「説明できない」は「理解していない」と同じ。理解が圧倒的に深まる3大法則。

理解が深まる3大法則01

「頭の中では分かっているつもりなのに、いざ人に説明したり言語化したりしようとすると、うまくできないことが多い……」

物事をうまく説明できないのは、あなた自身がしっかりと理解していないせいかもしれません。物事に対する理解の深め方と、説明のコツを紹介します。

「理解」とはなにか

物事に対する理解の深め方を説明する前に、まず「理解」とは何か明らかにしましょう。何かを記憶することは、新しい脳の神経細胞群が形成されるということだそう。神経回路の大規模な組みなおしが必要なのだとか。

神経回路の組み直しが行われるためには、見たり読んだり聞いたりしたことについて書いたり話したりして、インプットとアウトプットをくり返すことが必要です。つまり、インプットとアウトプットを繰り返し大規模な神経回路の組みなおしが行われ、しっかりと記憶できた時点ではじめて、しっかりと理解することができるわけです。

しっかり記憶していないことを、上手に説明することは不可能。つまり、あなたが「うまく説明できない」のであれば、それは「理解していない」を意味するのです。

理解が深まる法則01

アインシュタインの名言

現代物理学の父とも呼ばれる理論物理学者、アルベルト・アインシュタインは、理解についてこんな言葉を残しています。

『6歳の子どもに説明できなければ、理解したとは言えない』

6才の子どもの脳重量の平均は、成人の約90%に達しているのだとか。子供の脳には学習する機能も能力も十分にあるのです。しかし、予備知識が全くない子どもに何かを説明するには、かみ砕いてあげる必要があります。教科書や辞書の説明を丸暗記して伝えるだけでは、子どもは理解できません。簡単な言葉に置き換えたり、たとえ話を考えたりする必要がありますね。

言葉の置き換えやたとえ話の考案は、自分がその物事についてよく理解していないとできないことです。つまり、あなたがある物事を6歳の子どもにうまく説明できないのであれば、その物事について理解しているとはいえないのです。

講演家・ビジネス作家としても活躍する実業家の臼井由妃さんも、「難しい言葉や考え方を、相手の概念に置き換えられる人は、説明がうまい」と話しています。では、物事に対する理解を深め、うまく説明できるようになるためには、どうしたらいいでしょう。

理解が深まる法則02

理解を深め、説明できるようになる方法1:想像しまくる

アインシュタインは相対性理論について質問した子どもに対し、「もし君が、きれいな女の子と1時間並んで座っていたとすれば、その1時間は1分のように思えるでしょう。しかし、もし熱いストーブのそばに1分間座っていたら、その1分間は1時間のように感じるでしょう。これが相対性です」と説明したのだとか。

相手が納得できるよう説明するには、相手に合ったうまい「例え」が必要です。そして、例えを考え出すには想像力が必要。

想像力が豊かになれば、例えが上手になるだけではなく、あらゆる物事について、その先のことを予測したり、その背後に隠れているものを探ったりすることができるようになります。つまり、想像力の豊かさは、「物事を理解する力」と「説明する力」になるということです。

想像力を豊かにする習慣としては、「読書」と「ラジオ鑑賞」がおすすめです。文字だけ、あるいは音だけの世界で、情景を頭に思い描き、登場人物の感情やその場の状況を想像する行為が、いいトレーニングになるでしょう。語彙が増えることにより、言葉を通しての表現力も養われるはずです。

理解が深まる法則03

理解を深め、説明できるようになる方法2:余計なことを省く

臼井由妃さんは過去の失敗から、何かを説明するときは、余計なことを省くよう心掛けているそう。話すことに夢中になってしまうと、余すところなく伝えようと必死になり、説明が過剰になって、何を言いたいのか分かりにくくなるうえ、相手を退屈させてしまうからです。話しすぎて失敗しないためには――

