皆さんは、人の気持ちを汲み取れる自信はありますか?
どちらかというと苦手意識を抱いている人のほうが多いのではないでしょうか? 顧客のニーズが分からない、仕事仲間とうまくコミュニケーションがとれない、このような悩みを抱えている方に、今回は共感力を伸ばす習慣についてご紹介します。
「共感力」とは何か?
「共感力が高い」と聞いて、どんなイメージをしますか? 相手の気持ちに感情移入しやすかったり、感受性が豊かであったりといったことでしょうか?
日本コミュニケーショントレーナー協会の椎名規夫さんは、そのイメージについて下記のように話しています。
相手から「この人だったらわかってくれる」「この人だったら信頼できる」と感じてもらうことです。
(引用元:しごとのみらい|コミュニケーション能力における「共感力」の本当の意味)
単に相手の気持ちを理解できるだけでなく、相手から信頼を得られることで、共感力が高いと言えるのです。
“DJポリス”の愛称で親しまれる警察官をご存知ですか? DJポリスは、2013年に日本代表のワールドカップ出場が決まった夜、歓喜に沸くサポーターたちに「こんな良き日に怒りたくはありません。私たちはチームメートです。どうか皆さん、チームメートの言うことを聞いてください」などのユーモアを交えた話術で交通規制を呼びかけ、大きなトラブルなく場を諫めたことで称賛されました。
今までだと、高圧的な言葉で無理に弾圧することで余計に事態が悪化してしまうケースが多く見られましたが、このように相手の気持ちに配慮した言葉はまさに「この人の言うことなら聞きたい」、「信頼ができる」と思わせる“共感力の高い行動”だったと言えます。
ビジネスにおける共感力の重要性
では、なぜ数字や結果が重視されるビジネスにおいて一見真逆の言葉のように思える共感力が重要となるのでしょうか?
実は、ビジネスにおいてあらゆる面で共感力が必要になるのです。社員と意思疎通を図るのも、取引先とコミュニケーションを取るのも、上司や部下から信頼を得るのも、顧客のニーズを把握するのも、共感力が必要といえるでしょう。
相手の側に寄り添うことは、プライベートでの人間関係だけでなく、ビジネスにおいても重要なのです。
共感力の伸ばし方
共感力は幼少期の成長過程に培われるものだと思われがちですが、今からでもトレーニング次第で向上させることが可能です。共感力を伸ばす習慣をご紹介しましょう。
・見知らぬ人に興味をもち、会話をする
毎日の通勤で同じ電車に乗るビジネスパーソンや学生は、電車が混んでいればいるほどお互いを敵視してしまいがち。しかし、彼らは共感力の生きた教材とも呼べるのだそう。
幼い頃には見知らぬ人のことを興味津々で眺めたり、時には話しかけたりした方もいるかもしれませんが、今ではなかなか電車に乗り合わせた人に興味を抱いたりしませんよね。自分の知らない世界や、見知らぬ人への好奇心は共感力を高めてくれます。
そこでまずは、接点のない人に関心を抱いてみましょう。また、週に一度は知らない人と会話をする習慣を作ると良いのだそう。美容院へ行ったときに雑誌を読んでいたり、スマホをいじっているだけでなく、美容師と話してみましょう。タクシーに乗ったときに運転手と世間話をしてみたり、スポーツジムの更衣室に居合わせた人とトレーニングについて話してみたりするなど、何か会話を続けてみるといいかもしれません。
・人の話をよく聞き、弱みを見せる
共感力は、人とコミュニケーションを取り、より内面を知ることで伸びるものです。その際に重要なのが、話をよく聞くことと、自分の弱みを見せること。
どんな人の話でもよく聞き、また自分の内面も晒すことで、相手からも同様に共感を示されやすくなり、共感力が高まるのだそう。話していて意見が合わないと感じたら話を聞く気がなくなるかもしれませんが、もう少しだけ聞いてみましょう。なぜ自分と違う意見なのかなど、お互いの違いを比べることで新しい発見があるかもしれません。
・フィクション小説を読む
普段、どんな本を読みますか? 仕事のためにビジネス書を読むことが多いでしょうか?
しかし、共感力を高めるためにはフィクション小説を読むことがオススメです。フィクション小説の読書量が多い人ほど、共感力が高いという実験結果が出ています。フィクション小説を読むことで他人の感情を理解する能力を短期的に高めることができるのです。通勤中や帰宅後のスキマ時間に、スマホを置いてフィクション小説を読んでみましょう。
*** 共感力を高めて、プライベートでもビジネスでも円滑な人間関係を築きたいですね。
(参考) Inc.|3 Habits That Will Increase Your Empathy NHK クローズアップ現代|人を動かす“共感力” しごとのみらい|コミュニケーション能力における「共感力」の本当の意味 Wikipedia|DJポリス THE WALL STREET JOURNAL|小説を読めば共感力は培われるか