パフォーマンスが上がらないのは “幸せではない” からかも。「幸福感」を高める3つの科学的アプローチ。

なんだか心が冴えなくて、どこかにストレスを抱えている。仕事あるいは勉強に関して、あまり順調だとはいえない状況だと思う……。ならば、日々の習慣を見直し、幸福感を高めていきましょう。あらゆるパフォーマンスが向上するはずです。その理由と、幸福感を高める3つのアプローチについて説明します。

幸福感が重要である理由

ブリストル大学・経済学教授のユージニオ・プロト(Eugenio Proto)氏は、科学雑誌『PLOS ONE』の学術編集者であり、経済学の学術誌『Journal of Economic Behavior and Organization』の副編集長でもあります。

常日頃から数多くの研究に触れている同氏は、2016年12月にドイツ・労働経済研究所の出版物『IZA World of Labor』にてこう述べました。

幸福感は努力を促し、質に影響を及ぼすことなく生産量を拡大し、生産性が向上するようである。一時的な幸福感の上昇や根底にある幸福感の長期的な変化は生産性向上と関連している。

(引用元:RIETI|幸福度の高い労働者ほど生産性が高いのか?従業員の健康に関する企業の関心はエビデンスによって大部分が裏付けされている

企業として業績を上げたいなら、従業員の幸福度を向上する方針を取り入れるべきだと同氏はいいます。さらなる研究が必要ではあるものの、入手可能なエビデンスがそう示唆しているからです。

また、脳神経科学を教育や人材育成などに応用する取り組みを行い、多くの注目を集めている会社 DAncing Einstein のファウンダーCEO・青砥瑞人氏は、幸福ホルモンとしてよく知られるドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質が、生産性やパフォーマンスに大きく影響を与えると話します。それぞれの特徴は以下のとおり。

【ドーパミン】

精神科医の樺沢紫苑氏によれば、やる気の源、快感ホルモンとも呼ばれるドーパミンは、前頭葉前頭連合野にあるワーキングメモリ(作業記憶)」とも深い関わりがあるとのこと。「情報処理能力・注意力・集中力の向上」につながるそうです。

【セロトニン】

脳生理学者の有田秀穂氏は、脳全体のバランスをとり、心に安定をもたらすセロトニン濃度が一定レベルに保たれると、「脳が理想的な覚醒状態」になると伝えています。いわばスッキリ爽快な状態です。また、沖縄科学技術大学が2012年8月1日に神経科学誌『Journal of Neuroscience』で発表した研究では、セロトニン神経活動の上昇により「忍耐力が増強される」と示唆されました。

【オキシトシン】

絆ホルモンなどの呼び名があるオキシトシンは、脳・心が癒される安心感のホルモンです。認知症高齢者研究所によれば、「不安や恐怖心の軽減や、学習意欲と記憶力向上にも役立つ」そう。また、東京大学の研究グループがストレスなどで体調を悪化させると、1人当たりの労働生産性の損失額が年30万円増加するという研究結果をまとめましたが、オキシトシンは、「ストレスの軽減にも大きな効果」を持つとのこと。統合医療クリニック徳・高橋徳院長は、オキシトシンの分泌量が多いほど「よりストレス状態に耐えられる」と話します。

これまでのことを踏まえ、幸福感を高める方法を3つ紹介していきます。

幸福感を高める方法1:ポジティブ心理学的アプローチ

習慣化コンサルティングの古川武士氏によれば、人の心の豊かさや幸福度を左右するのが、「コントロール感」とのこと。ポジティブ心理学における【幸福の公式】では、こう定義されているそうです。

幸福(happiness)= 規定値(Set point)+ 生活状態(Condition of living)+ 自発的活動(Voluntary Activities)

(引用元:Studu hacker|朝の45分でできる。心を整えて幸福感を高める「最高のルーティン」のつくりかた。

「早起き」が人気の理由は、自己コントロール感があり、自発的に取り組む活動だからなのだとか。自己コントロールできていないと、心の豊かさは確実に下がってしまうと古川氏はいいます。そうしたことから、同氏は自分の決めたルーティンで1日をスタートするようにしているそう。具体的には次のとおり。

