に仕向けていくのもひとつの方法ではないだろうか

わたしは、プロの原点は「気」だと思っている。

気力、勇気、気合い……気のない人は勝負に勝てない。気があればその気になるし、その気になればやる気になる、やる気になれば構える気になる。そういうふうにして発展していくのではないだろうか。選手を見ても、気のないタイプはダメだ。あきらめが役に立つのは、新しくやり直すときだけだと肝に銘じることである。

ただし、プラスの暗示にもひとつ落とし穴がある。なんでも自分に都合のいいように考えてしまうところだ。それは、現実を見ないということであり、人生における危険を察知する能力を鈍らせることにつながる。

*** 謙虚でいなければならず、かつ自信をもたなければならない――。一見、矛盾しているようにも思えますが、そうではありません。人が成長するためには、まずは現在の自分の立ち位置、力を知る必要があります。そのうえで、現在の自分を超えられるという自信を持たなければならないのです。失敗を失敗と認める謙虚な心と、現実と自身を冷静に分析する判断力、そして過信ではなく自信を持つべし。自己実現のために心にとめておきたい野村克也さんの言葉です。

※今コラムは、『野村四緑 志の書~夢を叶える心得~』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです

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【プロフィール】 野村克也(のむら・かつや) 1935年、京都府に生まれる。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役生活27年にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、MVP5回、首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回など、タイトルを多数獲得。また、1970年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。2020年2月11日、84歳で永眠。

『野村四録 志の書~夢を叶える心得~』

野村克也

セブン&アイ出版(2018)

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