何か新しいことを始めてもなかなか続かなかったり、今まで継続していたことで壁にぶつかってしまい、上手く続けられなくなってしまった。
そんなことに悩んではいませんか? “継続は力なり”と言いますが、その言葉はまさに、継続が難しいからこそ生まれた言葉にも思えます。
しかし、そんな困難な継続ですが、実は目標の設定次第でモチベーションを落とすことなく上手に行うことができるのです。
モチベーションの源は?
目標達成のためにモチベーションが重要ということはよく言われると思いますが、では実際にモチベーションというものはそもそもどういうものなのでしょうか?
モチベーションは「気分の問題だ」と思っている人もいるかもしれません。しかし実は、モチベーションというのは人間の脳で起こる化学反応の結果なのです。モチベーションに強く関与しているのが、神経伝達物質の1つであるドーパミン。この分泌がなければ「やらなければならない」と頭で理解していても、そのことに対してのモチベーションは上手く湧いてきません。
やらなければいけない課題や仕事が目の前にあるのにどうしても取り掛かることができないという経験はありませんか? そんなとき、あなたの脳内ではドーパミンが不足して、仕事に対するモチベーションが生まれなくなっているのです。
鍵を握るのは報酬系
ご褒美を貰うことが嫌いな人はいないでしょう。まさにそのご褒美の「うれしさ」を左右するのが、脳の中の報酬系と呼ばれる部位です。
これは、人間にとって何らかの欲求が満たされたとき、あるいは満たされると分かったときに活性化してドーパミンを分泌する「快」を与える役割を持っています。
大変な仕事を達成したとき、疲れているのに「もっと頑張ろう!」とやる気が湧いてくることはありませんか? そうしてやる気が湧いてくるのは、この報酬系がドーパミンを分泌しているからなのです。
報酬は事前に用意
“自分へのご褒美”という言葉を良く聞きますが、これはモチベーションの維持に非常に高い効果を持ちます。
報酬系というように、好きなものを買ったり、食べたりすることで自分に「報酬」を与えることは、ドーパミンの分泌を促し、モチベーションを向上させるのです。
ただし、ここで注意するべきことは、大変なことを乗り越えたときに「よし、頑張ったから自分にご褒美!」と出してしまっては、せっかくのご褒美の効果が半減してしまいます。
報酬系は、報酬を受け取ったときだけではなく、「受け取ると分かったとき」にも活性化する性質があるのです。 例えば、マラソンをしているとき。疲労がピークになる最後の最後にゴールテープが見えたことで「やり遂げる」という報酬が意識され、ドーパミンが分泌されて最後まで走り切るモチベーションが生まれる、といわれています。
それと同様に、やり遂げた後の報酬で「次も頑張ろう」となるだけではなく、報酬の効果を先取りすることで「最後まで頑張るぞ」というモチベーションも生み出すことができるのです。
そのため、先に「これが終わったら自分にご褒美」と早めに考えておくことは、最後までやり切ることに非常に高い効果を持ちます。
レンジ法を採用しよう
上手に脳に報酬を与え、モチベーションを維持するためにオススメなのがレンジ法です。これは、目標を「○○~××」と範囲の形で設定することで、結果的に大きなパフォーマンスを発揮するというもの。
例えば、仕事なら「今日(今週/今月)中に、最低でもAとBとC、可能ならDとEの案件まで片付けるぞ」という目標を決めておきます。そうするとCの仕事まで片付いたところで達成感が報酬系を刺激し、ドーパミンの分泌が促進され始めるのです。それにより、モチベーションが高まって、更に高い目標としていたD、Eまで到達することが可能になります。
資格の勉強の場合は、1日の勉強量として「15ページ~30ページ」というように幅を持って目標としておけば、同じ様にドーパミンの分泌が促されてモチベーションが持続しやすくなってくれるでしょう。
この方法は仕事や勉強以外でも、さまざまな面で活用できるテクニックです。 ダイエットであれば、「10キロ減量する」と決めるよりも「5キロから15キロの減量をする」という風に決めることで成功率がグッと高くなるでしょう。趣味の勉強や練習なども同様にやりがいを実現することが可能となります。
レンジ法を行う際に気をつけなければならないことは、最初の目標をなるべく低く設定しておくことです。
先述のとおり、報酬系は「欲求が満たされると分かったとき」にも活性化します。つまり、ハードルが適度に低く「何とかなりそうだぞ」と思えるほどに、達成が意識されてモチベーションが向上するのです。
高い目標を立てることは必要なことですが、そもそも達成できなければ目標の意味がありません。着実な目標をコツコツと積み上げることが、モチベーションを維持したままで努力を続ける鍵なのです。
*** ストイックに、高い目標を追いかけることはカッコイイと思ってしまいがちですが、それを続けていくことは非常に難しいこと。適度に脳にご褒美をあげ、適切な目標設定をすることで、上手に脳と付き合いながら着実に目標をクリアしましょう。
(参考) Wikipedia|ドーパミン Wikipedia|報酬系 THE 21 ONLINE|脳科学から見えてきた! やる気を高める4つの方法 日経グッデイ|“やる気”が起きない理由はドーパミン不足? オレキシン不足?