国会中継を見ていると、居眠りしている議員の姿が散見され、たびたび取り上げられては問題になっていますよ。会社や学校でも、居眠りしている人を見つけるのはそう難しくありません。参加者が眠ってしまう会議で、良いアイディアが生まれるわけもなく、効率の良い会議になるはずがありません。
会議で眠くなってしまうのは、会議の退屈さだけが原因だと思われがちですが、眠くなるというのは会議に対して受動的であるという証拠なのです。能動的に参加していれば、眠くなる暇なんてないはず。
では、どうすれば会議に能動的に参加し、その会議で効率的に意志決定ができるのか考えてみましょう。
ノートPC=壁
会社の会議では、ノートPCを持ち込んでメモを取っている人が多くいます。あとで共有する際に、電子メディアで纏められていると便利ですよね。でも、会議の効率をあげるために持ち込んだこのパソコンが、実は会議への参加の妨げになっているのです。理由は以下の3つ。
1)何をしているのかわからない 本人はメモをするために使っていたとしても、画面の見えない相手からは何をしているのかわかりません。本当に会議に参加しているのかわからない、と相手に思わせるだけで、相手のモチベーションの低下に繋がってしまいます。
2)集中が切れる メールが届いたり通知が来たりすると、意識が一度そちらに向いてしまい、会議の流れに乗り遅れる原因にもなります。たとえメール画面を開かなかったとしても、会議に対する集中力が途切れてしまうことでしょう。
3)心理的壁となる パソコンのようなパーソナルメディアは、会議に対する「カベ」になるという研究もあるのです。
自分だけのメディアが会議に存在するだけで、それが会議との心理的な「カベ」になってしまい、より受動的になってしまうのです。パーソナルメディアの数に比例して、私有の空間であるという感覚が強化され、仕事への集中力は低下してしまいます。
ゆえに、パソコンを持ち込まないのはもちろん、スマホも鞄にしまうなどして、会議に受動的にならないように心がけましょう。スマホの電源を切るだけでぐっと集中力が増しますよ。
他人の目
人は、誰しも「他人がいると落ち着かない領域(パーソナルスペース)」を持っていますが、これは人間の前方に広く分布しています。つまり、後方は近くに人がいても気にならないということです。
スライドを使って発表する際、発表者はその端に立って話すことになりますが、この方法では、全員の視線がスライドに統一され、パーソナルスペース内で自分の方向を見ている人がいないという形になります。
慣れている人であればスライドを背にして発表できますが、そうでない人はスライドを見ながらの発表になってしまい、ますます「見られている」という感覚が薄くなってしまうのです。
他人に見られていないと感じると緊張感が薄れてしまうのが人間というもの。居眠りもこれが原因の1つだと考えられます。
これを避けるためにオススメなのが「円卓会議」。
パブリックな情報を垂直な面に表示するのではなく、水平面である卓上に表示するのが効果的。人はその周辺に円状に集まる形になり、必然的に他人と視線が交錯する形になります。また、実際の距離も近くなることで、心理的な「カベ」も小さいものになり、会議に対する主体的な参加が期待できます。
また、人は増えれば増える程責任感が弱まるというのは社会心理学の有名な研究です。「1+1=3」になるどころか、「1+1=1.8」になってしまうということ。会議の人数は少数に絞られていた方が良さそうですね。
かのアーサー王も、円卓の騎士を従えて円卓で会議を行っていました。彼らが後世に名を遺す結果となったのも、こういった日々の会議の積み重ねだったのかもしれません。古くからあるこの手法をぜひ取り入れてみてくださいね。
(参考) 佐々木一成, 三上喜隆, & 渡邊朗子|5467 卓上環境におけるコミニケーションデザイン研究 III: 個人的情報の提示方法に関する実験 (情報・環境・インターフェース, 建築計画 I). 学術講演梗概集. E-1, 建築計画 I, 各種建物・地域施設, 設計方法, 構法計画, 人間工学, 計画基礎, 2007, 933-934.