メモを取ることが大事だというのは、仕事の基本のように言われることだと思います。
しかし、いちいちメモを取るのは面倒だし、この程度のことならきちんと覚えていられる、といった不満を持っている人も多いのではないでしょうか?
単なる“覚え書き”だと思われがちなメモを取る行為は、実際にはそれ以上に多くのメリットを生むのです。今回は、人より"一枚上手"になるためのメモとの付き合い方を紹介します。
メモはこまめに振り返る
話を聞いたり、仕事を教わったりしたときにはしっかり覚えたつもりでも時間が経っていくごとに記憶はどんどん薄れていきます。メモを取る行為は、そういった時のために必要なことなのです。
しかし近年、カナダのマウント・セント・ヴィンセント大学の研究によって、人間はメモを取るとそのことに安心して、メモした内容を忘れやすくなるという事実が明らかになっています。これは「メモを取るべきではない」ということではなく、「メモを取ったのに見返さないと、メモをしないよりも悪いことが起こる」という事実を示しています。
この忘却を防ぐために必要なのが他ならなぬ"復習"のプロセスなのです。
忘れたときだけ見返すのではなく、大事なことを忘れないためにも定期的なメモの参照が必要になります。メモを取ることも大事ですが、取ったメモはきちんと整理し、定期的に確認するよう心がけるようにしましょう。
情報の重要度を意識する
メモを取る状況というのは慌ただしいときが一般的だと思います。本当は一言一句を書き留めたいところですが、書くこと自体に時間がかかる以上なかなかそうもいきません。
しかし、そんなもどかしさを逆手に取ることも可能です。限られた時間で書かなければいけないからこそ、「書き留めるべきことは何か」、「重要なことは何か」を意識して話を聞くようにしましょう。
「分かりやすいメモを作ること」と「相手の話を理解すること」に共通して必要なのが“情報の重要度を正しく整理すること”です。
メモを作るという明確な目的をもって集中するよう心がければ、漫然と聞くよりもより良く話を理解することに繋がるでしょう。
メモを利用して思考の整理を
メモを取る時に気を付けたいことは、なるべく大きな余白を残すようにすること。びっしりと文字の詰まったメモを「立派なメモ」と思いたくなるかもしれませんが、実際はそうではありません。メモは成果物ではなく、あくまでも"道具"であると認識しましょう。
道具としてのメモ書きがその真価を発揮するのは、そこに書き込みをする瞬間です。
メモを振り返るとき、大切なのは必ず片手にペンを持つこと。そして、メモの空白に補足や思ったことを書きつけながら、メモを"発展"させていきます。そうすることで記憶の強化が後押しされるとともに、情報の整理も可能となって新たな発想や問題の発見に繋がるでしょう。
この作業をするときのコツは、なるべく単語ではなく文章の形で書き込みをするということ。つまり、言語化を意識するのです。言語化のプロセスには、人間が物事を理解することの重要な鍵となります。
言語化できていないことは、身についていないのも同じ。同様に、言語化できていないことは、壁として認識されず、超えることができない。課題を言語化しなければ、成長はできない。
(引用元:ignorant of the world -散在思考-|経験は、熱いうちに、言語化せよ)
わかっているつもりのことも、文章にしてみたら意外とそうでもないということがあります。正しいと思っていた論理のはずが、文章として書こうとしたら上手く繋がっていないこともあるのではないでしょうか?
実際に言葉にするというのは、思考を整理する上で基本中の基本です。言語化するというこの一手で、単なるメモ書きだったものがあなたにとって重要な情報源へと変身するかもしれません。
*** メモを取るというのは地味な作業に見えますが、自分の創意工夫によって無限に可能性を生み出すことが可能です。些細なこと、さほど重要ではないと思ってしまうことでも、一度しっかりメモを取って向き合ってみると良いかもしれません。
(参考) WIRED.jp|メモを取っても記憶は定着しない:研究結果