  • 誰に
  • 何を
  • どこまで
  • 何のために
  • どう説明するか

――という5点をおさえておくといいそう。肝心な部分を外さず、過剰にもならず、時間が短縮できるとのこと。

たとえば、「さっきの部長の話、理解できた?」と同僚に聞かれたら、何でもかんでも1から10まで説明するのではなく、相手が単に「分かりにくい話だった」という気持ちを共有したいだけなのか、それとも、「よく理解できなかったから教えてほしい」と思っているのかを見極め、どこまで、どう説明するか決めます。

前者ならば、「一応、理解できた気がする」とだけ伝えて次の返答を待ち、後者ならば要約して「つまり、〇〇の場合は、〇〇ということじゃないかな」と伝え、あるいは、その事柄において不可欠な人物であれば、細かく説明するといった具合です。

理解が深まる法則04

余分を省いて、きちんと理解し、きちんと伝えるコツをつかめるようになるため、本や映画のレビューをたくさん書いてみることをおすすめします。

インプットした本や映画のレビューを書いているうち、熱を入れすぎて全くまとまらず大変な作業になり、疲れてしまったことはありませんか? うまくまとめられないのは、インプットした情報が整理されておらず、余分な情報をアウトプットしすぎているせいです。

たとえば本を読むとき、映画を鑑賞するとき、後に時間をかけず分かりやすいレビューを書こうという意識を持つことにより、内容をきちんと受け取るための論理的な思考が働いてくれます。余分を省くクセがつき、理解と説明がスムーズになるでしょう。

理解が深まる法則05

理解を深め、説明できるようになる方法3:逆から攻める

家具やカーテンなど家の中で使うものを、ファッションのようにコーディネートするという考え方が欧米で生まれたばかりの1990年代、日本のホームファブリックスデザイナーは、自分の職業をうまく説明するのが困難でした。実は筆者もそのひとり。

「カーテンとか、クッションとか、ベッドリネンとか、カーペットやラグ、スリッパに、ルームウエアとか、あとソファーカバー、キッチンクロスなんかも、トータルでコーディネートできるようにデザインします。まあ、繊維製品なら何でもOKなんですけどね」という長たらしい説明を聞く相手も、何だか退屈そうでした。

ところが、そのうち自分も面倒になって、「家をひっくり返したら落ちてくる布製品の、洋服以外すべてを、コーディネートできるようデザインしています」と説明するように。すると、相手の理解度が高まり、反応も良好になったのです。つまり、自分が関わらないものを先に持ち上げてみたら、むしろ要点が浮き上がってきたわけです。

理解が深まる法則06

たとえばあなたが、会議を欠席する上司に、「あとで要点だけを説明してほしい」といわれた場合。会議が長くて規模が大きいほど、概要を把握し説明するのは大変です。そんなときは、逆から攻めてみてはいかがでしょう。

まず、会議のメモから上司に説明しなくていい内容を先にピックアップしてしまうのです。そうすることで必要な内容が浮き上がり、グンとまとめやすくなるはず。

「会議の内容は直接関係しない〇〇の件が7割でした。うちの部署が担当する〇〇に関して意見が交わされたのは短い時間でしたが、昨年と同じ方針で進める見通しはほぼ確実だと思われます」などと概要を伝え、相手の反応を見ながら事細かく説明していくといった具合です。

視点を変えることで、物事の全体像と概要をつかむことができ、説明しやすくなるはずです。

***
物事に対して理解を深め、うまく説明できるようになる方法3つを紹介しました。

  1. 想像しまくる
  2. 余分を省く
  3. 逆から攻めてみる

こちら「『6才児に説明できなければ、理解したとはいえない byアインシュタイン』を科学的に検証してみた」にも、説明できないのは理解していないのと一緒だということについて掘り下げています。ぜひ一緒にご覧ください。

(参考)
公益社団法人日本生化学会|学習・記憶の細胞基盤:シナプス・アンサンブル
NIKKEI STYLE|出世ナビ|「説明上手」な人が守っている5つのポイントとは?
Study Hacker|『6才児に説明できなければ、理解したとはいえない byアインシュタイン』を科学的に検証してみた

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