「いま、ストレスがまったくない」という方は、あまり多くはないのではないでしょうか。
大部分の人はきっと、普段の生活のなかで何かしらのストレスを抱えて生きているはず。とにかく憂うつで仕方がなかったり、些細なことに苛立って他人に当たってしまったり……。ストレスと上手に付き合っていくのは難しいですよね。
そこで今回は、ストレスをためないコツをご紹介いたします。
そもそもストレスとは?
ストレスとは、生活上のプレッシャーや、プレッシャーを感じたときの感覚のことを指します。たとえばボールを指で押したとすると、そのときに起こるへこみや、へこみを起こす力が、ストレスなのです。何がストレスとなるかは人それぞれですね。
へこんだボールがやがて元に戻るのと同様に、私たちもまた、ストレスを受けても時間が経てば回復していくのが普通です。しかし、ボールへの圧力が強すぎると元に戻りづらくなってしまうように、ストレスがあまりにも強すぎると、簡単には回復できなくなってしまうのです。
そうならないためには、ストレスを極力ためこまない生活をするのが大切。ストレスをためないコツをいくつかご紹介しましょう。
1. 原因や理由を考える
ストレスの元になるような出来事が発生したら、まずはその出来事が起きた原因を考えましょう。
たとえば、誰か知人を怒らせてしまったとしましょう。このとき、感情的になって「なんだ、あいつ」と知人を悪く思ったり、「私が悪いんだ」と自分を責めたりするのではなく、冷静に「なぜ相手が怒ったのか」を考えます。「疲れがたまっていて機嫌が悪かったから」かもしれませんし、「自分の発言が相手のプライドを傷つけるものだったから」かもしれません。このように、具体的な理由や原因を分析することで、感情的にならずに具体的な解決策を考えることができます。
そしてこのような考え方をするためには、普段から論理的思考を心がけることが大切です。たとえば筆者もよく実践していますが、怒りを感じたときに「自分がなぜ怒っているのか」を倫理的に分析する行為は怒りを鎮める効果もあります。論理的思考ができるとストレスに強くなれるので、習慣づけることをおすすめします。
2. 姿勢を良くする
南カリフォルニア大学 Marshall School of Business の Scott Wiltermuth博士らが発表した研究によると、胸を張って背筋を伸ばし良い姿勢を保っているほうが、猫背などの悪い姿勢よりも痛みやストレスに耐える力が強いのだそう。あごを上げて胸を張り、周囲を見下ろすような姿勢を心がけましょう。
つらいときにはついうなだれて姿勢も縮こまってしまうものですが、そんなときこそ背筋を伸ばして胸を張っていたほうが、感覚的にも感情的にも痛みやストレスに強くなれますよ。
3. 目線を上げる
また、同じくらい簡単にできる対策としては、目線を上げるのも有効です。
目線と脳の動きはリンクしています。たとえば昔の思い出話をしているときは、左上に目線を向けている自覚はないでしょうか。これは、過去の映像を思い出す際に、自分の左斜め上を見る習性が人間にはあるためです。同様に、目線が右下に向くと感情にアクセスし、左下に向くと内面対話が始まります。
すなわち、ストレスを感じた際に目線を下に向けてしまうと、マイナスの感情を増幅したり「自分はダメな人間だ……」などと心の中で会話が始まったりしてしまうため、ストレスをより高めてしまうのです。気持ちを前向きに保つためにも、疲れているときこそ目線を上げることを心がけましょう。
職場でもできる手軽なストレス解消術
ここからは番外編として、職場でもできるストレス解消術を3つご紹介します。
・こまめに席を立つ デスクに座りっぱなしで緊張した状態が長い時間続くと、ストレスがたまりやすくなってしまいます。一時的にリラックスするためにも、気分転換として意識的に席を立つようにしましょう。その際は、深呼吸や軽いストレッチなどができるとよりストレス解消に効果的です。
・ストレッチ 椅子に座った状態でもできるストレッチもおすすめです。浅めに椅子に腰かけ、肩幅に足を開いて背筋を伸ばします。腕、肩、背中、首など各部位の筋肉に7~8割程度の力を5~10秒程度入れ、次の10~20秒程度ですとんと力を抜くという運動を繰り返すだけのものが簡単でおすすめです。その際には、力を入れた緊張状態と力を抜いた弛緩状態の差を意識することが大切。できれば目を閉じながら、じっくりと行なってみましょう。
・咀嚼する ガムなどを咀嚼することで、あごの筋肉の収縮により脳に刺激が与えられ、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌が抑制されることがわかっています。自分がリラックスできる香りのものや、頭がすっきりする味のものなど、気分に応じて選ぶとよいでしょう。ガム以外にも、栄養豊富なナッツを少量食べるのもおすすめです。
*** 「ストレスは人生のスパイスである」という言葉もありますが、過剰にためこんでしまっては悪影響です。こまめに発散しながら、ストレスを上手に付き合っていきたいものですね。
(参考) All About|ストレスが溜まる意味・仕組み 現代ビジネス|姿勢を良くするとストレスに強くなる! GLOBIS|顔を上げて通勤ストレスを軽減【ストレスとの付き合い方】 サワイ健康推進課|仕事中のイライラを撃退!職場でできるストレス解消法 FUJI XEROX|ストレスに負けない心体づくり― オフィスでできる!簡単リラクセーション法(1) ― 1/3 日本チューインガム協会|ガムと咀嚼機能