みなさんは、先生や上司から叱られたとき、どのように対処していますか?
叱られたことに対して理不尽だと憤りを覚えたり、必要以上に落ち込んでしまったりすることもあるかもしれません。本来、叱られるということはそれを活かして自分の能力を活かす機会やきっかけになるものです。過度に感情的になることなく、冷静に、忠告を自分の能力に変えていく方法を考えていきたいと思います。
どうして叱られるのか
「叱る」ことと「怒る」ことはしばしば同じ意味で使われます。でも、もともとの意味には違いがあるそうです。 「怒る」は自分の感情にまかせて相手を責めること。一方で、相手の間違いを指摘し、より良い方法を示すことは「叱る」と表現されます。
では、ミスをして叱られるとはどういうことでしょうか? 叱られる側からすれば、怒っているのとほとんど変わらないように見えることもありますし、実際にただ怒っているだけの上司や先輩もいるでしょうけれど、今回は「叱っている」として考えてみましょう。
「叱り方」&「学校法律」研究会の島郁雄氏によれば、叱る人は相手が嫌いなのではなく、むしろ相手に好感を持ち、期待をしているのだそう。確かに、相手の能力にまったくなんの期待もしていなければ、叱ることは不毛ですよね。
そう考えれば、叱られることは喜ばしいことでもあります。
叱られて伸びる人と伸びない人の差は何か
叱られることは、(時々少し感情のこもりすぎた)忠告、アドバイスだと考えましょう。過度に落ち込む必要はありません。 叱られたことをしっかりと活かして、自身の能力を伸ばす人には以下のような特徴があります。
1.物事を前向きに考えられるか
叱られた時の表現や、強い口調に落ち込んでしまうこともあるでしょう。でも、叱っている相手も人間です。ついつい強めの口調になってしまうこともあるでしょう。ですが、あなたを傷つけたり、悲しませたりすることが目的ではないはずです。あなたも、ショックをいつまでもひきずらないことが大切です。指摘された内容と、あなた自身の気持ちをきちんと切り分けて、実際的な部分に着目しましょう。
もし仮に、相手があなたに立腹していたとしても、それはあなたが直接コントロールできることではありません。あなたにできることは、指摘された事実について検討し、それを改善することです。それでも相手が怒り続けているのなら、それはもはやあなたの問題ではありません。
2.素直に相手の指摘を受け入れられるか
叱られた際に納得できないことや、理解できないことがあるなら、それをきちんと(礼儀正しく)伝えましょう。たいせつなのは、「わかったふり」をしないこと。相手がしていることはアドバイスなのです。わからないのに、その場をやり過ごしてしまっては意味がありませんね。
表向きは「分かりました」と返事をしていても、あとで行動が伴っていないと分かれば印象は悪くなります。その時に少しくらい険悪になってしまう可能性があったとしても、後で「態度だけ素直」と思われるより、ずっと良いものです。
世の中には「叱り方」を説いた情報もたくさんでまわっています。しかし、あなたがそれを読んで「うちの上司の叱り方は間違っている」と思ったところで、事態はまったく変わりません。あなたがコントロールできることは、あなたの行動だけです。
叱られたときの活かし方
では、叱られたとき、私たちはそれをどのように今後に活かしていけば良いのでしょうか?
1.叱ってくれた人とコミュニケーションを密に取る
叱られたからといって叱った人から離れようとするのではなく、逆にどんどん教えを請うようにしてみてはいかがでしょう。
筆者も、ある授業できつく叱られた経験があります。泣きたくなる気持ちをこらえて、授業後すぐ個人的に質問をしに行きました。実際には誤解もありましたが、相手と話すことで自分の反省すべき点を見出すことができたのです。
自分の至らない点をわざわざ指摘してくれるような人はなかなかいません。大人になればなるほど、そのような機会は減ってくることでしょう。貴重な機会だと考えて相手に話を聞いてみると、自分では気づかなかったことを教えてもらえるかもしれません。また、叱った相手との関係も悪くならずに済むでしょう。
2.指摘されたことを徹底的に振り返る
もしかすると、叱られたことは自分の苦手なことではありませんでしたか? それともうっかりミスをしてしまったのでしょうか?
どのような経緯でミスをしたのか、詳細に分析をしてみてください。 例えば、コピーを200枚するように頼まれたものを、勘違いして100枚しかコピーできていなかったとします。しかも、サイズも間違えてしまいました。もしかしたら、睡眠不足が続いて、眠くて話がきちんと聞けていなかったのかもしれません。そうであれば「私生活を正すこと」が課題となります。
そうではなく、コピー機の使い方を知らなかったのであれば「分からないことについて確認をすること」が課題です。自分の課題を知ることができれば、叱られるようなミスを減らすことができますよ。
みなさんも、自分の能力を高める上手な叱られ方を身に付けてみてください。
(参考) ダイヤモンド社 書籍オンライン|“こんな部下は、叱ることでぐんぐん伸びる!” 叱って伸びる人の3条件とは? NIKKEI STYLE|上手に反省 折れない心 新社会人、叱られて伸びよう! 東洋経済 ONLINE|松下幸之助は叱られる側の心情も考えていた ハフィントンポスト|新人は叱られている時、何を考えているか? SINGA FARM|「怒る」と「叱る」は違う!子どもを傷つけずに効果的に叱る6つの基本ルール