1. ビジョンと目標を書く(15分) 2. 瞑想する(15分) 3. 感読する(15分)

(引用元:Studu hacker|朝の45分でできる。心を整えて幸福感を高める「最高のルーティン」のつくりかた。

この習慣を参考にするのもいいですが、重要なのは自発的な活動であるかどうかということです。何かしら健全かつ建設的なルーティンをご自身で決め、実行してみてはいかがでしょう。たとえば、「健康のため、週1回は自転車で通勤する」といったことでもいいのです。

幸福感を高める方法2:生理学的アプローチ

幸福感を高めるために、幸福ホルモンの分泌を促す習慣を取り入れていきましょう。

【ドーパミン】:精神的な報酬により分泌するので、自分で自分を「よくやった!」などと認めてあげたり、明確な目標を設定し、達成を繰り返したりする。

【セロトニン】:朝日を浴びる。ウォーキングやジョギング、スクワット、水泳、なわとび、エアロビクス、サイクリングなどのリズム運動を行う。そのほか、よく咀嚼したり、瞑想したりするのも有効。「身近なものをジッと10秒ほど見つめる」だけでも、瞑想と同様の脳領域(顕著性ネットワーク)が活動する。

【オキシトシン】:家族や友人、恋人とスキンシップをとったり、ペットと戯れたり、誰かへの感謝や思いやりの気持ちを頭に思い浮かべたりする。

幸福感を高める方法3:作業科学的アプローチ

アラバマ大学バーミンガム校・作業療法学科の研究者らが、2019年2月13日付で『International Journal of Environmental Health Research』に発表した研究によると、たった20分ほど「都市公園」で過ごすことにより、幸福感が改善するそうです。

「都市公園」とは、国または地方自治体が設置した公園のこと。一般的に、休憩所・売店・トイレ・管理事務所・運動場などがあり、遊び、運動、レクリエーション、イベント、防災等、さまざまな目的に向けて整備されています。そうした心地よい賑わいのある、便利で安心な場所が、正の影響を及ぼすのかもしれません。

20分ほどでOKなら、公園のベンチにちょっと腰掛け、テイクアウトのコーヒーなどを1杯飲むだけでも効果を得られるということ。ぜひ、特に天気のいい日、公園を見かけたら足を踏み入れてみてください。

*** 「幸福感」がパフォーマンスに直結する理由と、ポジティブ心理学的アプローチ、生理学的アプローチ、作業科学的アプローチから、「幸福感を高める方法」を紹介しました。

なお、習慣化コンサルティングの古川武士氏が行っている朝のルーティンについては、こちらの記事『朝の45分でできる。心を整えて幸福感を高める「最高のルーティン」のつくりかた。』でより詳しく紹介しています。ぜひ一緒にご覧ください。

(参考) RIETI|幸福度の高い労働者ほど生産性が高いのか?従業員の健康に関する企業の関心はエビデンスによって大部分が裏付けされている Eugenio Proto Research Webpage Career Supli|脳内物質の働きを利用してパフォーマンスを高めよう Home - PubMed - NCBI|Activation of dorsal raphe serotonin neurons is necessary for waiting for delayed rewards. オンラインカウンセリングのcotree(コトリー)|幸福脳になるための、セロトニン神経の鍛え方|東邦大学名誉教授 有田秀穂 三菱地所|TOKYO INNOVATION RESEARCH - TOKYO TOKIWABASHI 2027 認知症高齢者研究所|DEMENTIAS LIFE 毎日新聞|東大調査:腰痛、ストレス…生産性の損失は年30万円 EMIRA|人に優しくするとストレスに強くなる! ホルモン物質「オキシトシン」の秘密 Studu hacker|なにかを「じっと見つめる」だけ!? たった10秒で集中力を取り戻す “びっくりするほど簡単な” 方法 Studu hacker|朝の45分でできる。心を整えて幸福感を高める「最高のルーティン」のつくりかた。 Studu hacker|ストレスだらけのビジネスパーソンに20分間の「公園滞在」をすすめるワケ。 有田秀穂著(2011),『育脳の技術:ストレスに負けない脳を育てる 』,主婦と生活者.

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