2016年夏にフジテレビ系で放送されているドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』。つい最近就職活動を終えたばかりの私も非常に興味を持って見ています。先日の放送の中で特に面白かったのが、インターンの最後に2人1組でプレゼンをするシーン。緊張で頭が真っ白になって喋れなくなってしまう大学生の姿を見て、私も高校生の時に人前に立って喋るのが苦手だったっけ、なんてことを思いだしました。
せっかく練習したプレゼンなのに、緊張で頭が真っ白になって、話せなくなってしまう。きっと多くの皆さんにもそうした経験があるでしょう。
以前はプレゼン下手だった私ですが、実は、高校時代に高校生模擬裁判選手権で弁論を担当し、優勝した経験があります。人前で話すのすら苦手だったのに、コツをつかんだら、現役弁護士さんにも褒められるほどの弁論ができるようになったのです。このコラムでは、私が高校生模擬裁判選手権で優勝した経験と、就職活動の経験から学んだ、プレゼンの秘訣を紹介します。
誰でも緊張する!? プレゼンの怖さ2つ
「プレゼンは得意ですか」と聞かれてYESと答えられる人がどれくらいいるでしょうか。プレゼン慣れしている上級者でもない限り、苦手意識を払拭するのはそう簡単なことではないと思います。
多くの人がプレゼンが苦手な理由は2つあります。
まず1つ目は、なんといっても、「人前で発表する」ということに対する緊張。人前で堂々と話す機会というのは、特に学生の場合そう多く巡ってくるものではありません。大学生でも卒論発表くらいまでまずプレゼンをする機会がない(私の通っている京大法学部は少なくともそうです)のです。人前で発表することになれていない人に突然プレゼンの機会がやってきて、さあ発表しなさいと言われても、どうすればいいかわからないですよね。
もう1つは、「質疑応答」への不安です。自分がいくらきちんと下準備していたつもりでも、予想もしていなかった質問をされたり、厳しい追及をされたりしたらどうしよう、と不安になるのは当たり前。それに、そのプレゼンが評価に直結する社会人であれば、答えられないことへの不安はなお増すでしょう。
プレゼンにはこれら2つの恐怖がつきものですが、この2つさえ克服できれば、まだ少し不安があったとしても大丈夫です。これから、この2つの恐怖を克服する方法をお伝えしようと思います。
発表はとにかく「簡潔&わかりやすく」
発表のコツを一言で言うと、「簡潔に、そしてわかりやすく」です。
私が模擬裁判選手権での弁論の際にぶち当たった一番大きな壁がこれでした。裁判の弁論(弁護側、被疑者の弁護の最後に述べるもの)では、とにかく「警察側が立証したことがおかしいのではないか? 疑わしいでしょう?」と述べることが大切でした。ですので私は最初、とにかく警察側の主張と矛盾しそうなことを並べ立てるばかりで、まとまりのない長文を読み上げていただけだったのです。
ですが、それではうまく裁判官に伝わるはずがありません。この問題点を指摘され、発表している自分の動画を撮影してもらって見てみたところ、私は致命的な欠点に気付きました。
「事実の列挙ばかりで何を言いたいのかさっぱりわからない……!」
確かに、たくさんの情報があれば、伝えたい結論の信ぴょう性は増します。ですがその事実の列挙だけが続けば、相手に「こいつはいったい何が言いたいんだ?」という疑問を抱かせてしまい、そもそも伝えたいことすら理解してもらえずに終わってしまうのです。
ですから、まずは自分が伝えたいことを簡潔にまとめ、それをできる限りわかりやすい言葉で説明するように心がけましょう。たくさんの材料や情報は大事ですが、コアとなる主張を薄めてまで、発言の中に含めるべきものではありません。
質疑応答は完璧じゃなくていい
多くの人にとって発表以上に怖いのが、質疑応答の時間でしょう。どれだけ準備をしてきても、自分よりその分野に詳しい人や目上の立場の人からの質問だと、どんなことを聞かれるかわかったもんじゃない……そんな危機感を覚えても何らおかしくはありません。
ですが、あなたが発表内容に関する知識を必要最低限身に着けていさえすれば、何も怖いことはありません。
あなたが答えられない可能性のある質問は、次の3パターンに分けられます。1つ目は知識不足で答えられない質問、2つ目は相手がこちらを圧迫しようとしている質問、3つ目は答えのない質問です。
1つ目は、非常に高度な知識を問う質問でない限り、答えられなければあなたの準備不足です。評価として大きくマイナスにされてもそれは仕方ありません。
2つ目は、明らかに相手が自分を採用したくなくて(または評価したくなくて)、ぼろを出させようとしている質問などが挙げられます。圧迫質問によってストレス耐性を見ている場合もありますね。この質問にあったら最後、心を無にしてとにかくポジティブな自分を演出して乗り切りましょう。明らかに圧迫目的で投げかけられているような質問に対して心をすり減らし、その心情が相手に見抜かれてしまっては、非常にもったいないものです。
3つ目の答えのない質問への対処法が一番肝心です。この質問は、訓練次第でいくらでもうまく返せるようになりますし、うまく答えられれば高く評価してもらえるポイントでもあります。
例えば、これは私が就職活動中、実際にTV局の一次面接で聞かれた質問なのですが、「若者のテレビ離れ、どうしたらいいと思う?」というものがありました。この質問に対する明快な答えが存在するのなら、若者がテレビ離れしている今のような現状はそもそも起きていないでしょうし、この質問は現場の職員も頭を悩ませている、“答えのない質問”だと言えるのです。
答えのない質問に答えるコツは、1. 自分の卑近な話題にすること、2. 自分なりの解決策をいくつか提示することです。
答えのない質問は、壮大で抽象的な場合が多いもの。そのままでは考えようにも考えにくいので、まずは自分の身近な話題にすり替えましょう。それができたら、その自分の身近な問題に対して自分ならどう対処できるか、その課題を解決するにはどのような手段を取りうるか、ということについて考えます。
ただその際気を付けないといけないのは、「相手の質問には正面から答える」ということ。紆余曲折ばかりして、聞かれたことには一切触れないまま終わってしまう、なんていうのは、ないようでよくある話。それではそもそも評価の土台に乗せてもらえませんよ。
*** 以上、ちょっとしたプレゼンのコツを紹介しました。言われてみれば簡単なことでも、意外とできていない人は多いと思います。これらのコツをおさえるだけで、プレゼンの出来栄えはだいぶん変わってきますよ。
(参考) ArtRoot|会話をするときは意識!相手に伝わりやすくする話し方の5つのコツ 大学生はこれを見ろ|就活における大切なことの1つは「結論から話す」ことである ダイヤモンド社書籍オンライン|「質問に対し、的外れな答えを延々と述べる」。職場のイタい人には、「これ」が効く! 株式会社日立ソリューションズ| 組み立てを意識して話す~説明・報告にチャレンジ~